目次
- 1 営業の仕事内容について
- 2 営業職に求められる14のスキルとは?
- 2.1 コミュニケーションスキル
- 2.2 ヒアリング力
- 2.3 問題発見スキル
- 2.4 自己管理能力
- 2.5 時間管理スキル
- 2.6 ストレス対処能力
- 2.7 マーケティングスキル
- 2.8 人脈構築スキル
- 2.9 クロージング能力
- 2.10 論理的思考力
- 2.11 実行力
- 2.12 交渉スキル
- 2.13 柔軟な対応力
- 2.14 分析能力
- 3 営業スキル向上のためのポイント
- 3.1 謙遜を保つ
- 3.2 自社の製品を好きになる
- 3.3 ポジティブに捉える
- 3.4 顧客の成功を重視する
- 3.5 改善への意識を持ち続ける
- 4 営業能力を高めるための5つの方法
- 4.1 自己分析を深める
- 4.2 知識を共有してもらう
- 4.3 セミナーへの参加
- 4.4 目標を明確にする
- 4.5 周囲からのアドバイスを求める
- 5 組織内の営業力を可視化する方法:スキルマップとは?
- 5.1 スキルマップを導入するメリット
- 5.2 スキルマップ活用のポイント
- 6 組織全体で営業スキルを強化する方法
- 6.1 データ整理と問題点の特定
- 6.2 研修プログラムの実施
- 6.3 振り返りと知識の共有
- 7 効果的な営業活動を実現する環境整備
- 7.1 評価と報酬の制度改定
- 7.2 営業支援システムの導入と活用
- 8 営業支援システムによるスキルアップの実践例
- 8.1 世界各国の顧客への営業活動をシームレスに展開
- 8.2 業務の効率化により商談件数が前年比126%増加
- 8.3 情報共有を集約化して、成約率を3年間で3倍以上に向上
- 9 まとめ
営業は、個々のスキルが結果に大きく影響を与える職種とされています。個人の能力や経験の違いによって、成績に差が出ることは珍しくありません。
そのため、多くの営業担当者が、商談を成功させるために必要なスキルを習得しようと努めているのではないでしょうか。
本記事では、営業に求められるスキルや能力、そしてスキルアップを実現するために必要なポイントについてご紹介します。
営業の仕事内容について
営業とは、顧客の課題やニーズを解決する商品・サービスを提案し、その価値を伝えて購入につなげることで、会社に利益をもたらす仕事です。
営業活動の目的は、お客様の問題を解決し、満足してもらうことで契約を獲得することにあります。
そのため、お客様に最適な商品やサービスを見つけ出し、その価値を効果的に伝えるスキルが求められます。
一般的な販売職と異なり、営業では商品を求めている顧客だけでなく、まだ興味を持っていない潜在顧客に対しても積極的にアプローチすることがあります。
新たなニーズを喚起し、購買意欲を引き出す工夫が必要である点が、営業職ならではの特徴です。
以下のような業務が、営業の主な仕事内容として挙げられます。
- 新規取引先の開拓
- 既存顧客との関係構築・維持
- 市場調査、ニーズ調査
- 見積作成
- 提案やプレゼンテーション
- 契約締結と交渉
- 関係部署との調整
- 納品の立会い
それでは、こうした業務を遂行するためには、どのような営業スキルが必要なのでしょうか?
営業職に求められる14のスキルとは?
売れる営業マンになるためには、センスや経験が重要な要素であることは間違いありません。しかし、その基盤となるのはスキルです。それでは、営業マンが習得すべきスキルについて詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
コミュニケーション能力は、営業活動において顧客との円滑な意思疎通を図るために不可欠なスキルです。明確かつ適切なメッセージを伝える能力に加え、相手の話を聞くリスニングスキルや、非言語コミュニケーションも重要です。相手に応じた柔軟なコミュニケーションスタイルを持つことで、信頼関係を築けます。
ヒアリング力
ヒアリング力は、顧客の要望や課題を正確に把握するための能力です。適切な質問を通じて、顧客の本音や潜在的なニーズを引き出し、より良い提案や解決策を導くことができます。
問題発見スキル
課題発見力とは、顧客の行動や声から明確にされていないニーズや問題を見つけ出す能力です。顧客との対話や市場調査、データ分析を通じて深層的な洞察を得ることが求められます。
自己管理能力
セルフマネジメント能力は、自己を管理し効率的に目標を達成するためのスキルです。自己認識や目標設定、ストレスやプレッシャーのコントロールが含まれます。
時間管理スキル
タイムマネジメント能力は、業務を効率的に遂行するために時間を効果的に管理するスキルです。優先順位を設定し、計画的にタスクを進めることで生産性を向上させます。
ストレス対処能力
ストレスマネジメント能力は、高いプレッシャーや困難な状況にも冷静に対応できる能力です。自己のストレス反応を理解し、適切に対処するスキルが求められます。
マーケティングスキル
マーケティング能力は、市場や顧客のニーズを把握し、それに基づいて営業戦略を立てるスキルです。市場分析や顧客ターゲティングを通じて効果的な提案が可能となります。
人脈構築スキル
人脈構築能力は、他者と信頼関係を築き、長期的なビジネスチャンスを生み出すスキルです。誠実さや信用性を持ち、ネットワーキングを積極的に行うことで人脈を広げられます。
クロージング能力
クロージング能力は、商談を最終的な契約に結びつけるためのスキルです。顧客の心理を理解し、適切なタイミングで決断を促す技術が求められます。
論理的思考力
論理的思考力とは、論理的に物事を考え、適切な解決策を導き出す能力です。顧客のニーズを整理し、効果的な提案を行うために必要なスキルです。
実行力
実行力は、目標達成に向けて積極的にアクションを起こす能力です。自ら率先して動き、ビジネスチャンスを追求する姿勢が求められます。
交渉スキル
交渉力は、顧客との合意形成を図り、Win-Winの関係を築くスキルです。相手の立場を理解しつつ、自分の意図を効果的に伝える能力が重要です。
柔軟な対応力
トラブル対応力は、予期しない問題に冷静に対処し、迅速に解決する能力です。問題の本質を見極め、最適な解決策を導くための行動が求められます。
分析能力
分析能力とは、与えられた情報をもとに、新たに有益な情報を導き出すスキルを指します。営業活動において、分析能力は多くの場面で役立つ重要なスキルです。
例えば、顧客に「どのような提案を行うべきか」を見極める際、事前に得られた情報を分析する必要があります。提案すべき商品やサービスは、顧客が抱える課題によって異なるため、適切な分析が不可欠です。
営業スキル向上のためのポイント
売り上げを伸ばすためには、営業に必要なスキルを習得し、継続的にスキルアップを目指すことが重要です。以下では、営業がスキルアップのために心がけるべきポイントをご紹介します。
謙遜を保つ
営業では、前向きなコミュニケーションスキルが必要ですが、謙虚な姿勢を持つことも欠かせません。
自信を持つことは良いことですが、謙虚で客観的に物事を見られないと失敗を招く可能性があります。
営業は、常に新しい知識を学び続ける必要があり、社会状況の変化に応じて営業活動のやり方を柔軟に変えることが求められます。そのため、周囲と意見交換を行ったり、上司や同僚のアドバイスを受け入れる姿勢が大切です。
謙虚であれば、周囲からのアドバイスを受け入れやすくなり、自身の不足している部分に気づくきっかけになります。そして、それを補う努力を続けることで、スキルアップにつながります。
自社の製品を好きになる
成果を上げる営業マンになるには、自社製品を好きになることが重要です。そのためには、製品について深く理解し、知識を身につける努力が必要です。この知識は、顧客に説明を行う際に大いに役立ちます。
さらに、自社製品やサービスをユーザー目線で見て、実際に使用してみることも大切です。自分で使ったことがない製品を顧客に勧めても、その熱意は伝わりにくいでしょう。
実際に使ってみて自社製品を好きになることで、自然とその熱意や感動が顧客にも伝わり、商談を成功させやすくなります。
ポジティブに捉える
営業として成果を出すには、ポジティブな考え方を持つことが欠かせません。営業にはノルマや目標の達成が求められるため、契約が取れない、クレーム対応が続くなどの厳しい状況に直面することもあります。
こうした状況でネガティブな思考に陥ると、モチベーションやパフォーマンスが低下する可能性があります。一方、ポジティブに考えられる人は、変化を恐れず、新しいスキルや考え方を積極的に吸収できます。
前向きな姿勢を持ち、「成長のためのチャンス」と考えることで、困難な状況も乗り越えやすくなります。
顧客の成功を重視する
営業では「売り上げを上げる」ことが重要ですが、それ以上に「顧客を成功に導く」意識を持つことが大切です。
「自社製品を売りたい」という考えに偏ると、顧客の課題を解決する視点が欠けてしまい、一方的な売り込みになりがちです。その結果、顧客から信頼を得ることは難しくなります。
営業活動では、顧客の立場に立ち、課題を深く理解し、それを解決するための方法を考えることが求められます。そして、自社製品がどのように顧客の役に立つのかを伝えることで、「自分のことを真剣に考えてくれている」と感じてもらい、信頼を築くことができるでしょう。
改善への意識を持ち続ける
営業スキルを向上させるためには、商談後に振り返りを行う習慣が必要です。商談直後は、顧客の反応や声のトーン、表情などが鮮明に記憶に残っているため、振り返りには最適なタイミングです。これにより、顧客の心理や商談の改善点が見えてきます。
また、「もっと効率的に提案できなかったか」「顧客との関係をより良くするにはどうすればいいか」「業務をさらに効率化できないか」などを常に考える改善意識を持ちましょう。
ひとつ課題を改善したら、次の課題を見つけて改善に取り組む。このプロセスを繰り返すことで、日々の業務を通じて営業スキルを向上させることができます。
営業能力を高めるための5つの方法
多様化する業務に対応するためには、スキルアップを目指すことが欠かせません。ここでは、営業がスキルアップを目指す際に行うべき具体的な方法をご紹介します。
自己分析を深める
スキルアップの第一歩は、自己分析を行うことです。自分が「何が得意で何が苦手なのか」を理解することで、改善すべきポイントが明確になります。
また、自分の営業パフォーマンスに関するデータを把握しておくことも重要です。これにより、次にどのアクションを取るべきか、どの点を改善すれば良いかを具体的に判断できるようになります。
知識を共有してもらう
社内でナレッジを共有することで、他の営業担当者が持つ知識やノウハウを吸収できます。これにより、チーム全体のスキルアップにつながります。
例えば、先輩社員のプレゼンに同行して学ぶのは非常に効果的な方法です。実際のプレゼンを目にすることで、効果的な手法や自分との差を実感し、成長に役立てられます。
近年では、オンライン商談ツールを活用して商談の録画を何度も見返すことも可能です。録画をもとに直接指導を受けることで、より具体的な改善ポイントが分かりやすくなります。
セミナーへの参加
営業スキル向上のためには、営業スキルに関するセミナーに積極的に参加することが有効です。
セミナーでは、プレゼンのシナリオ作り、顧客への共感の示し方、セールストークの技術、クロージングのポイントなど、さまざまなスキルを学べます。
近年では、オンラインセミナーも充実しています。忙しい営業担当者でも、時間や場所を問わず受講できるため、複数のセミナーに参加することも容易です。これを活用することで、効率的なスキルアップが期待できます。
目標を明確にする
スキルアップを目指すには、明確な目標を設定することが大切です。目標を持つことで、モチベーションを保ちながら効率的に取り組むことができます。
おすすめの目標設定方法として、OKR(Objectives and Key Results)法があります。大きな目標を1つ設定し、それを達成するための具体的な指標を複数立てる方法です。
例えば、「英語が話せるようになる」という大目標に対して、以下のような指標を設定します。
- 英単語を5,000個覚える
- 英会話のレッスンを週に2回受ける
- 英語の本を1冊読む
こうした小さな目標を達成することで、モチベーションを維持しながら、最終的な大目標に近づけます。
周囲からのアドバイスを求める
自分一人で悩んでいると行き詰まることもあります。その際は、周囲の意見を求めることが大切です。客観的な意見を聞くことで、自分の課題や改善点に気づくきっかけが得られるでしょう。
また、営業成績の良い上司や先輩、同僚に学ぶ姿勢を持つことも重要です。具体的には、営業活動や商談に同行させてもらい、行動を観察することで、効果的な営業手法を学ぶことができます。
さらに、日々の営業活動で心がけていることや成功の秘訣を聞き出すことで、自分に取り入れられるヒントが見つかるかもしれません。そのヒントを実践し、自分の営業スタイルに組み込んでいきましょう。
組織内の営業力を可視化する方法:スキルマップとは?
営業スキルマップ(チェック)シートとは、営業パーソンが自身のスキルレベルを客観的に把握し、伸ばすべきポイントを特定するためのツールです。
このシートには、優れた営業パーソンに求められる能力項目が細かく列挙されています。各項目について、現在のスキルレベルを自己評価していく仕組みです。
例えば、厚生労働省が公表している職業能力評価シートでは、以下のような項目が挙げられています。
引用:職業能力評価シート(事務系職種)|厚生労働省
スキルマップを導入するメリット
客観的に弱点と強みを把握できる
スキルマップを定期的に活用することで、自分では気づけない弱点や強みを客観視できます。
計画的な自己研鑽につなげられる
計画的に取り組むことで、効率的にスキルアップを実現できます。
チーム内でのスキル共有が可能
営業チーム全体でスキルマップを共有すれば、メンバー間でスキルレベルを確認し合い、連携を強化することも可能です。
スキルマップ活用のポイント
自己評価で弱点と課題を明確化
自己評価を行い、スコアの低い項目や重要だと感じる項目をピックアップすることで、今後のスキルアップのポイントを明確化します。
目標と行動計画の策定
目標や具体的な行動計画を立て、計画的に取り組むことで、効率よく営業スキルを高めることができます。
組織全体で営業スキルを強化する方法
データ整理と問題点の特定
研修プログラムの実施
振り返りと知識の共有
効果的な営業活動を実現する環境整備
評価と報酬の制度改定
自社の評価・報酬制度が適切かどうかを定期的に見直すことが必要です。営業担当者がスキルを向上させて成果を上げても、評価される環境が整っていないと、モチベーションの低下や人材流出を招く可能性があります。
- 評価制度を整えることで、営業担当者のモチベーション向上につながり、「自分を正しく評価してくれる」と感じてもらえれば、長期的な定着率も向上します。
- 評価制度は、明確で分かりやすいものにすることが重要です。複雑で分かりにくい制度は、社員の混乱を招き、何を頑張ればよいのか分からなくなる可能性があります。
営業の評価基準として一般的に用いられるのは、以下の3点です:
成果
数字で明確に測定できる短期的および長期的な成果をバランスよく評価します。
能力
顧客のニーズに応えたり、解決策を提示したりする能力の高さを評価します。
姿勢
仕事への意欲、計画性、責任感といった姿勢を評価することで、社員のモチベーションアップを図ります。
営業支援システムの導入と活用
現代の営業活動には、ITツールの活用が不可欠です。適切なITツールを導入することで、営業業務の効率化が期待できます。以下は、営業活動で役立つ主なITツールです:
SFA(営業支援システム)
SFAは「Sales Force Automation」の略で、営業活動を効率化・可視化するためのツールです。顧客別の商談進捗や結果を蓄積・管理し、リアルタイムで共有できます。
- メリット
- 顧客情報や商談状況を一元管理することで、効率的な情報共有が可能になります。
- 訪問前に最新の顧客情報を確認し、それを基に商談を進めることで、商談の質が向上します。
CRM(顧客管理ツール)
CRMは「Customer Relationship Management」の略で、顧客との良好な関係を築くためのツールです。顧客の基本情報(企業名、電話番号、担当者名など)から、購入履歴や問い合わせ履歴までを一元管理します。
- メリット
- 顧客情報の一元管理により、チーム内や異なる部署間でのスムーズな情報共有が可能になります。
- 顧客データをもとにした分析が行いやすくなり、顧客対応の質が向上します。
営業支援システムによるスキルアップの実践例
営業支援システム(SFA/CRM)を活用して営業スキルアップに成功した企業の事例を3つご紹介します。これらの事例を参考に、SFA/CRMの活用による営業スキルアップに役立ててください。
世界各国の顧客への営業活動をシームレスに展開
NTTコミュニケーションズでは、SFA/CRMを導入し、グローバルな営業力を強化しました。
従来は拠点ごとに個別で営業活動を行っていましたが、Salesforceの導入により、世界中の顧客情報を一元化して共有可能にしました。
これにより、たとえば、世界的に事業展開している企業に対して、日本法人ではグローバル回線を提案し、現地法人では現地回線について提案するといった協力体制が実現しました。
リアルタイムで商談の進捗や情報を共有できるようになり、グローバルな営業連携が強化され、導入前に比べてグローバル単位での営業力が向上しました。
業務の効率化により商談件数が前年比126%増加
キユーピー株式会社では、分散していた社内システムをSFA/CRMに一元化することで、商談化件数が前年比126%に増加しました。
導入前は、営業部門で「付加価値を生まない内勤業務の増加」や「情報が社内システム内で散乱する」といった課題がありました。これを解決するためにSFA/CRMを導入し、情報を一元管理する仕組みを整備しました。
その結果、情報共有がスムーズになり、必要な情報にすぐアクセス可能となり、営業ノウハウが共有されることで個人の成長にもつながりました。
結果として、訪問件数が前年比120%、商談化件数が前年比126%と飛躍的に向上し、営業力が大幅にアップしました。
情報共有を集約化して、成約率を3年間で3倍以上に向上
老舗企業のMipox株式会社は、すべての営業情報をSFA/CRMに集約することで、商談成約数を3年で3倍以上に増やしました。
同社は、営業部門に経験豊富なベテラン社員がそろっていたものの、情報共有の文化がなくノウハウが属人化していました。また、部門間の交流が少ないという課題がありました。これらを解決するため、SFA/CRMを導入して社内全体で情報共有できる体制を構築しました。
導入後、営業部門のToDo入力数は、導入当初の1,590件から3年後には14,218件に増加しました。これにより、営業プロセスが可視化され、60日以上接客のない顧客へのフォローアップも大幅に改善されました。
その結果、成約数が3年で3倍以上に増加し、営業力の飛躍的な向上を達成しました。