Account EngagementとSalesforceの連携ガイド|概要から導入事例まで徹底解説

目次

Account Engagementを利用している企業では、Salesforceとデータ連携を行い、マーケティングや営業活動をより効率化し、さらに高度な施策を実現したいと考えている方が多いことでしょう。

Account EngagementとSalesforceの連携設定には、コネクターの設定、権限の調整、ページレイアウトの設定など、いくつかの手順を踏む必要があります。しかし今回は、特にシステム間の連携後に活用を進める上で重要となる「データ連携」について、詳しく解説していきます。

Account EngagementとSalesforceを連携する理由

Account EngagementとSalesforceを連携することで、Web施策の結果分析が可能になり、営業サイドへ早期に顧客情報を引き渡すことができます。この連携により、マーケティング活動だけでなく営業活動にも有効活用することができるのです。

Account Engagementとsalesforceの保持データの違い

まず最初に、Account EngagementとSalesforceのデータ連携について、システム間の連携概要と各システムでどのようなデータを保持しているかを確認しましょう。

Account Engagementが持っているデータ

Account Engagementで保持しているデータ

Account Engagementがデフォルトで保持しているデータは、大きく以下の3種類に分類されます。

プロスペクト

Account Engagementでは「見込み客」や「リード」のことを「プロスペクト」と呼び、これはAccount Engagementの運用における中心的なデータで「人」に関わる情報を指します。具体的には、以下のようなデータを保持します:

  • 姓、名、メールアドレス、電話番号、住所などの基本情報
  • 独自に設定できるカスタム項目

プロスペクトデータはSalesforceのリードや取引先責任者オブジェクトと双方向に同期することが可能です。このため、Account EngagementからSalesforceの項目を更新したり、SalesforceからAccount Engagementのプロスペクト項目を更新したりできます。

参照:プロスペクトとは?混同しがちなリードとの違いも解説

プロスペクトアカウント

プロスペクトアカウントデータは「取引先」に関わる情報を指し、以下のようなデータを保持します:

  • 企業名、業種、従業員数、請求先住所などの詳細情報
  • 独自に設定できるカスタム項目

プロスペクトアカウントはSalesforceの取引先データを読み取ることが可能ですが、双方向に同期は行われません。

商談

商談データはSalesforceの「商談」に関するデータで、以下の特徴があります:

  • Salesforceの商談オブジェクトで保持しているデータをAccount Engagementから読み取り可能
  • デフォルトで商談項目が設定されていないため、必要に応じてカスタムオブジェクトとして設定が必要

salesforceが持っているデータ

Account Engagementにデフォルトで連携可能なSalesforceのデータは、以下の4種類です。

リード

リードは見込み客に関するデータで、営業プロセスにおいて重要な役割を果たします。具体的には以下のデータを含みます:

  • 名前、会社名、電話番号、メールアドレスなどの基本情報
  • 職種、役職、業界、会社規模などの詳細情報
  • 興味や関心、購買意欲、ニーズに関する情報
  • リード獲得チャネルや成功したキャンペーンに関する情報

参照:Salesforceのリードとは?取引先責任者との違いや管理ステップ、使い方などを詳しく解説

取引先責任者

取引先責任者データは顧客(取引先)の担当者情報を管理するためのデータで、以下の情報を含みます:

  • 名前、役職、連絡先情報(メールアドレス、電話番号)などの基本情報
  • 取引先との関係、担当業務、役割に関する情報
  • キャンペーンへの反応や興味を持っているマーケティング活動に関する情報

取引先

取引先データは、取引先企業に関する情報を管理するためのデータで、以下の情報を含みます:

  • 取引先企業の名前、住所、電話番号、ウェブサイトなどの基本情報
  • 業界、製品やサービス、財務情報に関する詳細情報
  • 契約情報、注文情報、請求・支払い情報など

商談

商談データは、取引先企業の収益に関わる重要な情報を管理するためのデータで、以下の情報を含みます:

  • 商談の状態、進捗状況、予想クローズ日などの基本情報
  • 商談に関連する製品やサービス、見積もり、価格情報
  • 関係者情報(取引先企業や取引先責任者、商談担当者)
  • 商談成功率や見込み客との関係性、商談の経緯に関する情報

補足:カスタムオブジェクト
上記の「標準オブジェクト」以外にも、企業独自に作成した「カスタムオブジェクト」をAccount Engagementと連携することが可能です。ただし、カスタムオブジェクトは読み取り専用で連携される点に注意が必要です。

Account Engagementとsalesforceの連携の仕組み

Salesforce IDをキーにしてデータを同期

Account EngagementのプロスペクトとSalesforceのリード・取引先責任者データは、双方向で同期が行われます。この際、Salesforce IDを一意のキーとしてレコードを識別し、連携対象を決定します。加えて、二次的なキーとして「メールアドレス」を利用し、Salesforce IDが一致しない場合にはメールアドレスで連携対象を特定します。

Account EngagementとSalesforceでマスタデータを項目ごとに決定

プロスペクトとリード・取引先責任者データでは、項目単位で以下の3つのパターンからどちらをマスターデータとするかを決定します。

  • Salesforceの値を優先
  • Account Engagementの値を優先
  • 最近更新したレコードを使用

Account EngagementとSalesforceのデータ同期間隔は2~4分

Account Engagementは更新されたデータを2~4分ごとにSalesforceへ同期する処理を実行します。

Account EngagementからSalesforceにリードを作成するためのユーザー割り当て

Account Engagementを導入している企業でよくある課題ですが、プロスペクトを新規作成するだけではSalesforceに自動的にリードは作成されません
Account Engagement側でプロスペクトに対しSalesforceユーザーを割り当てることで、初めてSalesforceにリードが作成されます。

Salesforceで新規リードを作成しても自動でAccount Engagementプロスペクトは生成されない

逆に、Salesforceでリードや取引先責任者を新規作成した際に、Account Engagementでもプロスペクトを自動で新規作成したい場合は、「コネクター設定」をカスタマイズする必要があります。「コネクター設定をカスタマイズ」セクションの該当項目にチェックを入れることで、Account Engagementにプロスペクトが自動作成されるようになります。

プロスペクトとリード・取引先責任者間での連携の順序

Account Engagementとsalesforceのデータ連携での確認ポイント

ここまで、Account EngagementとSalesforceのデータ連携における仕様やロジックを解説してきましたが、その他に押さえておくべき重要なポイントを以下にご紹介します。

Account Engagementプロスペクトは自動作成・連携されない

Account Engagementを初めて導入する際、Salesforceリード・取引先責任者データをAccount Engagementに作成・連携するためには、以下の作業が必要です。

  • Salesforce IDを含むSalesforceデータをエクスポート
  • エクスポートしたデータをAccount Engagementにインポート

なお、初回同期が完了した後は、どちらかのシステムでレコードが更新されると、その更新内容が自動的に同期されるようになります。

一部のレコードの連携を停止したい場合

Account EngagementとSalesforce間のメールアドレスが一致するレコードの同期を停止するには、以下の方法があります。

  • 個別のプロスペクトのCRM同期を無効化する方法
    1. 対象のプロスペクトレコードに移動します。
    2. [CRM同期を無効化] をクリックします。
  • 複数のプロスペクトのCRM同期を無効化する方法
    1. 対象となるプロスペクトに対し、オートメーションルールを設定します。
    2. アクションとして**[CRMと同期しない]** を選択します。

また、CRM同期が無効化されたプロスペクトには、プロスペクトレコード上で名前の横にグレーのアイコンが表示されます。

プロスペクト数と連携レコード数の確認を忘れずに

Salesforceを先行して利用している場合、Account Engagementを導入する際に次の点を確認してください。

  • Salesforceに登録されたリード・取引先責任者の数が、Account Engagementの契約プロスペクト数を超えていないか。

契約プロスペクト数を超えそうな場合は、以下の対応を検討してください。

  • 「マーケティングデータ共有ルール」を設定し、特定の条件に一致するレコードのみをAccount Engagementに登録・連携する

商談データは取引先責任者ロールが必要

Account Engagementで商談データを連携するには、「取引先責任者のロール」を指定する必要があります。この点は見落としがちなため、注意が必要です。

  • 取引先責任者ロールが未指定の商談は、Account Engagementから商談データを読み取ることができません。
  • Salesforceで商談を新規作成しても、取引先責任者のロールを指定しない限りAccount Engagementに連携されないことを覚えておきましょう。

対策

  • 取引先責任者ロール未指定の商談を定期的に確認する。
    • レポートを利用して一覧化し、ロールの未指定をなくすよう運用ルールを設けると効果的です。

連携後に使えるAccount Engagementの便利な機能

登録済みの連携先をプルダウンメニューから選択可能

これは連携時の便利機能です。Account Engagementのプロスペクト各項目をSalesforceに連携させる際、プルダウン形式で簡単に項目を選択可能です。

一見地味な機能に思えますが、ツールの運用や活用における使いやすさがポイントとなります。この機能により連携作業がスムーズになり、次のアクションに迅速に移れます。

連携するデータの「優先度」を設定可能

Account EngagementとSalesforceを同期する際に、どちらのシステムの値を優先するかを指定できます。

  • 例: Salesforceの値を優先すると、Account Engagementの値を変更しても上書きされません。その逆も可能です。
  • また、片方の値が空白の場合は、入力されている方の値が自動的に適用されます。

この機能により、顧客の社内異動に伴う部署や連絡先の変更時など、重要な情報の誤登録を防止できます。

Salesforceのキャンペーン状況をリアルタイムで確認可能

連携することで、Account Engagement上でSalesforceキャンペーン情報を確認できます。

  • キャンペーン内のプロスペクト数
  • 個々のスコアやグレードの情報

これらを基に、プロスペクトをリスト化したり、タグ付けを行えます。スコアやグレードを活用してキャンペーンの分析を行い、さらに次のナーチャリング施策に進めることが可能です。

Salesforceキャンペーンの新規作成や編集が可能

キャンペーン状況の把握だけでなく、Account Engagement上でSalesforceキャンペーンの作成やプロスペクトの追加が可能です。これにより、Salesforceを操作することなく、Account Engagementで作業を完結できます。

  • 例: プロスペクトの追加作業を行う際、両方のツールを開かずに操作できるため、効率的です。

営業担当者のアサインやTODO管理が簡単にできる

連携することで、Account Engagementから営業担当者の割り当てやTODOの管理ができるようになります。

  • 例: フォームを通過した見込み客を営業に割り当て、通知を送信し、TODOの進捗を管理できます。

これにより、マーケティングから営業への情報引き渡しがスムーズになります。

商談データのシームレスな連携が可能

Salesforceの商談データをAccount Engagementに参照専用の項目として連携可能です。

  • 商談状況を基に、セグメント条件として設定できます。これにより、商談状況に応じたマーケティング施策を柔軟に展開できます。

Account Engagementでは、商談の完了予定日、作成日、削除済みなどの項目が標準でマッピングされています。

  • 標準項目以外を確認したい場合は、商談項目のマッピング設定を参照してください。

マッピングとは?

マッピングとは、データをインポートまたは連携する際に、異なるシステム間の項目を一致させて関連付ける作業のことを指します。これにより、データの一貫性が保たれます。

連携エラーとトラブルシューティング

Account EngagementとSalesforceを連携する際、まれにエラーが発生することがあります。ここでは、発生しやすいエラーとそのトラブルシューティング方法について解説します。

よく起こるエラーと対処方法

  1. プロスペクトが同期されない
    • Account Engagementの「管理」→「コネクター」から**「再同期」**を実施してください。
  2. プロスペクトが重複して同期される
    • 重複したプロスペクトのマージを行うか、不要なプロスペクトを手動で削除して対処します。
  3. 項目の値が同期で元に戻る
    • 同期による項目の値が意図せず片方のシステムの値に戻る場合は、連携する値の優先度設定を見直す必要があります。

その他のエラーとその原因

以下のようなエラーが発生する可能性があります。

  1. メールアドレス形式の違いによる同期エラー
    • Account EngagementとSalesforceでメールアドレスの入力形式のルールが異なる場合、同期エラーが発生します。
      • 例: 「@」の前後に「.」がある場合、SalesforceではNG、Account EngagementではOKとされる。
  2. 文字数制限の違いによる同期エラー
    • Salesforceには文字数制限がありますが、Account Engagementにはありません。この違いが原因でエラーが発生することがあります。
  3. 追加・変更したフォーム項目の同期エラー
    • Account Engagementでフォームに項目を追加・変更した場合、Salesforceにも同じ項目を準備しないと同期エラーが発生します。
  4. 数値の桁数が上限を超える場合のエラー
    • SalesforceとAccount Engagementで数値形式のデータを同期する際、数値の桁数がSalesforceの上限を超えるとエラーになります。
  5. 複数値を含む項目の同期エラー
    • Account Engagementの項目に複数値が含まれている場合、Salesforceでは複数値を受け入れられないため、最後に追加された値だけが更新されることがあります。

エラー発生時の注意点

初めて連携を行う際は、エラーを防ぐために少しずつ進めることをおすすめします。

さらに詳しいトラブルシューティング

  • 上記以外にも「項目がうまく同期されない」などのトラブルが発生する場合は、公式リソース「Account Engagementで項目が同期されない」を参照してください。

さいごに

ここまで、Account EngagementとSalesforceのデータ連携に関する仕様や重要なポイントをご紹介しました。ここを読み進めていただいた皆様は、担当者が注意すべきポイントも含めてデータ連携仕様についての理解が深まったのではないでしょうか。

効果的なマーケティング活動を展開するためには、必要なデータをいつでも利用可能な状態に保つことが不可欠です。しかし、その状態を維持し続けるためには、今日ご紹介した内容以外にも、Account EngagementやSalesforceの仕様や業務フローを十分に把握し理解しておくことが求められます

とはいえ、マーケティング担当者が日々の業務を行いながら、これらの対応を1人で担うのは現実的ではありません。そのため、別の担当者や外部パートナーと協力して推進していくことが重要になるでしょう。

当社ストラでは、Account EngagementとSalesforceのデータ連携に加え、連携後の施策設計・実行、さらには運用改善までを実績豊富なコンサルタントが一貫してご支援いたします。

Account EngagementやSalesforceの活用でお困りごとがございましたら、ぜひお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

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