目次
- 1 そもそもMAツールとは何か?
- 1.1 変化する営業プロセス
- 1.2 インサイドセールスとの関係
- 2 Account Engagementとは?
- 3 Account Engagementの主な機能とは?
- 3.1 Webトラッキング
- 3.2 アクティビティのスコアリング
- 3.3 見込み顧客のグレーディング
- 3.4 メールのシナリオ作成・テスト機能
- 3.5 フォーム・ランディングページの作成
- 3.6 レポート
- 4 Account Engagementを導入することで得られるメリット
- 4.1 リード(見込み顧客)の獲得から成約までを一元管理できる
- 4.2 Salesforceと連携できる
- 4.3 パーソナライズされたマーケティングシナリオを構築できる
- 5 Account Engagementを導入する際のデメリットとは?
- 5.1 初期構築に手間がかかる
- 5.2 使いこなすには専門知識が必要
- 6 Account Engagement導入時に押さえておくべきポイント
- 6.1 自社で運用するリソースが必要
- 6.2 専門知識が必要
- 6.3 事前対策が重要
- 7 Account Engagementと連携可能な外部ツール一覧
- 8 Account Engagementが適している企業の特徴
- 8.1 メールマーケティングを強化したい企業
- 8.2 資料ダウンロードによるリード獲得を効率化したい企業
- 8.3 Salesforce導入済みの企業
- 9 Account Engagementと他のツールとの違いを比較
- 9.1 Google Analytics
- 9.2 Zoom
- 9.3 Slack
- 10 まとめ
Account Engagement(旧 Pardot)とは、セールスフォース・ジャパンが提供するMA(マーケティング・オートメーション)ツールです。このツールは、オンライン営業を推進したい企業や、効果的なマーケティング活動を目指す企業、さらに営業プロセスを効率化してコスト削減を図りたい企業から特に高い評価を受けています。
この記事では、「Account Engagement(旧 Pardot)」の基本情報に加えて、Salesforceとの連携についても詳しく解説します。
そもそもMAツールとは何か?
MA(Marketing Automation)ツールとは、営業に関連するマーケティング活動を自動化するためのツールです。
これにより、新規顧客の獲得や見込み客の育成、さらにリピート率や顧客単価の向上など、さまざまなマーケティング施策で活用できます。その汎用性から、業種や規模を問わず多くの企業で導入されています。
変化する営業プロセス
MAツールが注目される背景には、営業プロセスの変化が大きく影響しています。
以前は、営業担当者が頻繁に取引先を訪問し、自社名や担当者名を覚えてもらいながら関係を構築するというプロセスが主流でした。しかし、現代の営業活動は効率を重視し、ターゲットユーザーをピンポイントで狙うアプローチへと移行しています。
特に、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを導入する企業が増えたことで、オンライン営業が急速に広まりました。このような状況下で、マーケティングの視点を取り入れた営業を支援するMAツールが注目されるようになったのです。
インサイドセールスとの関係
さらに、インターネットを活用した購買行動が一般化したこともMAツール普及の一因です。電話やメール、Web会議システムを駆使するインサイドセールスが重要視される中、MAツールの導入が広がっています。
オンライン上で見込み客にアプローチすることで、収益の拡大が期待できるため、インサイドセールスの強化を目指す企業にとっても、MAツールは不可欠な存在となっています。
Account Engagementとは?
Account Engagement(旧 Pardot)は、Salesforce社が提供するMAツールです。以下のような特徴を備えており、さまざまな企業から支持を集めています。
- 費用対効果を測定しやすい
- リード獲得に強い
- 営業部門との情報共有がスムーズ
さらに、世界トップシェアを誇るCRM(顧客関係管理システム)とシームレスに連携できる点も大きな魅力です。
このツールは、マーケティング活動だけでなく営業活動も効率化したい企業や、コスト削減を目指す企業に特におすすめです。
Account Engagementの主な機能とは?
Webトラッキング
自社のWebサイトを訪問したユーザーがどのような行動を取ったかを記録・追跡する機能です。
- ランディングページや遷移先の把握:ユーザーが訪れたページの順序や動線を分析できます。
- 滞在時間や離脱ポイントの解析:ユーザーの興味・関心や課題が分かるので、効果的なアプローチを模索可能です。
- メディア改善に活用:Webデザイナーやディレクターがサイトの改善に役立てることもできます。
アクティビティのスコアリング
ユーザーの行動に基づき、スコアを付与する機能です。
- スコアの仕組み:サービス紹介ページの閲覧回数や資料請求の有無など、行動が活発なユーザーほど高スコアになります。
- 営業への活用:スコアが高いユーザーに優先的にアプローチし、効率的な営業活動が可能です。
見込み顧客のグレーディング
ユーザーの属性に基づくスコアリングを行う機能です。
- 評価基準:業種、企業規模、所在地、役職などのプロフィール情報を基にスコアを設定します。
- アクティビティスコアとの違い:行動に基づくスコアリングではなく、属性ベースで評価する点が特徴です。
メールのシナリオ作成・テスト機能
ユーザーの行動に応じて、カスタマイズされたメールを送信する機能です。
- シナリオの例:料金ページ閲覧者にはキャンペーン案内、問い合わせページ閲覧者には無料カウンセリング案内を送付。
- テスト機能:異なるメールデザインや内容を試して効果を比較し、最適なメール戦略を導き出せます。
フォーム・ランディングページの作成
問い合わせや資料請求をスムーズに行えるフォームや、離脱率を抑えるランディングページを作成する機能です。
- ユーザー体験の向上:興味を引きつけ、スムーズにコンバージョンへつなげます。
- 収益への直結:使いやすいフォームやページが収益の拡大に貢献します。
レポート
マーケティング施策ごとの結果や反応を自動的に集計・分析する機能です。
- 活用のポイント:データを基に改善点を特定し、社内会議や戦略策定に役立てます。
- PDCAサイクルの促進:定期的にレポートを確認し、施策の精度を向上させましょう。
Account Engagementを導入することで得られるメリット
Account Engagementを導入することで得られる具体的なメリットを3つご紹介します。導入前に、自社の課題や目的にツールが適合しているかを確認しましょう。
リード(見込み顧客)の獲得から成約までを一元管理できる
従来のMAツールでは、マーケティング部門と営業部門で顧客情報を別々に管理していることが多く、商談化のタイミングを逃すなどの機会損失が発生しがちでした。
Account Engagementでは、社内の顧客情報を一元管理できるため、部門間での連携がスムーズになります。
- マーケティングと営業をスムーズに連携したい企業
- 部門間のコミュニケーションコストを減らしたい企業
には特に魅力的なメリットです。
Salesforceと連携できる
Account EngagementはSalesforce社が開発したMAツールで、世界シェアNo.1を誇るCRM(顧客関係管理システム)や、SFA(営業支援システム)など10種類以上のツールと簡単に連携できます。
また、必要な機能を自由に選択して自社に合わせたカスタマイズ運用が可能な点も大きな強みです。
- CRMやSFAを活用した効率的な営業活動
- 柔軟で拡張性の高いシステム構築
を目指す企業におすすめです。
Salesforceとの連携に関しては、こちらの記事で詳しく説明していますので、合わせて確認ください
パーソナライズされたマーケティングシナリオを構築できる
Account Engagementには、顧客の興味関心や属性、検討状況に応じて最適なシナリオを作成・展開する機能が備わっています。
これにより、以下のような効果が期待できます。
- リード獲得やリード育成の効率化
- 最終的なカスタマーエンゲージメントの向上
特に、効率的な商談化が課題の企業や、LTV(ライフタイムバリュー)を向上させたい企業にとって、導入価値の高いツールです。
Account Engagementを導入する際のデメリットとは?
利用料金は他のMAツール同様に発生し、導入に際して費用対効果を試算することが求められます。以下はAccount Engagementの料金プラン(税抜)です。
プラン | 料金 / 月 |
---|---|
Growth | 15万円 |
Plus | 33万円 |
Advanced | 52万8,000円 |
Premium | 180万円 |
出典: Salesforce「Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot)の料金体系」
導入前のポイント
- 自社が得たい成果と費用が見合うかを試算しましょう。
- 他のツールとの料金比較も参考に検討が必要です。
初期構築に手間がかかる
導入直後は以下のような手順を踏むため、初期構築に一定の工数が発生します。
- 現行業務で効率化すべき工程の洗い出し
- Account Engagementで自動化するための設定
- スコアリング機能の条件設計と部門間連携(マーケティング部門と営業部門)
スコアリング設計の注意点
- 初期段階ではすぐに成果が出るとは限りません。
- 引き渡したリードの質を確認しながら最適なスコアリング条件を見つけていく必要があります。
- スコアリング作業を軽減したい場合、Advanced以上のプランで利用可能なAI機能(Einstein)を活用するのも有効です。
使いこなすには専門知識が必要
どのようなツールでも、機能や設定方法に関する知識が不足していると十分に活用できません。Account Engagementでは、以下が求められます。
- 機能や設定方法を学ぶためのリソース確保
- 実装方法や応用的な使い方の理解
解決策
- Salesforceではユーザー分科会が頻繁に開催されており、活用方法を学べる機会があります。
- 専任の運用担当者を配置し、ノウハウを社内に蓄積することで効果的な施策が可能になります。
Account Engagement導入時に押さえておくべきポイント
Account Engagementを効果的に活用するためには、導入時に以下の点を注意することが重要です。
自社で運用するリソースが必要
MAツール全般に共通することですが、導入や運用は片手間では成功しません。特に以下のポイントを確認する必要があります。
- 運用可能なリソースが自社に十分あるか
- 専任の担当者を配置できる体制を整備できるか
運用リソースの確保を怠ると、ツールの機能を十分に活用できず、結果として期待した効果が得られない可能性があります。
専門知識が必要
Account Engagementは直感的に操作しやすいツールですが、以下の専門知識が求められます。
- マーケティング知識:ターゲティングやキャンペーン設計などの基本スキル
- ITツールの操作スキル:ツールの設定やカスタマイズに関する知識
- 分析手法の理解:データを活用した施策改善や結果の解釈
現場がツールを使いこなせなければ、導入の意味がありません。
事前対策が重要
導入後に課題を感じる企業も多いため、事前準備やサポートの確保が必要です。
- 人材育成:社内でのトレーニング体制を整え、運用スキルを育成する。
- 外部サポート:MAツールの運用支援を行う企業やコンサルタントにアドバイスを依頼し、効果的な導入を目指す。
Account Engagementと連携可能な外部ツール一覧
Account Engagementが適している企業の特徴
メールマーケティングを強化したい企業
Account Engagementは、メール配信機能が豊富で、メルマガやセミナー告知などのメールマーケティングを始めたい、または強化したい企業におすすめです。
このツールでは、「誰に」「何を」「いつ」送るかを設定することで、多彩な配信を実現できます。例えば、セミナー集客用メールの場合、以下のような設定が可能です:
- 誰に:新規リード
- 何を:セミナー告知メール
- いつ:イベント開催の1ヶ月前、参加者には3日前にリマインドメール
設定次第で以下のようなメール配信も自動化可能です:
- 定期メルマガ
- 失注顧客や休眠顧客の掘り起こしメール
- セミナー・イベント後のフォローメール
シナリオ分岐機能を組み合わせれば、メールマーケティングの大部分を効率化できます。
資料ダウンロードによるリード獲得を効率化したい企業
Account Engagementは、ホワイトペーパー(無料ダウンロード資料)を活用したリード獲得数の増加を目指すBtoB企業におすすめです。
このツールには、以下の機能が充実しています:
- 入力フォームやランディングページの作成機能
プログラミング不要で簡単に作成可能。 - 自動応答メールの設定
例:ホワイトペーパーのダウンロード先URLを通知するメールを自動送信。 - リード獲得プロセスの自動化
入力フォーム送信後に、即座にホワイトペーパーのダウンロードページへ遷移可能。
手作業や営業時間外のタイムラグを解消することで、リードの意欲が高まっているタイミングを逃さずに成果を上げられます。
Salesforce導入済みの企業
Account Engagementは、他のSalesforce製品との相性が非常に良く、以下のツールと連携が可能です:
- Sales Cloud(SFA/CRM)
- Service Cloud(カスタマーサービス用プラットフォーム)
- Tableau CRM(データ解析ツール)
Salesforce導入済みの企業であれば、Account Engagementの導入をスムーズに進められます。BtoBマーケティングを強化することで、営業活動全般の成果向上も期待できます。
例えば:
- Salesforce上で顧客情報(部署や役職など)を更新すれば、Account Engagement内の情報も自動更新されます。
- 最新の顧客情報を活用したメール配信が可能になります。
Account Engagementと他のツールとの違いを比較
Account Engagementは「コネクター」と呼ばれるインターフェースを通じて、多くの外部システムと連携可能です。以下では、よく連携される3つのシステムを紹介します。
Google Analytics
Google Analytics(グーグル・アナリティクス)は、自社サイトやアプリを訪問したユーザーのデータを分析するためのツールです。以下のようなデータを解析できます:
- 人気のあるページ
- 購入や申し込みに貢献したページ
- 閲覧者の地域・年齢・デバイスの傾向
連携のメリット
- 「Google Analyticsコネクター」を利用して、Google AnalyticsのデータをAccount EngagementやSalesforceと共有可能。
- 共有データをレポートやダッシュボードで活用し、ターゲット像の情報を部署間で共有可能。
活用例
- どの属性のリードが自社サイトを訪問しているかを分析し、マーケティング戦略に役立てる。
Zoom
Zoomは、多くのマーケターがウェビナー開催のために使用しているツールです。Account EngagementとZoomを連携することで、以下のプロセスが自動化されます:
- ウェブフォームの作成(Account Engagement内で作成可能)
- フォームを通じて申し込まれたリストが自動でZoomに連携。
- Zoomで取得された参加者の出欠状況が自動でAccount Engagementに共有。
連携のメリット
- ウェビナー申込者のステータス管理(例:申し込みのみ、視聴後アンケート回答済みなど)がスムーズに。
- Engagement Studioなどの機能と組み合わせることで、ウェビナー開催の工数を大幅削減。
活用例
- ウェビナー申込者へのフォローメールやリードスコアリングを自動化。
Slack
Slack(スラック)は、リアルタイム性が高いビジネスチャットツールです。Account EngagementをSlackと連携させることで、以下のような通知が自動で行われます:
- 資料請求や問い合わせといった注目すべきアクションが発生した際に、自社の担当者にSlack経由で自動通知。
- 営業担当者がリアルタイムでリードの行動を把握可能。
連携のメリット
- タイミングを逃さずにフォロー電話をかけるなど、効果的なアプローチを実現。
- チーム間でのコミュニケーションをスムーズにし、迅速な対応を可能に。
活用例
- 資料請求アクションを検知後、即座に営業がフォロー対応する体制を構築。
まとめ
Account Engagementは、BtoB向けのMAツールとして高く評価されています。リード管理やスコアリングなどの定型作業を自動化することで、工数を削減できる機能が豊富に備わっています。さらに、メールマーケティングや入力フォームの作成、ランディングページの作成といった多彩な機能を活用することで、マーケティング活動の成果を向上させることが期待できます。