目次
- 1 料金体系別の営業代行費用相場
- 1.1 固定報酬型
- 1.2 成果報酬型
- 1.3 複合型(固定+成果報酬)
- 2 営業代行にかかる費用の内訳と変動要因
- 2.1 固定報酬型の費用
- 2.2 成果報酬型の費用
- 2.3 複合型の費用
- 3 営業代行の費用に関する注意点
- 3.1 追加の料金がかかる場合がある
- 3.2 選択可能な料金プランが限られていることがある
- 3.3 コストだけで決めない
- 3.4 費用は仕事の範囲や扱う商品によって変わる
- 3.5 代行会社とフリーランスの差を理解する
- 4 営業代行を依頼する際に費用よりも注意したいこと
- 4.1 目的に合っているか
- 4.2 自社の商材に強みのある会社か
- 4.3 企業理解に対するアクションはどうか
- 4.4 提案内容は適切か
- 4.5 プロセスを適切に示してくれるか
- 4.6 どのような担当方式か
- 4.7 費用対効果はどうか
- 5 最後に
これから営業活動を強化しようと考えている企業や、自社に営業関連のノウハウや専門人材が不足している企業で、営業代行の利用を考えている担当者も多いでしょう。
ただ、営業代行サービスを利用しようと思っても、多様な料金体系が存在し、どれくらいのコストでどの程度のサービスを受けられるのかが一見して判りにくいものです。さらに、多数存在する営業代行業者からどのような基準で選べば良いのか、迷っている方も少なくないでしょう。
営業代行の料金体系は、固定報酬型や成果報酬型など契約の形態によって異なり、代行する業務の内容や規模、商材によっても料金が大きく変わります。
この記事では、営業代行の料金相場とそれに影響する要因、そして自社に最適な代行会社の選び方について説明します。この記事を通じて、営業代行の料金相場を理解し、自社が営業代行を依頼する際の費用感を掴むことができます。
料金体系別の営業代行費用相場
固定報酬 | 成果報酬_アポ | 複合型 | |
---|---|---|---|
月額料金 | 50~60万円
(1名あたり) |
1アポ:1.5~2万円 | 25~30万円+成果報酬 |
営業代行の依頼時、料金体系は固定報酬型、成果報酬型、そして複合型の3種類が存在し、依頼する業務の内容に応じて適用される料金体系が変わります。
営業代行を選定する際に、ただ単にコストを基準にするのではなく、追加費用の有無やコストパフォーマンスを評価することが大切です。詳細な見積もりを取得し、検討することを推奨します。
固定報酬型
固定報酬型では、成果の有無にかかわらず、クライアントが代行会社に一定の月額料金を支払います。予算内で収めたい場合に適しており、専門性の高い商材の場合、費用は最大で100万円に達することもありますが、通常は営業1人当たり月50万円から60万円(日当約2.5万円から3万円)が相場です。成果が出ない場合も料金の支払いが必要ですが、一定期間を通じて考えれば、「成果報酬型」よりも総コストが低くなることがあります。
成果報酬型
成果報酬型は、アポイントメントや受注などの成果に応じて料金が発生する方式です。固定の月額費用がなく、成果がなければ料金が発生しないため、無駄な費用がかかりません。ただし、料金設定は高めであり、成果によっては「固定報酬型」よりもコストが高くなる可能性があります。具体的な金額は設定が難しいですが、1アポイントメントあたり1.5万円から2万円、クロージングまで含む場合は売上の30%から50%が費用相場とされています。
複合型(固定+成果報酬)
複合型は固定報酬と成果報酬を組み合わせたもので、月額の固定費と成果に基づく報酬が発生します。ベースとなるのは「成果報酬型」であり、固定費は営業活動の経費など最小限に抑えられます。固定費の相場は、月25万円から50万円程度で、「固定報酬型」に比べて低く設定されています。成果報酬額は固定費との割合によっても変わるため、代行会社によっては料金設定が異なります。
営業代行の費用や料金体系についての詳細情報は、比較記事などで知ることができます。また、固定費用に加えて「初期費用」が必要な場合もあります。「初期費用」にはヒアリングや企画立案、資料作成、スタッフトレーニングなどが含まれますが、代行会社によっては「初期費用無料」としている場合もあり、その場合は固定や成果報酬が高めに設定されていることも考慮する必要があります。
クライアントとしては「成果報酬型」を好む場合が多いですが、外注する業務の内容によっては「固定報酬型」や「複合型」のみが選択可能なこともあります。これは、「成果報酬型」が成果依存で料金が発生するため、外注先にとってリスクの高い料金体系だからです。そのため、成果が出にくい商材を扱う場合は、「成果報酬型」での代行受け入れが難しいこともあります。
営業代行にかかる費用の内訳と変動要因
これまでに固定報酬型、成果報酬型、複合型の特性と費用相場を紹介しました。
次に、これらの報酬形態ごとにどのようなサービスに費用がかかるかを説明します。以下では、各報酬形態における費用の内訳とその変動要因について詳しく解説しています。
<各報酬形態における費用内訳>
費用形態 | 基本費用 | その他必要な費用 |
---|---|---|
固定報酬型 | 月額固定費用、初期費用 | 訪問代行費用、コンサルティング費用、交通費・通信費など |
成果報酬型 | 成果費用、初期費用や管理費 | |
複合型 | 月額固定費用、初期費用 |
固定報酬型の費用
基本費用
固定報酬型の基本費用は、以下の二つが主に含まれます。
- 月額固定費用:テレアポ、訪問営業、商談・成約などの定められた業務や業務報告レポート作成、コンサルティング(オプション含む)が含まれます。
- 初期費用:初回契約時にかかる費用で、ヒアリング、チーム構築、テストコール、トークスクリプト作成などが含まれます。一部の会社では初期費用が無料で、月額固定費用に含まれることもあります。
変動要因
基本費用は、以下の要因により変動することがあります。
- 代行内容:テレアポ、訪問営業、商談・成約など、代行する業務内容によって月額費用が変わります。
- 規模:月額固定費用は通常、営業一人当たりで設定されるため、チームの人数により変動します。
- 品質:プロの営業スタッフが行う業務とアルバイトが行う業務では品質が異なり、費用に影響します。また、専門性が高い商材を扱う場合は費用が高くなる傾向があります。
成果報酬型の費用
成果報酬型の主な費用は「アポイント成果費用(成約成果費用)」です。基本的に成果に応じた費用のみが発生するものの、初期費用や管理費がかかる場合もあります。
基本費用
- 成果費用(アポイント・成約):アポイント獲得や成約など、事前に定めた成果の件数に応じて費用が発生します。
- 初期費用や管理費:ヒアリングやテストコールなどの初期費用がかかることが多く、業務レポート作成などの月額管理費が発生する場合もあります。
変動要因
- 成果地点:アポイントや成約など、費用が発生する成果の地点によって費用が変わります。
- 商材:専門性の高い商材では費用が高く設定されることがあります。
複合型の費用
複合型は、月額固定費用と成果費用の両方がかかります。
- 月額固定費用:固定報酬型と同様に、業務自体にかかる費用がありますが、多くの場合は営業報告や業務管理費用として低額設定されています。
- 成果費用(アポイント・成約):成果報酬型と同様、アポイント
獲得や成約などの成果の件数に応じて費用が発生します。
営業代行の費用に関する注意点
追加の料金がかかる場合がある
営業代行サービスを利用する際には、追加で費用がかかることがあります。サービスが「初期費用無料」と宣伝されている場合でも、基本的なサービスしか含まれておらず、必要に応じてオプションを追加することが必要になるかもしれません。
以下は、営業代行の際に考慮すべきオプション費用をまとめた表です
オプションの種類 | 費用の詳細 |
---|---|
訪問代行費用 | ・訪問営業を代行する場合の費用 ・追加で費用が発生する可能性あり ・一件あたりの相場は約1万円 |
コンサルティング費用 | ・営業戦略を企画する場合の費用 ・アポイント獲得や受注率向上を目指す場合に推奨 ・範囲によって費用が異なる |
交通費・通信費 | ・訪問営業やリスト作成、ターゲット調査などで発生する交通費や通信費 ・実費が請求される場合あり |
選択可能な料金プランが限られていることがある
料金体系には固定報酬型、成果報酬型、複合型の選択肢がありますが、依頼する業務の内容によっては選択できない場合も存在します。例えば、固定費用の上にテレアポの成果に基づく報酬を設定している例も多く見られます。
また、固定報酬型や複合型のみが選択肢として提供される場合もあります。そのため、見積もりを取る際には、業務の範囲と各業務に対する料金体系を確認することを推奨します。
コストだけで決めない
営業代行の費用に関して、単純に費用の多寡で判断することは推奨されません。その理由は、営業代行の主な目的が売上の向上にあり、支払った費用が得られた成果と相応しいかどうかが重要だからです。
例えば、高額な固定報酬型の営業代行サービスを利用しても、望む成果が得られないことも考えられます。反対に、低価格の営業代行サービスを選んだ場合、営業力が不足してアポイントを獲得できない可能性もあります。
そのため、営業代行サービスを選ぶ際には、提供されるサービス内容や過去の実績を確認し、自社の顧客獲得単価との比較を行い、どれくらいの予算を投じるべきかを慎重に検討することが必要です。
費用は仕事の範囲や扱う商品によって変わる
営業活動の形態には、テレアポ、訪問営業、商談など多様な方法があり、それぞれの難易度や必要とされる時間、リソースに応じてコストが異なります。また、取り扱う商品によってもコストは変わり、専門性が要求されるものや価格が高いもの、成約までの難易度が高いものほど、費用が増加する傾向にあります。
例えば、広範な顧客層に訴求可能なウォーターサーバーと比較して、医療機器のような専門性が求められる商品は、より高額な費用がかかることが一般的です。さらに、契約や成約までのプロセスを完全に代行する場合、売上の30%から50%を費用として支払うことになります。
代行会社とフリーランスの差を理解する
営業代行を外部に依頼する際、業者が企業か個人フリーランスかによっても費用が変わります。通常、フリーランスは広告費や人材育成費などの経費が少ないため、より低コストでサービスを提供しやすく、価格に関しても柔軟に対応可能です。
しかし、フリーランスは個人で運営しているため、扱える業務の量には限界があり、テレマーケティングや訪問営業の件数は営業代行会社に比べて少なめになることがあります。また、個々のスキルに依存するため、選ぶフリーランスによって成果に大きな差が出ることも考えられるデメリットがあります。
営業代行を依頼する際に費用よりも注意したいこと
目的に合っているか
最も重要な点は、営業代行の契約内容が自社の目標に適合しているかどうかです。営業活動には様々な段階がありますので、どの段階を代行に任せるかを初めにはっきりさせることが必要です。
たとえば、以下のような成果に直接関連する段階の代行は、「成果報酬型」の代行会社が適していることが多いです。
- リードの顧客獲得
- アポイントメントの獲得
- 受注の獲得など
一方、戦略設計や市場開拓などのプロセスを代行に含める場合は、「固定報酬型」での依頼が推奨されます。
- 営業戦略の策定
- 新規事業の市場開拓
- カスタマーサクセス
- マネジメントや教育など
代行会社によっては特定の部分の代行のみを提供している場合や、必要以上に多くのプロセスを代行している場合もあります。まずは、自社に必要な代行プロセスを明確にし、その業務を適切に実施できる代行会社を選ぶことが重要です。
自社の商材に強みのある会社か
実際のところ、営業代行会社には得意分野と不得意分野があります。有形商材や無形商材、法人向けや個人向けなどの大まかなカテゴリから、システム開発や広告など特定の業種まで、それぞれの代行会社には強みがあります。
得意分野と不得意分野を見極めるためには、代行会社が提示する「実績」を確認するのが有効です。代行会社の実績に、自社の商材や業種に近いものがあるか、依頼したいプロセスの実績があるか、そしてその実績が複数あるかをチェックしましょう。
自社の商材に対して強みを持つ代行会社を選ぶことが、営業代行を成功させる上で重要なポイントとなります。
企業理解に対するアクションはどうか
打ち合わせの段階で課題をヒアリングしてもらい、「商品やサービスが売れない根本的な原因」を明らかにしてくれるかどうかも重要なポイントです。
打ち合わせの際には、以下の点を確認しましょう。
- 企業の強みをヒアリングし、理解してくれるか
- 企業の課題をヒアリングし、それに対する提案をしてくれるか
- トレンドに合わせた戦略設計や提案を行ってくれるか
特に自社の課題を正しく認識していない場合、単に営業代行を依頼するだけでは成果が出ないリスクがあります。定型的なパッケージ提案ではなく、企業に合わせた提案をしてくれる会社なら、信頼度も高まります。
提案内容は適切か
打ち合わせ時に営業代行会社からの提案内容が的確かどうかも重要なチェックポイントです。営業戦略で大切なのは、トレンド(顧客ニーズ)を把握し、自社の強みを最大限に活かすことです。提案がこの基本から外れていると、いくら回数を重ねても成果には結びつきにくくなります。
そのため、「自社に適した提案か」「時代の流れに合った提案か」「課題解決に役立つ提案か」など、自社と時代のニーズに合った提案かを確認することが重要です。
プロセスを適切に示してくれるか
営業代行会社を選ぶ際には、営業プロセスを開示してくれる会社を選ぶことが重要です。プロセスを開示する会社は信用度が高く、コミュニケーションを取りながらプロセスの修正を行える点で優れています。
営業プロセスが確認できない場合、商材に適していない営業手法を用いているなどの問題が発生し、成果が上がりにくくなったり、顧客とのトラブルにつながる可能性があります。
特に、定期ミーティングやレポートの有無やその頻度、レポートの内容を確認しましょう。営業代行会社によっては、定期ミーティングやレポートが有料オプションとなっている場合もあるため、レポート作成などの費用も見積もりに含めて比較することをおすすめします。
どのような担当方式か
代行会社には、一人のスタッフが営業を代行する「担当制」と、複数のスタッフがチームで営業活動を行う「チーム制」の2種類があります。
担当制には、営業マンと直接コミュニケーションを取りながら進められるというメリットがあります。一方、チーム制は営業プロセスを細分化して効率的に進行できるため、短期間での効果が期待できる点がメリットです。
ただし、担当制には属人的な要素が強く、担当者との相性が確実でないというデメリットがあります。また、チーム制では、チーム内で情報共有が不十分な場合、担当者ごとに情報や対応にばらつきが生じるデメリットがあります。
しかし、チーム制は情報共有がしっかりと行われていれば、これらのデメリットは解消されます。特に担当制にこだわる理由がない場合は、チーム制を選ぶのがおすすめです。
費用対効果はどうか
さまざまな料金形態がある中で、特に注目すべきなのは費用対効果です。単純な月額や1件あたりの料金ではなく、獲得件数やその後の成約に結びつく件数など、成果と費用のバランスが重要です。
費用対効果を評価するためには、以下の算出方法があります。
- 見込み客創出コスト:見込み客リスト人数 ÷ 連絡先の入手にかかった費用
- 商談創出コスト:商談の数 ÷ 商談に至るためにかかった費用
- 顧客獲得コスト:成約件数 ÷ 成約のためにかかった費用
- 顧客1人あたりの生涯利益(LTV):全顧客の数 ÷ 全顧客から得られる利益
例えば、固定報酬型(50万円/月)と成果報酬型(2万円/1アポイント)を比較した場合、月のアポイント件数が26件以上と予想されるならば、商談創出コストは固定報酬型のほうが費用対効果が高くなります。
一方、商談からの成約率が低い商材の場合は、成約ごとの成果報酬型のほうが費用対効果が高くなることもあります。
会社の目標として改善すべき指標を明確にし、自社の目的に合わせてどの指標を重視するかを決定し、そのコストに見合った代行会社を選びましょう。
最後に
営業代行とは、アポイント獲得や代理での訪問など、営業関連の業務を代行してもらうサービスです。営業代行の料金には、固定報酬型、成果報酬型、複合型の三つのタイプが存在し、業務内容に応じて適用される料金体系も異なります。
費用を重視して営業代行業者を選ぶ際には、追加の費用が発生するかどうかや、費用対効果が見込めるかをしっかりと評価することが重要です。そのためにも、見積もりを取り、細かい項目を確認してから契約することを推奨します。