目次
- 1 SFAとは?営業支援ツールの基本を解説
- 2 CRMとは?顧客管理ツールの基本を解説
- 3 SFAとCRMの役割の違いをわかりやすく解説
- 4 SFAとCRMの機能面での違いとは?
- 4.1 SFAの機能
- 4.2 CRMの機能
- 5 SFAとCRMの活用シーンの違い
- 5.1 CRMの活用場面
- 5.2 SFAの活用場面
- 6 SFAとCRMの導入メリットを比較
- 6.1 CRMの導入メリット
- 6.2 SFAの導入メリット
- 7 SFAとCRM、どちらを選ぶべき?判断ポイントを解説
- 8 SFAとCRM導入時に注意したいポイント
- 8.1 SFA・CRMの導入を目的にしない
- 8.2 社内のシステム管理者を決めておく
- 8.3 現場の営業パーソンの使い勝手を重視する
- 8.4 サポートの充実度を確認しておく
- 8.5 導入前に無料トライアルを利用する
- 9 SFAとCRM運用を成功させるための秘訣
- 9.1 現場に定着させる
- 9.2 継続したPDCAサイクルの実施
- 10 まとめ:SFAとCRMを活用してビジネスを効率化しよう
営業活動におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、欠かせないツールとして挙げられるのが「SFA」と「CRM」です。これらの用語を耳にする機会は多いものの、「具体的にどこが異なるのか」をはっきり説明できる人は少ないかもしれません。
そこで本記事では、SFAとCRMの基本的な意味や基礎知識を確認しながら、それぞれの役割や機能の違いを詳しく解説します。
SFAとは?営業支援ツールの基本を解説
SFAは、**Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略で、「営業活動の自動化」や「営業支援ツール」を指します。また、「営業支援システム」という呼び方をされることもあります。
SFAは、既存の営業プロセスを効率化・自動化するシステムとして活用されます。例えば、商談開始から受注までの進捗状況をデジタルデータで可視化したり、営業プロセスを管理・分析する機能を持っています。
CRMとは?顧客管理ツールの基本を解説
CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)は、「顧客関係管理」を意味します。顧客との長期的な良好な関係を築くことで、LTV(顧客生涯価値)の向上を目指す経営手法として広く認知されています。
CRMを実現するために登場したのがCRMシステムですが、近年では「CRM=CRMシステム」として使われることも多く、本記事でもこの意味合いで説明を進めていきます。
SFAとCRMの役割の違いをわかりやすく解説
SFAとCRMの違いを役割の観点から見ると、営業活動のプロセス内でそれぞれ異なる役割を担っています。以下のように分けられます:
- SFA:主に「商談から受注」までのプロセスを支援。
- CRM:受注後の顧客との関係を管理・強化。
SFAの役割
SFAは、見込み顧客への営業アプローチを効果的に進めるためのツールです。進捗の管理や営業活動の最適化・効率化をサポートすることが主な目的です。
CRMの役割
CRMは、顧客データベースを活用して顧客行動を分析し、関係を強化する仕組みを提供します。これにより、既存顧客との良好な関係を維持し、さらなるビジネスチャンスを生み出します。
まとめると、SFAは営業プロセスの管理・効率化に特化したツール、CRMは顧客との長期的な関係構築に注力するツールとして、それぞれ異なる役割を担っています。
SFAとCRMの機能面での違いとは?
SFAとCRMは、提供する機能が異なり、それぞれのデータ活用方法にも違いがあります。
SFA | CRM |
---|---|
案件情報管理や営業効率化の機能 | 顧客データ管理やカスタマーサポート機能 |
SFAの機能
SFAでは、主に以下のような営業管理と効率化をサポートする機能が中心です:
- 案件進捗管理
商談や受注の進行状況を確認し、部門全体の目標達成率を把握。 - 営業履歴のデータベース化
- 見込み顧客の属性情報
- 見込み顧客へのアプローチ履歴
- 見込み顧客の反応
- 営業効率化
部門全体でデータ共有が可能となり、以下の課題解消に寄与します:- 案件引継ぎのスムーズ化
- 営業活動の属人化の防止
- 一元管理機能
- 案件管理
- レポート作成
- 営業日報・見積書の作成
これらを一括してサポートすることで、営業活動の効率化を実現します。
CRMの機能
CRMでは、顧客データの活用とサポート強化に重点を置いた機能が充実しています:
- 顧客データ管理
- 顧客属性や行動履歴を記録・分析。
- 顧客にとって関連性の高い情報を提供することで、効果的なマーケティング施策を展開。
- カスタマーサポート機能
- メールや電話のやり取りを顧客データに紐づけて記録。
- 次回以降の営業活動に活用可能。
- 問い合わせ対応機能
顧客情報や過去のやり取り履歴に瞬時にアクセスできるため、対応の迅速化と質の向上を実現。
SFAとCRMの活用シーンの違い
CRMはマーケティング部門やサポート部門を含む幅広い部門で活用される一方、SFAは主に営業活動に特化しています。この違いにより、それぞれのツールが得意とする場面が異なります。ただし近年では、SFA機能を内包したCRMを営業部門が利用するケースも増えています。
CRMの活用場面
マーケティング部門での利用例
- リード情報の管理
Webフォームから収集した情報が自動でCRMに登録されるツールでは、手入力を減らし効率化が可能。大量のリードデータをExcelからインポートする機能も一般的です。 - マーケティング施策の実施
CRMに蓄積されたリード情報を基に、メルマガ配信やイベント誘導などの施策を行い、顧客との接点を増やします。
営業部門での利用例
- 名刺管理と連絡履歴
名刺をCRMアプリでスキャンし、顧客情報をCRMに入力。そこから直接電話やメールを行い、履歴を自動記録できるツールもあります。 - 顧客との関係構築
CRMデータを基に顧客対応を深め、案件獲得を目指します。
経理部門での利用例
- 請求書作成の自動化
CRMに登録された顧客情報や発注データを基に請求書を自動生成し、手作業やミスを減らします。
サポート部門での利用例
- 問い合わせ対応
CRMで顧客の利用製品や契約状況を確認し、迅速かつ的確な対応を実現。 - 満足度向上の取り組み
アンケート結果を基に顧客のニーズを把握し、継続利用や新規顧客獲得のヒントを得ます。
SFAの活用場面
スケジュール管理
- 商談や会議などの予定をツールで確認。リマインド通知機能で重要な予定の見逃しを防ぎます。
アプローチ対象の優先順位付け
- 顧客の行動にスコアを付ける「スコアリング機能」を活用し、効果的な営業活動を展開。
上司の承認取得
- 提案書や見積書の承認プロセスをSFAで自動化し、業務の停滞を防ぎます。
営業報告の効率化
- SFAに登録された活動履歴を基に、自動で日報や週報を作成。セールスマネージャーはSFAにアクセスするだけで必要な情報を確認可能。
担当者への業務割り当て
- 自動割り当て機能により、顧客情報や地域などの条件を基に案件をスムーズに担当者へ配分。
売上目標管理
- 売上予測機能を活用し、商談の受注確度に基づいた将来の売上を把握。リアルタイムな進捗管理も可能です。
SFAとCRMの導入メリットを比較
CRMとSFAは、どちらも顧客管理に不可欠なツールですが、導入する目的や得られる効果に違いがあります。以下では、それぞれの導入メリットを比較して解説します。
CRMの導入メリット
安全・安心で確実な顧客情報管理
CRMに顧客情報を一元管理することで、個人情報の散在を防ぎ、セキュリティ面でも安心です。さらに、
- 必要な情報がすぐに見つかる
- 最新の顧客データにいつでもアクセス可能
といった利便性が向上します。
顧客との関係強化
CRMには、購買履歴や問い合わせ履歴が記録されているため、個別化されたサービスを提供できます。これにより、顧客満足度を高め、長期的な関係構築が可能です。
マーケティング活動の改善
顧客情報を分析することで、
- ターゲットを絞った効果的なマーケティング施策
- フィードバックを反映した商品やサービスの改善
といった活動を支援します。
SFAの導入メリット
営業活動の効率化
SFAのスケジュール管理や自動化機能により、定型業務の負担を軽減。これにより、営業担当者はより多くの顧客を担当し、営業活動の効率化が図れます。
豊富なレポートで現状把握が容易
SFAはリアルタイムで案件状況や売上実績を可視化し、次の施策を迅速に検討できます。また、受注確度の提示機能により、案件の優先順位付けが簡単に行えます。
受注率アップを実現
SFAにより、セールスマネージャーは個別報告を待たずに案件状況を把握できます。これにより、
- 課題の早期発見
- タイムリーな指示やアドバイス
が可能となり、結果的に受注率の向上につながります。
SFAとCRM、どちらを選ぶべき?判断ポイントを解説
実際のところ、CRMとSFAのどちらを選ぶべきかで悩む必要はほとんどありません。なぜなら、最近のCRMツールの多くが両者の機能を兼ね備えているからです。そのため、選定時には現在の課題を解決できるかどうかを基準にすることが最も重要です。ですが、予算やリソースなどの関係でどちらか一つを選ばなければならない場合の選定のポイントを3つ紹介します。
課題解決にフォーカス
CRMかSFAかを区別して選ぶよりも、以下の観点で機能を比較することが重要です:
- どの課題を優先的に解決したいか
- 必要な機能がツールに備わっているか
- 現場の業務フローと適合しているか
マーケティング重視か営業重視か
ツールは大きく2つの方向性に分かれる傾向があります:
- CRMに近いツール:マーケティング促進機能に強み(例:ターゲットの絞り込み、リード育成)
- SFAに近いツール:営業支援機能が充実(例:案件管理、営業活動の効率化)
商材や現場の特性に合わせる
- CRM向き:リピートオーダーや契約継続を重視し、LTV(顧客生涯価値)を最大化したい企業。
- 例:サブスクリプション型のサービスや定期購入型の商品を提供する企業。
- SFA向き:新規顧客の獲得や初回購入を重視する企業。
- 例:単発の高額商品や不動産などを取り扱う企業。
SFAとCRM導入時に注意したいポイント
SFAやCRMは営業活動や顧客管理を効率化する便利なツールですが、導入時に適切な準備をしないと、期待する効果を得られない可能性があります。以下の5つのポイントを押さえて、成功に繋げましょう。
SFA・CRMの導入を目的にしない
SFA・CRMを導入する前に、自社の導入目的を明確にすることが最重要です。目的が不明なまま導入すると、以下のリスクが発生します:
- 運用できずに導入しただけになってしまう
- 業務負担が増える
解決すべき課題と目標を明確にし、導入後にツールを活用して目標達成を目指しましょう。また、課題解決の方法については、サービス提供会社のコンサルタントに相談するのも有効です。
社内のシステム管理者を決めておく
導入準備では、社内の運用体制を整えるための中心人物を設定する必要があります。この役割を担うシステム管理者がいれば:
- データ登録や運用マニュアル作成がスムーズ
- プロジェクトの進行が円滑
- 導入後の問い合わせ対応が迅速
システム管理者を設定することで、ツール導入後も運用の安定性を確保できます。
現場の営業パーソンの使い勝手を重視する
SFA・CRMが現場に浸透しない主な原因は、使い勝手の悪さです。現場で日常的に利用する営業パーソンや支援スタッフの意見を重視し、以下の点を確認しましょう:
- 情報入力の手間が少ないか
- ストレスなく利用できるか
- ユーザビリティが高いか
現場のフィードバックを受けて選定することで、ツールの定着率が向上します。
サポートの充実度を確認しておく
導入から運用開始後まで、予期せぬ問題が発生する可能性があります。そのため、サービス提供会社のサポート体制の充実度を確認しましょう:
- 導入準備から運用開始までのフォローがあるか
- カスタマーサポートが手厚いか
- トラブル時に迅速な対応が可能か
複数のサービス提供会社を比較し、サポート体制が優れているものを選ぶと安心です。
導入前に無料トライアルを利用する
導入予定のツールが自社の業務フローや現場との相性に適しているかは、実際に使ってみなければ分かりにくいものです。無料トライアルを利用することで:
- 業務フローへの適応度を確認
- 現場スタッフとの相性を評価
- 他ツールとの違いを把握
候補が絞られた段階で無料トライアルを活用し、導入後のギャップを減らしましょう。
SFAとCRM運用を成功させるための秘訣
現場に定着させる
システム運用の成否は、現場での定着度にかかっています。特に、常に正確で最新の顧客情報を維持することが重要です。
定着のための具体的な施策
- 従業員の協力を得る
顧客情報の入力や更新は利用者の協力が不可欠です。古い情報が放置されると、システム全体の信頼性が低下します。 - トライアルの実施
システム導入前に、実際の利用者を対象にトライアルを行い、以下を確認しましょう:- 操作性の評価
- 現場の意見交換を通じた改善ポイントの把握
現場の意見を反映したツール設計にすることで、利用者の満足度を高め、運用の定着を促します。
継続したPDCAサイクルの実施
CRMやSFAは、導入がゴールではなく、運用しながら改善を続けることが成功の鍵です。
システムは運用するほどに課題や改善ポイントが見えてきます。それらを活かして効果的な運用を実現しましょう。
PDCAサイクルの活用
- Plan(計画)
営業やマーケティングの目標を設定し、CRMやSFAを活用した具体的な施策を立案します。 - Do(実行)
計画に基づき、ツールを活用した営業活動やマーケティング施策を実行します。 - Check(検証)
実施した施策の効果をデータで検証します。営業成績や顧客反応の分析を通じて、ツールがどの程度効果を発揮しているか確認します。 - Act(改善)
検証結果を基に、システム設定や運用フローを改善し、次の施策に反映させます。
継続的なブラッシュアップ
- 運用初期には頻繁に課題が発生するため、運用マニュアルの更新や現場トレーニングを繰り返します。
- 定期的な評価・改善のプロセスを繰り返すことで、システム活用の精度を高めます。
まとめ:SFAとCRMを活用してビジネスを効率化しよう
CRMは適切な顧客関係の管理を可能にし、SFAは営業活動をサポートするシステムです。経営のための顧客管理を担うCRMと、営業のための顧客管理を行うSFAでは、その目的が異なります。また、CRMシステムには既存顧客の満足度向上を実現するための機能が備わっているのに対し、SFAシステムは営業日報やToDo管理など、営業活動に特化した機能が豊富に揃っています。
既存顧客が多く、顧客情報を経営戦略に活用したい場合にはCRMシステムを選ぶと良いでしょう。一方で、営業部門の効率化を目指す場合や、スタートアップ企業で営業基盤を整えたい場合にはSFAシステムの導入が適しています。どちらのシステムにおいても効果を最大化するためには、従業員の協力が欠かせません。また、PDCAサイクルを継続的に回しながら運用することで、システムの効果を引き出せます。
自社に最適なシステムの特性を理解し、それを活用して業務の改善につなげてください。