セールスフォースとは何か?導入メリットと企業が活用すべき理由を徹底解説!

目次

営業に携わる方はもちろん、そうでない方でも、一度は「Salesforce(セールスフォース)」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、Salesforceの本当の魅力やメリットを深く理解している人はそれほど多くありません。

そこで本記事では、Salesforceの優れた点や機能、導入によるメリット、さらに、導入をおすすめする企業も解説します。

Salesforce(セールスフォース)とは

Salesforceは、見込み顧客との接点を生み出し、強化しながら、成約に至るまでのプロセスを効率化・最大化するプラットフォームです。これにより、顧客の獲得や育成、さらには顧客満足度の向上を実現します。Salesforceは営業支援(SFA)にとどまらず、顧客管理(CRM)やマーケティングオートメーション(MA)など、さまざまな製品を提供しており、これらを組み合わせることで、さらに高いパフォーマンスを発揮します。

Salesforceは単なるサービスや機能ではなく、顧客との接点に応じてさまざまな製品が用意されており、それらを組み合わせることで、より大きな効果を得ることが可能です。

Salesforce(セールスフォース)は何がすごいのか

営業支援に強い

Sales Cloudをはじめ、営業の全プロセスを支援する多くの製品が揃っているため、BtoB、BtoCを問わず、どの業態の営業活動においても効果を発揮します。新規顧客の獲得からロイヤルユーザーの育成まで、営業支援を幅広くカバーします。

さらに、年に3回行われるバージョンアップでは、多くの利用企業からの要望が反映されることがあり、グローバルな知見が集約されています。

世界15万社以上の導入実績

Salesforceは、すでに多くの企業で導入されており、その数世界15万社以上の導入成績があります。その実績の豊富さは、マーケティング市場、CRM市場、営業支援市場、カスタマーサービス市場など、さまざまな分野でトップシェアを獲得していることからも証明されています。

Salesforce(セールスフォース)の機能一覧

Sales Cloud(セールスクラウド)の料金・機能

Sales Cloudは、顧客や案件、営業プロセスなどを一元管理できるSFA(営業支援システム)およびCRM(顧客関係管理システム)です。Salesforceを代表するアプリケーションであり、SFA/CRM市場において世界トップクラスのシェアを誇ります。

Sales Cloudの主な機能
・商談管理
・顧客管理
・見込み客管理
・営業プロセス管理
・売上予測
・レポート出力
・モバイル連携

顧客管理機能は、取引先企業の基本情報や担当者情報、固有の営業データを管理し、各商談の情報も共有できるため、営業チームやマネジメント層での円滑な情報共有が可能です。

案件管理機能では、案件ごとの取引額や進捗度、成約の確度などを一元管理します。さらに、リード管理、売上予測、レポート出力機能などを活用して、営業活動の効率化が実現できます。

料金プラン

  • Essentials: 3,000円/月(1ユーザー)
  • Professional: 9,600円/月(1ユーザー)
  • Enterprise: 19,800円/月(1ユーザー)
  • Unlimited: 39,600円/月(1ユーザー)

Marketing Cloud(マーケティングクラウド) の料金・機能

Marketing CloudはSalesforceのマーケティングプラットフォームであり、BtoBおよびBtoCマーケティングを支援します。具体的なツールには、マーケティングオートメーション(MA)、顧客データプラットフォーム(CDP)、広告最適化ツールなどがあります。

Marketing Cloud Account Engagement (マーケティングクラウドアカウントエンゲージメント ※旧称Pardot)

BtoB向けのマーケティングオートメーションツール(MA)となります。リードの創出・分析、セグメンテーション、スコアリング、シナリオの自動作成、メールの自動配信など、一般的なマーケティングオートメーションの機能を網羅。それに加え、営業支援システムであるSales Cloudとの連携により、営業部・マーケティング部双方で情報共有が可能となります。

■料金体系
●Growth
・価格:1組織あたり150,000円/月
・利用可能機能:リード管理、スコアリング、メールマーケティング、CRM連携、SEOキーワードの状況把握
●Plus
・価格:1組織あたり330,000円/月
・利用可能機能:アナリティクス、Google広告連携、カスタムダッシュボード
●Advanced
・価格:1組織あたり528,000円/月
・利用可能機能:予測リードスコアリングや行動スコアリング、キャンペーンインサイトなどのAI機能
●Premium
・価格:1組織あたり1,800,000円/月
・利用可能機能:組織別(ビジネスユニット)に権限設定や利用が可能。見込客の管理数が4プランで最も多い

※全プラン年間契約となります。

Marketing Cloud Engagement(マーケティングクラウドエンゲージメント)

BtoC向けのマーケティングオートメーションツール(MA)となります。toC向けのMAは、個人(コンシューマー)を相手にするため膨大な量のデータ管理とSNS・広告・メールなど複数のチャネルでの接点を管理できる必要があります。Marketing Cloud Engagementは、SNS投稿やコメントの抽出分析・モバイルデバイスへのプッシュ通知などone to oneのコミュニケーションができます。

■料金体系
●Pro
・価格:個別見積
・利用可能機能:A/Bテスト、one to oneメールマーケティング、Sales Cloud および Service Cloud の連携
●Corporate
・価格:個別見積
・利用可能機能:クロスチャネルのone to oneマーケティング
●Enterprise
・価格:個別見積
・利用可能機能:高度なレポート、複数のチャネルのコンテンツ予測、権限のカスタマイズ

※2024年1月までに国内で提供開始予定

Loyalty Management(ロイヤリティマネジメント)

Loyalty Managementは、顧客ロイヤリティ向上ツールです。企業は、自社の会員向けに割引やキャンペーン情報の提供により顧客満足度を上げる活動を行っているかと思います。Loyalty Managementの活用により、各お客様に対して適切なエンゲージメント向上施策を実行することができます。

■料金体系
●B2B — Loyalty
・価格:1組織あたり360万円/年
●B2C — Loyalty
・価格:1組織あたり420万円/年
●B2C — Loyalty Plus
・価格:1組織あたり540万円/年

Data Cloud For Marketing(データクラウドフォーマーケティング)

Data Cloud For Marketingは、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。Salesforceの各種アプリケーションや外部ツールなど、あらゆるチャネルからのデータを集約し、顧客一人ひとりのプロファイルの作成を実行します。プロファイルを活用することで正確かつ適切な顧客とのコミュニケーションが実現できるようになります。

■料金体系
・価格:1組織あたり1,296万円/年
・利用可能機能:顧客プロファイルの作成

Marketing Cloud Advertising(マーケティングクラウドアドバタイジング)

Marketing Cloudのファーストパーティ広告エンジンです。自社で保有する独自の顧客データを利用して、広告キャンペーンの関連性が高いターゲットセグメントを作成出来るようになります。作成したセグメントは、Facebook、Google、Instagram、Twitter、YouTubeのメディアでの広告配信に使うことができます。新規顧客の獲得、ROI向上、顧客エンゲージメント向上、キャンペーンに関係のない顧客への広告抑制に貢献します。

■料金体系
・価格:個別見積
・利用可能機能:営業、サービス、マーケティング部門の顧客データからオーディエンスを作成

Marketing Cloud Intelligence(マーケティングクラウドインテリジェンス)

Marketing Cloud Intelligenceを使用することで、全てのマーケティング活動のデータを一元的に集約し、総合的な分析をかけることができます。データに基づいて最適なマーケティング活動へ注力出来るようになります。

■料金体系
●Starter・Growth・Plus
・価格:3プラン全て個別見積

Marketing Cloud Personalization(マーケティングクラウドパーソナライゼーション)

Marketing Cloud Personalizationは、ユーザーの行動履歴を軸に顧客一人ひとりに最適なアクションができるようになります。ページの閲覧履歴やECサイトの商品閲覧履歴をもとにページのだし分けやレコメンド商品の選定などを瞬時にシステム的に行うことが実現できます。

■料金体系
・価格:個別見積

Service Cloud(サービスクラウド)の料金・機能

Service Cloudは、顧客サポートを効率的かつ充実させるためのツールです。電話やWEBチャット、SMS、Facebookなど、さまざまな顧客接点を一元管理できます。顧客が自分で問題を解決できるよう、ヘルプサイトの作成やチャットの自動応答も可能で、緊急時には適切な担当者が自動で割り当てられます。また、マネージャーはチームの対応状況をリアルタイムで監視でき、訪問対応時にはチームメンバーのスケジュールを確認して迅速に担当者をアサインし、顧客対応をスムーズに行えます。

■料金体系
●Essentials
・価格:1ユーザーあたり3,000円/月
・機能:基本的な顧客管理、商談管理

●Professional
・価格:1ユーザーあたり9,600円/月
・機能:売上予測、権限設定、見積作成

●Enterprise
・価格:1ユーザーあたり19,800円/月
・機能:業務プロセス自動化、システム連携、カレンダー機能

●Unlimited
・価格:1ユーザーあたり39,600円/月
・機能:24時間365日のサポート、トレーニング、最高のカスタマイズ性

※全プラン年間契約

Commerce Cloud(コマースクラウド)の料金・機能

Commerce Cloudは、ECサイトの構築からオンラインショッピング環境の整備までを包括的にサポートするツールです。快適なオンラインショッピング体験を提供することで、売上の向上を促進します。BtoC、BtoBの双方に対応したプランが用意されており、企業の商環境に合わせた利用が可能です。

■料金体系
●Salesforce B2C Commerce
・価格:1ユーザーあたり3,000円/月
・機能:店舗向けの拡張機能を提供

●Salesforce B2B Commerce
・価格:1ユーザーあたり3,000円/月
・機能:ビジネス顧客向けのオンライン購入体験を実現

Salesforce Data Cloud(セールスフォースデータクラウド)の料金・機能

Salesforce Data Cloudは、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)であり、さまざまなデータベースからの情報を一元化し、顧客ごとにリアルタイムでデータを整理します。これにより、顧客に対して最適なコミュニケーションを行うためのインサイトを得ることができます。セールス、マーケティング、カスタマーサポート、分析といったさまざまな業務をサポートします。

※2024年1月までに国内提供開始予定

Tableau アナリティクス(タブローアナリティクス)の料金・機能

Tableau アナリティクスは、ビジネスインテリジェンスツール(BI)で、さまざまなデータを接続し、KPI分析、失注分析、ヘルススコア分析など、各事業部が注目すべき指標を可視化します。スマホやタブレットでも確認できるため、どこでもデータのモニタリングが可能です。

■料金体系
●Tableau
・価格:3種類のライセンス数の組み合わせで決定
ーCreatorライセンス:$75/月/ユーザー
ーExplorerライセンス:$42/月/ユーザー
ーViewerライセンス:$15/月/ユーザー
※Tableau単体での利用。

●CRM Analytics
・価格:4つのプランあり
ーEinstein Predictions:1ユーザーあたり9,000円/月
ーCRM Analytics Growth:1ユーザーあたり16,800円/月
ーCRM Analytics Plus:1ユーザーあたり19,800円/月
ーRevenue Intelligence:1ユーザーあたり26,400円/月
※Salesforce上でTableauを活用可能。

MuleSoft(ミュールソフト)の料金・機能

MuleSoft(ミュールソフト)は、クラウドサービスやオンプレミスのアプリケーションを連携させるiPaaSです。これまで多くの開発リソースが必要だった連携作業を、ローコードやノーコードで実現し、生産性の向上を支援します。また、大量の繰り返し作業やメンテナンスの自動化にも役立ちます。

■サービス内容
●MuleSoft Anypoint Platform
・APIやアプリの設計・開発を支援する多機能プラットフォーム。
●MuleSoft RPA
・ノーコードで業務プロセスの自動化を設定可能。
●MuleSoft Composer for Salesforce
・Salesforce関連のプロセス自動化に特化したツール。
●Flow Orchestration
・複数ユーザーが関わる複雑なプロセスを自動化できるローコードツール。

※価格は非公開

Slack(スラック)の料金・機能

Slackは、2021年にSalesforce.comが約2.9兆円で買収したビジネスチャットツールで、社内外問わず活用できます。社員同士が場所を選ばずリアルタイムでスムーズにコミュニケーションできるため、業務の効率が向上します。特徴的な機能として、コメントに対してスタンプで反応できる点があります。このスタンプは、デフォルトのものに加え、ユーザーが自由に新しいスタンプを作成できる点がユニークです。

■料金体系
●Pro
・価格:1ユーザーあたり925円/月
・推奨事業規模:中小企業

●Business
・価格:1ユーザーあたり1,600円/月
・推奨事業規模:大企業

●Enterprise Grid
・価格:個別見積
・推奨事業規模:大企業や複雑な組織構造向け

※少人数向けの無料プランもあります。

Net Zero Cloud(ネットゼロクラウド)の料金・機能

Net Zero Cloudは、企業のサステナビリティ活動をサポートするツールです。現在、国際的に企業の脱炭素への取り組みが求められており、このツールはステークホルダーに対して正確な情報を提供するのに役立ちます。温室効果ガスの排出量の予測分析や適切な目標設定、リアルタイムでの進捗管理が可能です。

■料金体系
●Starter
・価格:1組織あたり576円/年
●Growth
・価格:1組織あたり2,520円/年

Salesforce Platform(セールスプラットフォーム)の料金・機能

Salesforce Platformは、アプリケーション開発の基盤となるクラウドサービスです。このプラットフォーム上で、Salesforce向けアプリケーションの設計、構築、実行、管理、さらには社内環境に応じた最適化まで、さまざまなプロセスを完結させることができます。

Salesforce Platformの大きな特徴は、ビジネスアプリケーションの開発に必要な機能が揃っている点です。操作しやすいUI、高い視認性、優れたワークフロー、ユーザー認証機能が整備されており、プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できる環境が提供されています。

■料金体系
●Salesforce Platform
・価格:1組織あたり3,000円/月
●Platform Plus
・価格:1組織あたり12,000円/月

※年間契約が必要です。

AI Cloud(エーアイクラウド)の料金・機能

AI Cloudは、Salesforce上で稼働する生成AIで、Sales Cloud、Marketing Cloud、Service Cloud、Commerce Cloudなどの各製品の機能を強化します。Salesforceに蓄積された顧客データを活用して、適切なメール文面の自動生成や顧客対応の自動作成、顧客に合ったコンテンツや商品レコメンドの提供が可能です。データプライバシーやセキュリティ面でも高い信頼性を誇ります。

※価格や提供時期については、最新情報をご確認ください。

AppExchange(アップエクスチェンジ)※アプリケーションストア

AppExchangeは、Salesforceと連携できるアプリを提供するストアです。各企業は、Salesforceの利便性や業務効率を向上させるために、必要なアプリをダウンロードして利用できます。日本国内で展開されているアプリは300種類以上あり、業務に役立つ有料・無料のアプリが幅広く揃っています。

※価格はアプリごとに異なります。

Salesforce(セールスフォース)を導入するメリット

セールス業務の効率性が高まる

Salesforceを導入することで、予算や案件の進捗状況、営業チームが注力している業務など、営業活動において重要な情報を誰でも簡単に確認できるようになります。また、自社のデータだけでなく、競合他社に関する情報も把握できるため、自社の強化ポイントが明確になり、より効率的で生産性の高い営業活動を実現できます。

各部署間の連携が円滑化する

Salesforceを導入することで、部門間の連携が円滑になります。単一のプラットフォーム上で関連部署とリアルタイムでデータを共有できるため、マーケティングや営業活動だけでなく、カスタマーサービス部門との連携も一層強化されます。

高度なセキュリティ機能が実装されている

Salesforceには、複数の高度なセキュリティ機能が搭載されています。例えば、プロファイルごとにログイン可能なIPアドレスを設定できるため、許可されたIPアドレス以外からはSalesforceへのアクセスができません。マーケティングでは多くの顧客情報を扱うため、情報漏洩を防ぐための厳重な対策が必要ですが、Salesforceなら安心して導入できるでしょう。

個別のニーズに合わせた調整ができる

Salesforceはツールを柔軟にカスタマイズできるため、事業の用途や目的に合わせて必要な機能を追加・拡張できます。これにより、業種や事業規模に関わらず、業務に適したアプリケーションを迅速に構築し、活用することが可能です。

システム導入後も充実したサポート体制がある

Salesforceの魅力の一つは、充実したサポート体制です。オンライン学習やエキスパート、販売パートナーからの支援により、ツールの使い方に関するサポートを受けられるだけでなく、Salesforceを活用してビジネス成功へ導くサポートも提供されます。また、サポートプランによっては、24時間365日の対応サービスも利用可能です。

さまざまな端末での利用に対応している

Salesforceはモバイルアプリ版も提供されており、マルチデバイスに対応しています。これにより、外出先でも顧客データを確認でき、訪問前に顧客情報を事前に把握することが可能です。また、リアルタイムで顧客情報を可視化できるため、迅速かつ的確な対応ができるようになります。

Salesforce(セールスフォース)を導入するデメリット

業務プロセスの変更に対する抵抗感が発生する

Salesforce以外にも、さまざまなCRMやSFAシステムが存在しています。Salesforceが優れたツールであることは確かですが、既存の自社システムから切り替える際、現場の社員が移行に慣れず不満を抱く可能性も否定できません。特に、以前のシステムを長期間使用していた場合、その傾向が強くなることがあります。どれほどSalesforceの機能が優れていても、導入直後にすぐ業績が向上するわけではなく、期待していた効果が得られず、上層部から不満が出ることもあるため、注意が必要です。

システム利用者によるデータ入力が適切に行われない

Salesforceを導入したからといって、すべてのスタッフが積極的にシステムを活用するとは限りません。最終的にデータを入力するのはスタッフ自身であるため、CRMやSFAの重要性や効果を理解していないスタッフがデータを入力しない可能性も考慮する必要があります。特に、入力項目が多すぎたり、操作が直感的でなかったりすると、入力がさらに敬遠されるかもしれません。さらに、入力内容が不正確だったり、スタッフごとに入力方法が統一されていない場合、正確なデータを抽出することが難しくなる可能性もあります。

システム管理者の業務負荷が増大する

新しいシステムを導入する際には、操作方法の習得やデータ構造の理解など、管理担当者が多くのことを学ぶ必要があります。他のスタッフからの要望や不満を受け止めながら、システムの活用方法を広めるのは、非常に大変な作業であることは間違いありません。専任の担当者を置く余裕がない企業では、一人のスタッフが他の業務と兼任しながら管理を担当することもあります。Salesforceを導入する場合、全員が協力して取り組まなければ、便利なシステムを社内に浸透させるのは難しいでしょう。

期待した効果が得られず、従業員の意欲が低下する

Salesforceは、日々のデータを蓄積し、一定のデータ量が集まって初めて効果を発揮するツールであるため、導入直後に売上がすぐに上がるわけではありません。

さらに、導入初期には入力すべき情報が多く、通常業務に加えて入力作業が増えるため、社員が業務負担が増えたと感じることもあります。その結果、業務が増えたにもかかわらず、即座に売上に反映されないことから、モチベーションが下がってしまう可能性もあります。

費用対効果を実感しにくい

前述の通り、Salesforceは成果が出るまでに一定の時間がかかります。そのため、導入や運用にかかるコストに対して、すぐに費用対効果が得られないと判断し、運用を中止してしまうケースがあります。

しかし、Salesforceは長期的な視点で運用することが重要です。効果がすぐに現れないからといって、運用を中断してしまうと、情報入力や操作習得に費やした時間やコストが無駄になってしまいます。

まずは、情報共有が容易になったことや、リアルタイムで状況を把握することでスピーディーな対応が可能になったなど、小さな成功に注目することが大切です。Salesforceを使って少しずつ業務を改善していくことで、最終的には売上向上などの大きな目標も達成できるでしょう。

Salesforce(セールスフォース)の使い方4ステップ

運用ルールを決定する

Salesforceの運用を開始する前に、まず組織内での運用ルールを設定することが重要です。

運用ルールは、「誰が・いつ・何の目的でチェック入力するか」という運用フローと、「具体的にどのような情報を入力・更新するか」という入力・更新ルールの2つから成り立っています。このルールを策定する際には、実際に使用する営業メンバーや顧客サポートメンバーの意見を反映させることが不可欠です。現場の業務を考慮したルールを作成することで、運用時に入力作業が現場の負担にならず、結果としてルールが現場に定着しやすくなります。

実際にSalesforceを使用し始めると、さまざまな細かな疑問が生じることがあります。それらの疑問が運用方法を混乱させないように、実際の現場での使い方を考慮した上で、事前に統一されたルールを策定しておきましょう。

最低限のデータを投入

運用ルールが策定されたら、運用に必要な最低限のデータを入力します。必要なデータは主に以下の通りです。

  • ログインするユーザーとそのアクセス権
  • 会計年度
  • 取引先企業名
  • 顧客データ
  • 取引先担当社員
  • 商談状況
  • 行動スケジュール
  • TODO

中でも、取引先企業名や役職などの顧客データは非常に重要であるため、できるだけ詳細かつ最新の情報を入力するようにしましょう。また、取引先担当社員が変更された場合も、可能な限り早めに情報を更新しておくことが重要です。データの集計や情報連携の際に古い情報が残っていると、余計な手間が生じる可能性があります。

レポート・ダッシュボードを作成して営業効率化

データ入力が完了したら、次にレポートやダッシュボードを活用してみましょう。ダッシュボードでは、売上や予算の進捗などの汎用性の高い指標がグラフや色分けされたデータで可視化され、一目で確認できます。このダッシュボードを利用することで、営業会議前に多くの時間をかけて営業進捗や売上予測を作成する必要がなく、いつでも最新のデータに基づいた会議資料を瞬時に作成することができます。

さらに、レポートを使えば、より詳細な状況把握やデータ分析、データ同士の比較が可能です。出力したデータは簡単に共有できるため、組織内での認識の統一にも寄与します。

インサイドセールス・マーケティングの効率化

Sales Cloudが対象とするのは、商談化以降の営業フェーズであり、単体製品としてはマーケティング領域まではカバーできません。

そのため、組み合わせて運用したいのが、インサイドセールスやマーケティング活動の改善を支援するマーケティングオートメーション(MA)ツール、Account Engagement(旧称Pardot)です。

このツールを導入することで、有力な見込み顧客の特定や円滑な販促活動が可能になります。たとえば、Webサイトからの問い合わせや展示会で獲得した見込み顧客の興味に応じて、事前に作成したシナリオを通じて適切な対応を行うことで、個々の顧客に対してよりパーソナライズされたマーケティング活動が実現できます。Account Engagementで見込み顧客を発掘・育成し、Sales Cloudで顧客情報や商談情報を管理・活用することで、構築した基盤を活かしてより多くの商談を生み出しましょう。

Salesforce(セールスフォース)が使いづらいと感じるs理由

システム導入の具体的な目標が不明確である

どれほど優れたシステムでも、導入の目的が曖昧なままでは、その効果を十分に発揮できません。目的次第では、自社にもっと適したシステムが存在していた可能性もあります。

導入前には、目的を明確にし、導入による期待される効果や定着のためのマイルストーンをはっきりと設定しておくことが重要です。導入時には、経営層や営業責任者、情報システム部門の関係者が選定することが一般的ですが、実際に利用する現場担当者に継続して使ってもらうために、導入の目的を定期的に伝えることが必要です。

もちろん、企業全体の利益向上が主な目的ですが、スタッフ個人の業績向上やスキルアップにもつながるという導入目的やメリットを共有することが大切です。

管理対象となる業務範囲が過度に広範囲になっている

Salesforceには、案件管理や売上管理、スケジュール管理など、多くの便利な機能が備わっています。しかし、すべてを管理しようとして機能を詰め込みすぎると、入力項目が増えすぎて、かえって使いにくくなる恐れがあります。もしスタッフが入力作業を面倒に感じるようになると、その雰囲気が広がり、誰もデータを入力しなくなる可能性もあります。さらに、入力作業に時間を取られて本来の業務が疎かになると、業績の低下につながることも考えられます。

現場の意見に過剰に依存している

営業活動においては、顧客と直接接する現場社員の意見を聞くことが非常に大切です。しかし、Salesforceを効果的に活用するためには、すべての要望を取り入れようとすると、無秩序で使いにくいシステムになってしまう可能性があります。

特に、以前のやり方に固執した意見を取り入れると、営業活動の管理や効率化といった本来の目的から逸れてしまう恐れがあります。新しいシステムを導入するということは、従来のやり方を変えることを意味するため、管理側がある程度リードしなければ、Salesforceの本来の効果を発揮することが難しくなるでしょう。

上層部や責任者がデータの有効活用をしていない

スタッフがデータを入力し、営業活動に活用しているにもかかわらず、経営層や営業責任者が何の反応も示さないと、スタッフのモチベーションが低下してしまいます。

「ただ単にデータ入力の手間が増えただけではないか」と疑問を抱かれるようになれば、現場の士気も下がってしまうでしょう。顧客の訪問回数、提案書の提出数、受注までにかかった日数など、スタッフから集めたデータを責任者がしっかり分析し、その結果をスタッフにフィードバックすることが必要です。これを繰り返し行いながら、生産性の向上を目指すことが、Salesforceを効果的に活用する上で非常に重要な要素となります。

Salesforce(セールスフォース)導入を成功させるポイント

トップダウンで活用を指示する

Salesforceの活用を促進するために重要なのは、経営層や責任者といった上司が正式に指示を出し、現場に日常的にシステムを利用する意識を根付かせることです。

導入の目的や意図を説明しつつ、会社の利益向上を目指しているというメッセージを一緒に伝えることで、より効果的に現場に訴えることができます。

さらに、上司自身が積極的にSalesforceを活用する姿を見せることも大切です。これはどの会社でも実行可能で、コストもかからないシンプルな活用促進方法ですので、優先的に取り組むべきです。

活用する人にインセンティブを与える

Salesforceの活用を促進するために、システムを効果的に活用しているスタッフを評価し、インセンティブを提供する制度を設けるのも有効な方法です。

金銭的なインセンティブを与えるのはもちろん、活用を人事評価の一環として取り入れることで、現場スタッフも迷うことなく活用に取り組めます。また、活用事例を共有する場を設け、優れたプレゼンを行った者にインセンティブを与えるという方法もあります。

各企業でインセンティブの基準を設定し、スタッフのやる気を高めることで、Salesforceを効果的に現場に浸透させることができるでしょう。

Salesforceの導入に向いている企業の特徴

Salesforceの導入を推奨できる企業には、以下のような特徴があります。

  • 顧客データを豊富に保有している企業
  • 規模の大きい企業
  • 積極的に他社の成功事例を学び、成長意欲の高い企業

充実した顧客データがあれば、データを基にしたマーケティング戦略を効果的に展開できます。また、企業規模が大きいほど部門間の連携が難しくなるため、特に大企業においてSalesforceの導入効果を実感しやすい傾向があります。

さらに、ユーザーコミュニティに積極的に参加し、他の企業や顧客との交流を深めて成長を目指す姿勢を持つ企業にも適しています。

Salesforceに API連携してできること

Salesforceの大きな魅力の一つとして、他のツールとの連携が非常に容易である点が挙げられます。クラウドベースのシステムであるため、さまざまなツールとAPIを通じて連携が可能です。

APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略で、ソフトウェア同士を接続する仕組みです。つまり、異なるアプリケーション同士が情報をやり取りできるインターフェースのことを指します。

Salesforceには10種類以上のAPIが用意されており、それぞれ異なる機能を提供しています。これにより、外部のアプリケーションやサービスとの統合が容易になり、Salesforceの機能を拡張したり、蓄積したデータを他の部門や業務に活用することが可能です。

具体的な連携例としては、マーケティングオートメーションツールの「Marketo」や、BIツールの「Motion Board」を連携させることで、データの共有や分析が効率化されます。また、電子署名ツール「DocuSign」を使えば、電子契約のプロセスを自動化することができます。さらに、クラウド会計ソフト「freee」と連携することで、Salesforce上の受注情報を基に見積書や請求書を自動で発行したり、リアルタイムで入金状況を反映させることができ、営業部門と経理部門の連携がスムーズになります。

最後に

Salesforceは、幅広い機能を備えた強力なツールです。自社の課題に合った機能を活用することで、さまざまな業務の効率化や改善を実現し、ビジネスの成長を促進することができるでしょう。

しかし、自社とSalesforceとの相性を見極めることも重要です。

多機能であるがゆえに、うまく活用できない企業も存在します。また、外国製のCRM/SFAよりも国産のものに切り替えた方が、従業員にとって利用しやすい場合もあります。まずは自社の課題を明確にし、それを解決するためのツールや機能に絞った形でSalesforceの導入を検討してみることをお勧めします。

関連記事

TOP