BtoBマーケティングで最近よく聞く単語の「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」。
これらの言葉の意味をきっちり理解できているでしょうか?
これらの言葉は簡単には「リードジェネレーション=見込み顧客の創出」「リードナーチャリング=見込み顧客の育成」と説明されていますが、どれもBtoB企業の新規顧客の開拓とその商談化には欠かせない活動となっています。
今回はこれらの言葉について解説したあと、リードジェネレーション・リードナーチャリングと深い関わりのある、「リードクオリフィケーション」についても解説します。
また、リードナーチャリングで重要となる「リードのランク設定」についても触れていきたいと思います。
そもそもリードとは?
リードとは英語で「Lead(導く、きっかけ)」という意味を持つ言葉で、マーケティングにおいては「見込み顧客」として使われています。
見込み顧客がどのようなものか説明すると、「まだ顧客にはなっていない(商品・サービスの購入に至っていない)が、近い将来顧客になる可能性の高い人」のことをいいます。
一口に「見込み顧客」と言っても、自社サービスとの親和性、見込み顧客の購買意欲などから考える「見込み度」は、見込み顧客一人ひとりで大きく異なります。
この「見込み度」の違いによって、起こすべきアクションは大きく変わってくるため、リードの種類を見込み度の違いでランク分けしていく必要が出てきます。
※リードのランク分けについてのみ知りたい人は下へジャンプ
リードとは何か分かったところで、ここからは「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」についてご説明していきます。
リードジェネレーションとは?
リードジェネレーションとは、「リード=見込み顧客」と「ジェネレーション=誘発、発生」の合成語で、見込み顧客獲得のための活動全般のことを指す言葉です。
具体的にどのようなものがリードジェネレーションに当たるかというと、
・展示会への出展
・オウンドメディアの運営(SEO)
・WebやSNSなどでの広告の出稿
・テレマーケティング
など様々な方法があります。
これまでのBtoBのスタイルでは、マーケティング担当者がどうにかして獲得したリードを営業に渡し、営業担当者がアプローチをかけるというものが一般的でした。
しかし、インターネットが普及した現在では、顧客自身が積極的に情報収集を行うようになってきたため、まだニーズが顕在化していないような段階から顧客と接触しておくことが非常に重要となってきています。
▼マルケト社の資料ダウンロードページにある3つの資料
例として、マルケト社の資料ダウンロードページを見てみると、様々な層に向けた資料があることが見て取れます。
図の左側にある「マーケティングオートメーション入門ガイド」は、マーケティングオートメーションについて最近知った人に向けての資料となるでしょうし、
図の中央にある「マーケティングオートメーションの社内稟議を通すには」であれば、マーケティングオートメーションの知識があり、すでに導入を決定している人が対象になるでしょう。
また、図の右側にある、「今すぐできるメール到達率の改善策」であれば、すでに何らかのツールを導入し、メールマーケティングを行っている人が対象だと思われます。
このように、様々な知識量のリードに対して、それぞれに適した情報の提供をすることが求められています。
より早い段階で顧客へのアプローチが重要となってきた中で、営業に渡されるリードの見込み度の違いが大きな意味を持つようになってきました。
というのも、早い段階でのアプローチで顧客の獲得をしているため、すでにサービスの導入段階まで入っているようなリードから、情報収集段階のリードまで、様々な種類のリードが営業に渡されるようになったのです。
そのため、まだ情報収集段階のリードなどの「サービス導入の温度感」が低いリードたちは、営業に渡されたあと放置されることも多くなっていました。
この問題を解決するための方法のひとつが、次の章で説明するリードナーチャリングになります。
リードナーチャリングとは?
リードジェネレーションにより獲得できるリードの数が増加したとしても、「ニーズがない」という理由で放置してしまっては、知らぬ間に競合にそのリードを奪われてしまうかもしれません。
そんな中で考え出されたのがリードナーチャリングです。
リードナーチャリングとは、「リード=見込み顧客」と「ナーチャリング=育成すること」の合成語で、その言葉の意味の通り、リードジェネレーションにより獲得したリードを、有益な情報提供などで自社サービスの教育をすることで、リードの購買意欲を高めていくことを目指す活動のことを指します。
リードナーチャリングの具体的な活動の例を挙げると、
・セミナーの実施
・メールマガジンの配信
・無料トライアルの実施(フリーミアムモデル)
フリーミアムモデルについて詳しく知りたい方は別の記事を用意していますので、下のリンクからどうぞ!
フリーミアムモデルとは?基礎や押さえるべきポイントなどを紹介!
様々なビジネスモデルの中でも、「無料」の強みを活かしたビジネスモデルが多くの成功を収めています。
今回はその中のフリーミアムモデルについて、そのメリット、フリーミアム利用時の課題、うまく利用する方法についてご紹介します。
以上のように、リードナーチャリングの活動もオンラインの活動からオフラインの活動まで様々なものがあります。
この中でも「メールマガジンの配信」は、リードナーチャリングのみならず、自社の存在を忘れられないためにも重要な役割りを担っています。
このようなリードナーチャリングの活動により、リードのニーズを顕在化させることで、営業の力を有益な商談に注ぐことができるようになるのです。
リードクオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングの段階で、特に見込み度の高い見込み顧客を選別するマーケティング手法のことを指します。
よく、簡単に「リードクオリフィケーション=見込み顧客の選別」と説明されます。
ここまで説明した、リードジェネレーションで見込み顧客を獲得し、リードナーチャリングにより購買意欲を高めた後、リードクオリフィケーションで見込み顧客を選りすぐっていく、という流れのイメージです。
見込み度合いを判断する方法としてはリードスコアリングという、見込み顧客の行動を数値化し、一定の数値に達すると「見込み度が高まった」と判断する、という手法があります。
見込み顧客の行動の具体的な例としては、
・お問い合わせ
・資料のダウンロード
・自社サイトの閲覧
・セミナーへの参加
などがあります。
これらの行動から、リードの見込み度を計り、選別したうえで見込み顧客に対し以下の要素の分析をします。
・顧客の行動履歴
・属性
・顧客が手にしている情報
これらの要素を分析し、リードクオリフィケーションの選別基準の軌道修正を行い続けることで、常に優良な営業アプローチリストを作ることを意識しましょう。
リードナーチャリングを効果的に行うために
リードナーチャリングは、獲得したリードの温度感を高める活動ですが、この活動はがむしゃらに行えば成果がでるかというと、そういうわけではありません。
効果的にリードナーチャリングを行うためには、それぞれのリードに合った方法で適切な情報を発信しなければなりません。
▼マルケト社の資料ダウンロードページにある3つの資料
このページの「リードジェネレーションとは?」の項目で、例としてマルケト社の資料ダウンロードページを出しましたが、これらの資料はそれぞれターゲットが異なります。
これらの資料を、メールマガジンでターゲットとなる人とは異なる人に届けてしまえば、メールを受け取った相手は不必要な情報を見て「押し売りっぽさ」を感じてしまい、最悪の場合メールマガジンを拒否するようになってしまうかもしれません。
この例のように、適切な方法・内容の情報発信ができなければ、リードとの関係構築がうまくいかず、リードの興味を低下させてしまう恐れがあります。
それぞれのリードに合ったナーチャリングを行うには、リードの見込み度を把握し、しっかりと分類し適したナーチャリングをする必要があります。
そこで、ここからはリードランク設定の例について、ご紹介したいと思います。
・リードのランク設定とは?
上の項でも説明したように、リードナーチャリングを効果的に行うためには、それぞれのリードに適したアプローチを行わなければなりません。
そのためにも、リードの情報から見込み度を分析し、正しく分類する必要があります。
しかし、一口にリードのランク設定といっても、企業によって適した分類の方法が異なる上、リードのランクそれぞれの意味の定義もハッキリとしたものはありません。
そのため、重要となるのは「社内での言葉の意味の統一」ということになります。
言葉の意味を統一することで、伝達の際のミスをなく、効率的に情報共有ができる環境づくりをしていきましょう。
何度も述べているように、一口に「見込み顧客」と言っても、様々な見込み度があり、購入に近いリード、商品やサービスを認知したばかりのリードなど、その購買の温度感によって種類分けがなされます。
まずはリードのランクを、その見込み度合によって6段階に分ける一例をご紹介します。
「Marketing Lead(ML)」
リードの実名データ全てのことを指します。
リードジェネレーションなどにより獲得したリードは、とりあえずここへ分類します。
「Marketing Accepted Lead(MAL)」
MLの中から、競合や協業している企業など、ターゲットとならないリードを除外し、残ったリード全てをここに分類します。
MALは基本的にマーケティング部門が対応していきます。
「Marketing Qualification Lead(MQL)」
MALの中でも、直近での接触の回数が多く、自社に対しての関心が高いと思われるリードのことを指します。
これらのリードは、マーケティング部門からインサイドセールス部門へ引き渡す価値があると判断されます。
「Sales Accepted Lead(SAL)」
MQLの中でも、インサイドセールス部門が営業活動を行うべきである、と判断されたリードをここに分類します。
また、リード自身から訪問依頼があった場合もここに分類します。
ここから先のフェーズでは、インサイドセールス・フィールドセールスが行う1対1の活動を行っていきます。
「Sales Qualification Lead(SQL)」
SALの中で、実際に訪問などを行い、自社についてやサービスの紹介、リードの所属する企業についてのヒアリングを行ったが、すぐには商談化しない方がよいと判断されたリードの中でも、関係構築は続けていくべきであると判断されたリードのことを指します。
「Opportunity(オポチュニティ)」
提案依頼をもらい、リードの課題や目標に対して、具体的な解決策と見積を提示し、受注するという段階に入ったリードを指します。
▼上記のリードの分類と「サスペクト」「プロスペクト」の関係、担当部門を表した表
・サスペクトとは?
サスペクトは日本語では「潜在顧客」とも言われ、こちらも同じように見込み顧客の中の一つであると定義されているところが多いです。
もう少し詳しく解説すると、上の表の中ではML・MAL・MQL・などと同じような意味で使われ、「今のところ商品やサービス購入の気配はないが、潜在的なニーズを持っている顧客」のことを指します。
なので、商談にたどり着いていないどころか、リストにすらなくてもサスペクトの定義になり得るということです。
見方を変えれば、サスペクトは「見込み顧客」ではないとも考えられるため、「リード」とは異なるものである、と分類されることもあります。
・プロスペクトとは?
プロスペクトも日本語ではリードと同じように「見込み顧客」と表されますが、一般的にはリードが指す「見込み顧客」よりも狭い意味で使われます。
というのも、プロスペクトは日本語に直訳すると「見通し」や「展望」という意味になり、上の表の中ではSALやSQLと同じような意味で使われることが多く、「商品やサービス購入の見通しがある顧客」であるという風に考えられるからです。
また、企業によっては「一度アプローチをかけたリードで、締結には至らなかったが、時間をかけて営業していくだけの価値のある顧客」という定義の仕方をすることもあります。
いずれにしても、リードよりも狭い意味を表し、なおかつリードの中でも見込みの度合いが高い顧客である、と定義されることが多いです。
これらのリードのランク設定をすることで、それぞれのリードに対して取るべきアクションが明確になり、リードナーチャリングだけでなく、マーケティング・営業活動全体の効率化
を図ることができます。
さらに、見込み度を常に計ることで、「購入の可能性のないリード」に対して無理なアプローチ をすることもなくなり、相手に悪い印象を与えることを回避できる上、マーケティング・営業活動の効率化も図ることができます。
まとめ
今回はリードジェネレーションとリードナーチャリング、リードクオリフィケーションについて、そして、リードのランク設定についてご紹介しました。
それぞれの言葉の意味についてしっかりと理解し、使い分けることでマーケティング施策の効率化と精度の向上、そして営業活動の効率化を図ることができます。
途中でも書いた通り、重要となるのは「それぞれの言葉の意味を社内で共有できているか」というところになります。
また、自社のマーケティング施策や営業活動の全体像をしっかりと把握し、適切な定義づけを行うことも重要となります。
そこを意識した上で、今回ご紹介したことをマーケティング活動の参考にしていただければと思います。