CRM × AIで営業力を強化！AI搭載のCRM18選とツールを選ぶ際の注意点

CRMとは、「Customer Relationship Management」の略称で、顧客の情報や行動履歴を記録・管理し、顧客との関係を最適化するための仕組みです。主に、顧客との信頼関係を深めたり、リピート購買を促進するために利用されるツールを指します。

現在、CRMツールを提供する企業は多数存在しており、時代の流れに応じて新たな機能が次々と追加されています。中でも、注目されているのが「生成AI」を活用した機能で、各社から次々と新機能が発表されています。

この記事では、生成AI機能を搭載したCRMツールのおすすめ18選をご紹介します。CRMの新規導入や乗り換えを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

AI搭載のCRMツールの重要性

AI搭載ツールをCRMシステムに統合することで、データに基づいた顧客対応が可能になり、消費者と企業の双方にとって顧客体験を向上させることができます。AIや自動化機能をCRMソフトウェアに組み込むことで、顧客の行動、ニーズ、嗜好などに関する深いインサイトを得られるようになり、顧客データの活用がこれまで以上に高度化しています。

では、どのようにしてこの状況に至ったのでしょうか？CRMの中心には顧客エンゲージメントがあります。技術の進歩に伴い、顧客のニーズも進化してきました。CRMソフトウェアのベンダーは長年AIの可能性に注目してきましたが、近年になりその人気が急上昇し、企業と顧客のコミュニケーションを革新しています。

初期のCRMシステムは、会計部門が管理・利用していた顧客情報や顧客対応履歴のデータベースに過ぎませんでした。しかし、時が経つにつれ、マーケティングや営業チーム、カスタマーサポートなど他の部門向けに機能やツールが拡充されていきました。一方で、企業の成長とともに顧客の期待値も上昇し、顧客維持の重要性が増していきました。

CRMプラットフォームによって生成される膨大なデータ量は、従来のシステムでは処理しきれなくなり、新たな解決策が求められるようになりました。そこで登場したのが生成AIツールで、これが現在のCRMシステムの仕組みを大きく変えたのです。

AI搭載のCRMツールでできること

CRMにおけるAIは、機械学習、自然言語処理、予測分析を活用して、顧客関係管理を強化します。AIは膨大なデータを解析し、人間には発見が難しいパターンやトレンド、インサイトを見つけ出すことが可能です。たとえば、AIは顧客とのやり取りを分析して、コンバージョンの可能性が高いリードを予測し、営業チームが優先順位をつけてアプローチできるように支援します。また、データ入力やリードスコアリングなどの定型業務を自動化し、業務効率を向上させます。

さらに、AI搭載のチャットボットは、基本的な顧客問い合わせを24時間対応可能にし、即時回答を実現します。予測分析は売上トレンドを予測し、企業がより効果的な戦略を立てるのを支援します。また、自然言語処理（NLP）を活用した感情分析により、顧客のコミュニケーションから感情や満足度を把握することも可能です。

AI搭載のCRMツールおすすめ18選

Salesforce Einstein Copilot

Salesforceは、カスタマイズ性とスケーラビリティに優れたリーディングCRMツールです。2024年2月27日には、Einstein Copilotのパブリックベータ版を発表しました。

Salesforce Einstein Copilotの主な特徴：

• データ統合：外部システム（Google Cloud、Amazon、Snowflakeなど）と連携し、構造化データや非構造化データをSalesforceのワークフローに統合。
• 顧客対応の強化：データに基づくインサイトを活用し、顧客サービスや営業活動をパーソナライズ化。
• スマートインサイト：業界トレンドやパターンをAIで分析。
• インテリジェントな推奨機能：見込み顧客の発見や営業戦略の最適化を支援。
• タスクの自動化：メールのフォローアップ、スケジュール設定、レポート作成などを自動化。

メリット： 高いカスタマイズ性、豊富な連携機能、強力な分析能力
デメリット： コストが高い場合がある

Microsoft Dynamics 365

Microsoft Dynamics 365は、CRMとERP機能を統合した包括的なAIツールです。AIを活用して、アクション可能なインサイトを提供し、顧客対応をパーソナライズ化します。

Microsoft Dynamics 365の主な機能：

• 営業支援（Dynamics 365 Sales）：リードや商談の進捗を要約し、メールの返信や会議要約を自動生成。
• 顧客サービス（Dynamics 365 Customer Service）：AIチャットボットを活用してクエリに対応。
• 顧客インサイト（Dynamics 365 Customer Insights）：行動データと人口統計を分析してターゲットメールを作成。
• サプライチェーン管理：外部要因（天候、財務）を分析し、影響を受ける注文を特定。

メリット： Microsoft製品とのシームレスな統合
メリット： 学習が極端

HubSpot

HubSpotは中小企業向けに設計されたAI搭載CRMツールで、直感的なインターフェースとリードスコアリング、予測分析などのAI機能を提供します。

主なAIツール：

• Content Assistant：ブログ記事のアウトライン作成、ランディングページやメールのコピー作成をサポート。
• ChatSpot.ai：マーケティングプランの構築、コンテンツ生成、SEO分析を簡素化。

メリット： 使いやすい、優れたインバウンドマーケティングツール、無料プランあり
デメリット： 低価格プランでは高度な機能が制限される

Zoho

Zohoは、AIアシスタント「Zia」による予測分析や感情分析、自動化機能を提供するCRMツールです。

Ziaの機能：

• リードの割り当て：最適な担当者にリードを振り分け、対応を最適化。
• AI予測：データの精度を評価し、予測精度を向上。
• 販売機会の分析：クロスセルやリピート購入のタイミングを特定。

メリット： 手頃な価格、幅広い連携機能
デメリット： 高度な機能の習得には時間がかかる

Pipedrive

Pipedriveは、営業チームに特化したAI CRMツールです。AI機能「Sales Assistant」や「Smart Contact Data」が、営業活動を効率化します。

メリット： 使いやすい、営業特化型
デメリット： 非営業活動向けの機能が限られている

Zendesk

Zendeskは、顧客サービスとサポートに特化したCRMツールで、AIによる会話型ボットやセマンティック検索を提供します。

メリット： 他のツールとの統合が容易
デメリット： CRMとしての機能が限定的

Freshworks

FreshworksのAI「Freddy」は、リードスコアリング、予測分析、営業予測をサポートします。

メリット： 手頃な価格の有料プラン
デメリット： 開始時に開発者のサポートが必要な場合がある

Creatio

Creatioは、ノーコード機能とAIによるデータ分析を特徴としたCRMツールで、カスタマイズ性に優れています。

メリット： 幅広い統合機能
デメリット： 高度な機能には高額な費用が必要

ClickUp

ClickUpは、生産性向上を目的としたツールで、「ClickUp Brain」AIが業務を効率化します。

メリット： 多用途、他ツールとの統合が優れている
デメリット： 読み込み時間が長い場合がある

Insightly

Insightlyは、関係性インテリジェンスと自動化機能を融合したCRMツールです。

Insightlyの主な機能：

• コンタクト＆リード管理
• プロジェクト＆タスク管理
• カスタマイズ可能なダッシュボード
• 詳細なレポートと分析

メリット： プロジェクト管理とCRM機能の統合
デメリット： ユーザーインターフェースが直感的でない場合がある

Oracle

Oracleの「AI for Customer Experience」は、マーケティング、営業、サービスを支援するAI機能を提供します。

メリット： 強力な予測分析
デメリット： 専門的なITリソースが必要

SAP

SAPは、営業予測やリアルタイムインサイトを提供する高度なAI CRMツールです。

SAPの主な機能：

• 営業分析とレポート
• リード＆機会管理
• AIを活用した営業インサイト
• SAPビジネススイートとの統合

メリット： 包括的な顧客インサイト
デメリット： カスタマイズが複雑

Durable

Durableは、持続可能性と顧客関係管理を重視したCRMツールで、環境に配慮したビジネスプラクティスをサポートします。

Durableの主な機能：

• 連絡先のインポート：既存の連絡先を自動的にCRMに取り込む。
• メールの同期：CRM内でメールを作成・送信し、過去の通信履歴を活用。
• AIによるメール作成：過去の顧客通信データを元にパーソナライズされたメッセージを生成。
• 中央集約型管理：すべての顧客とのやり取りを一元管理。

メリット： カスタマイズ可能な顧客対応
デメリット： ユーザーベースが小さいため統合機能が制限される場合がある

C3 CRM

C3 CRMは、電気通信、ユーティリティ、ヘルスケアといった複雑な業界向けに設計された高度なAI搭載CRMです。

C3 CRMの主な機能：

• 売上予測：地域、製品、アカウント別に精度の高い予測を提供。
• リスクアラート：販売機会に影響を与える要因を事前に通知。
• パイプラインの可視化：営業プロセスを視覚的に管理。

メリット： 業界特化型のソリューション
デメリット： 導入には専門知識が必要

Monday.com

Monday.comは、プロジェクトとクライアント管理を効率化するためのAI搭載CRMツールです。

Monday.comの主な機能：

• AIオートメーション：条件に応じてタスクを自動化し、反復作業を削減。
• カスタムワークフロー：チームの効率を最大化するための柔軟なプロセス管理。

メリット： ユーザーフレンドリーなインターフェース
デメリット： 自動化機能が他ツールと比べて制限される場合がある

Capsule CRM

Capsule CRMは、小規模ビジネスやフリーランス向けに設計されたシンプルなCRMツールです。

Capsule CRMの主な機能：

• AIコンテンツアシスタント：メール作成やフォローアップの準備を効率化。
• キャンペーン調整：メールやマーケティングキャンペーンを迅速に修正・最適化。

メリット： 手頃な価格
デメリット： 報告機能が基本的なレベルに留まる

Itransition

Itransitionは、カスタマイズされたCRM体験を提供するサービスプロバイダーで、業界固有のニーズに合わせたCRMの開発をサポートします。

Itransitionの主な機能：

• カスタム構成：必要な機能を的確に備えたCRMを構築。
• 包括的なセットアップ：データのインポートからシステムテストまでサポート。
• 専門トレーニング：CRMとそのAIツールの使い方を習得するためのトレーニングを提供。

メリット： 包括的なAI機能
デメリット： 機能を使いこなすにはトレーニングが必要

ActiveCampaign

ActiveCampaignは、メール、SMS、その他のチャネルを通じて顧客体験を向上させるAIツールを活用しています。

ActiveCampaignの主な機能：

• 精密なセグメンテーション：顧客行動に基づく細分化でパーソナライズされたアプローチを実現。
• 自動化されたマーケティング戦略：効果的なメッセージ配信を通じてエンゲージメントとコンバージョン率を向上。

メリット： 高精度なセグメンテーション
デメリット： ユーザーフレンドリーな機能が不足している場合がある

AI搭載のCRMツールおすすめ比較表

AI搭載のCRMツールを導入するメリット

AIをCRMに統合することで、ビジネス運営や顧客関係を強化するさまざまな利点が得られます：

リードスコアリングの強化

AIは膨大なデータを分析し、コンバージョンの可能性が高いリードを優先順位付けすることで、営業活動を効率的に進めることが可能です。

定型業務の自動化

AIは、データ入力、スケジュール管理、フォローアップリマインダーなどの繰り返し作業を自動化し、スタッフが戦略的な業務に集中できる環境を提供します。

予測分析

売上トレンド、顧客行動、解約の可能性を予測することで、企業がプロアクティブな戦略を立てるのを支援します。

パーソナライズされた顧客対応

顧客データを分析して、マーケティングキャンペーンや商品提案、コミュニケーションを個々の嗜好に合わせて最適化します。

24時間対応の顧客サポート

AI搭載のチャットボットは、基本的な問い合わせに24時間対応し、迅速な回答と顧客満足度の向上を実現します。

感情分析

顧客とのやり取りを分析して感情を把握し、懸念事項への迅速な対応や、好意的なフィードバックの活用を可能にします。

データ分析の強化

膨大なデータセットを分析し、意思決定に活用できるインサイトを抽出します。

業務効率の向上

AIがデータ分析や自動化を担当することで、CRMプロセスが迅速かつ効率的になります。

人的エラーの削減

AIはデータ入力や分析、予測における人為的なミスを最小化し、より正確な結果を提供します。

継続的な学習

AIシステムはデータを処理するほどアルゴリズムを改良し、時間とともにパフォーマンスを向上させます。

これらのメリットにより、AIはCRMの効率化だけでなく、顧客体験の向上や収益の最大化にも貢献します。

CRMにおけるAI導入の課題

CRMにAIを導入することには多くのメリットがある一方で、さまざまな課題も存在します。IBM Institute for Business Valueの調査によれば、78%の経営者が生成AIを顧客および従業員体験に拡張するアプローチを持っていると述べているものの、多くが一貫した品質を確保する方法に悩んでいるとしています。さらに、56%が生成AIの出力をレビューし、問題を解決するプロセスを持っていないと回答しています。以下が主な課題です。

時間とコスト

AIをCRMシステムに導入する初期設定には、組織の規模や特定のビジネスニーズに応じて、時間がかかる場合があります。スムーズな導入にはチーム間の効果的な連携が必要です。また、複雑なAIシステムほど導入費用が高額になる可能性があり、コスト管理も重要な課題となります。

サイバーセキュリティ

顧客サービスを向上させるためには、外部データと内部データの適切な管理が不可欠です。これには多くの場合、顧客の個人データが含まれるため、これを法令に従って安全に保管し、適切な目的でのみ収集・使用することが求められます。また、顧客が自分のデータがどのように使用・保管されているのかを認識できる仕組みも必要です。

AIと人間サービスのバランス

AIを搭載したCRMは高度に自動化されることで、人間的なつながりが失われる可能性があります。これにより、顧客が企業との個人的なやり取りを求める場合、不満を感じることも考えられます。そのため、企業はAIは情報提供や効率化のためのツールであることを顧客に伝え、人間的なサポートも提供可能であることを強調する必要があります。

AI搭載のCRMツールを導入する際の注意点

AIによる分析はあくまでも指標の1つとして考える

AIが提供する分析結果や予測は、過去のデータから導き出された傾向に基づくものであり、「なぜその商品が欲しいのか」といった深層的な理由までは解析できません。そのため、AIの分析を完全に鵜呑みにするのではなく、人間の視点や知能を加味しながら活用することが重要です。

ポイントは、AIによる分析結果をあくまでも意思決定を補助する指標の1つとして位置づけることです。最終的な判断には、人的な洞察力や経験を組み合わせる必要があります。

過去のデータに依存している

AIは基本的に過去のデータを基に学習と分析を行うため、以下の点に注意が必要です：

1. データの正確性
   学習に使用されるデータに誤りが含まれている場合、分析結果も正確性を欠く可能性があります。
2. データ量の不足
   学習データが十分でない場合、AIの予測結果の信頼性が低下します。
3. 新しい傾向に対応できない場合がある
   AIは過去のパターンに基づいているため、急激な市場変化や新しいトレンドには対応が遅れることがあります。

これらの特性を理解し、AIの分析結果をすべて正しいと過信せず、補助的なツールとして活用する姿勢が大切です。

失敗しないCRMツールの選び方

導入形態で選ぶ

CRMの導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解した上で選択することが大切です。

クラウド型

• メリット
  • 初期費用が安く、迅速に導入可能
  • インターネットブラウザからアクセスでき、リモートワークにも対応
  • システム運用が不要で、常に最新バージョンを利用可能
• デメリット
  • 長期的なランニングコストが高額になりがち
  • カスタマイズ性が低い
  • 不正アクセスや情報漏洩のリスクがある

オンプレミス型

• メリット
  • 高いセキュリティ性
  • システムを一括購入するため、長期的なコストを抑えやすい
  • 柔軟なカスタマイズが可能
• デメリット
  • 初期費用や導入時間が大きい
  • 運用には専門知識や人材が必要

選択のポイント
自社の規模、ITリソース、長期的なコストを考慮して、適切な導入形態を選びましょう。

自社に必要な機能・スペックで選ぶ

CRMの機能は多岐にわたりますが、自社のサービスや目標に合致したものを選ぶことが重要です。導入目的や改善したい課題を明確にし、必須の機能と妥協可能な機能を整理しておきましょう。

• BtoB向けに必要な機能
  • 名刺登録機能
  • 顧客企業の基本情報や取引履歴管理機能
  • 営業活動の進捗管理やレポート作成機能
• BtoC向けに必要な機能
  • 顧客基本情報や購入履歴の登録機能
  • 一斉メール配信や開封率分析機能
  • 流入経路の特定やニーズ分析機能

他システムと連携できるか

CRMが他の業務システムと連携できるかどうかも重要です。
特に、以下のツールと連携することでさらなる効率化が期待できます：

• SFA（営業支援ツール）
  営業活動の進捗管理や商談履歴の共有が可能。
• MA（マーケティングオートメーション）
  顧客行動を基にしたターゲティングや効率的なアプローチが可能。
• CMS（コンテンツ管理ツール）
  WEBサイト上の顧客行動データを基に、コンテンツの最適化が可能。
• SCM（サプライチェーン管理）
  顧客ニーズを基にした在庫管理や供給最適化が可能。

従業員が使いやすいか

日常的に使用するツールであるため、操作性や画面の見やすさも選定の重要なポイントです。
移動中にはタブレットやスマートフォンを使う機会も多いため、デバイスに適した仕様が整っているかも確認しましょう。
無料トライアルを利用し、実際に操作感を試すことをおすすめします。

セキュリティ対策がされているか

CRMは多くの顧客情報を扱うため、セキュリティ対策は非常に重要です。以下の点を確認しましょう：

• データ暗号化の有無
• IPアドレスによるアクセス制限
• 定期的なバックアップ体制

官公庁や金融機関への導入実績があるCRMは、高いセキュリティ基準を満たしている可能性が高いです。

サポート体制は手厚いか

導入後にトラブルや疑問が生じた場合、ベンダーのサポート体制が充実しているかは大きな安心材料となります。
以下の項目を事前に確認しておきましょう：

• サポート受付時間
• 対応可能な曜日
• サポート期間の長さ

さいごに

AI搭載のCRMは、顧客データを多角的に分析し、改善点を提案する機能を持つため、営業活動の効率化や顧客満足度の向上が期待できます。

しかし、AI導入に際しては、注意すべきポイントを事前に把握することが重要です。CRMには多くのツールが存在するため、自社のニーズに合った機能や特徴を慎重に判断し、適切なAI搭載システムを選定・導入する必要があります。

AI搭載のCRMを導入する際には、この記事を参考に最適なシステムの選定や準備を進めることで、業務効率化や顧客満足度向上といったメリットを最大限に享受できる環境を整えましょう。