目次
- 1 営業管理とは
- 2 営業管理の重要性とは
- 3 営業管理がもたらす5つのメリット
- 3.1 目的と目標が明確になり、チーム全体で共有できるようになる
- 3.2 商談や取引の進捗状況が透明化される
- 3.3 営業ノウハウや経験を組織内で共有することが可能になる
- 3.4 業務プロセスの合理化と生産性向上が実現する
- 3.5 特定の個人に依存しない組織体制を構築できる
- 4 営業効率化に必要な10個の営業管理項目
- 4.1 タスク管理
- 4.2 目標管理
- 4.3 戦略管理
- 4.4 市場管理(ターゲット管理)
- 4.5 顧客管理
- 4.6 案件管理
- 4.7 スケジュール管理
- 4.8 行動管理
- 4.9 モチベーション管理
- 4.10 人材育成管理
- 5 営業管理を効率化する3つのコツとは
- 5.1 自社のニーズに最適なシステムを導入する
- 5.2 重要な管理指標に焦点を当てる
- 5.3 異なる部署間の協力体制を構築する
- 6 営業管理を行えるツール
- 6.1 Excel(エクセル)・スプレッドシート
- 6.2 CRM・SFAツール
- 7 営業管理にはSFA/CRMを活用しよう!得られるメリットとは?
- 7.1 営業部門の全体的な効率を向上させる
- 7.2 現状把握とデータ駆動型の意思決定を可能にする
- 7.3 顧客ニーズに合わせた柔軟な営業戦略を立案できる
- 8 最後に
営業管理は、営業員のパフォーマンスを最大化し、状況に応じて業務を適切に実行させるために重要です。しかし、多くの企業で営業管理が適切に機能していないため、問題が生じています。
営業管理が不十分である場合、営業成績が向上するはずが、目標に達していないというギャップが生じることがあります。一方で、適切に管理されている場合は、次に取るべき行動が常に把握でき、これが営業効率の向上につながります。
この記事では、営業効率を向上させるために必要な7つの管理項目と、営業管理を行うためのツールについて詳しく解説します。
営業管理とは
営業管理とは、営業活動を最適化するための経営手法です。
この管理は、個々の営業員の活動を一括して取りまとめ、組織全体の営業力を向上させることを目指します。
営業管理においては、顧客管理、目標設定、行動管理、タスク管理、スケジュール管理などが行われます。これらを効果的に管理することにより、営業の効率を上げ、売上目標の達成を図ります。
これらの管理項目を個別に行うのではなく、一体的に実施することで営業管理の効率を高めることができます。後半の部分で詳しく紹介しますが、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などのツールの使用も、営業管理を効率化するためには重要です。
営業管理の重要性とは
営業管理の主な目的は、単独の営業スタッフだけでなく、営業チーム全体の効率を向上させることです。
営業以外の業務や煩雑な作業に時間を取られてしまうと、営業活動に集中できません。適切な営業管理を実施することで、営業スタッフが本来の営業活動に集中できる環境を整えることができます。
これまで個人に任せがちだった営業管理を、組織全体で実施することにより、営業活動が効率化され、結果として営業力の強化と業績の向上に繋がります。営業管理は、営業組織全体を適切に指導し、管理することがその目的です。
営業管理がもたらす5つのメリット
目的と目標が明確になり、チーム全体で共有できるようになる
営業管理を実施することで、営業の目標を明確にし、それを組織全体で共有することが可能となります。これにより、全営業チームが同じ目標に対して協力して取り組むことができ、その結果、業績の向上につながります。
商談や取引の進捗状況が透明化される
営業管理を適用することにより、案件の進行状況や営業活動の成果を明確に把握しやすくなり、管理がしやすくなります。これによって、営業マネージャーは適切な指示を与えることが可能となり、営業担当者も自身の業務をより効率的に遂行できるようになります。
営業ノウハウや経験を組織内で共有することが可能になる
営業マネジメントを行うことにより、営業チーム内での知識共有が活性化されます。営業担当者同士で情報を交換し、成功例を共有することで、チーム全体のスキル向上が実現します。
業務プロセスの合理化と生産性向上が実現する
営業マネジメントシステムを導入することで、業務プロセスが体系化され、無用な手間が削除されるため、営業活動がより効率的になります。さらに、営業スタッフ間の情報共有がスムーズに行われることで、タスクの重複が減少します。
特定の個人に依存しない組織体制を構築できる
営業管理を実施することにより、営業チーム内で情報やノウハウが効果的に共有され、個々の営業担当者に依存する活動を防止できます。この属人化を避けることで、営業担当者が退職する時でも、案件の引継ぎや進捗管理が円滑に進められ、結果的に業績に与える影響を最小限に留め、組織の継続的な成長を支援します。
営業効率化に必要な10個の営業管理項目
タスク管理
タスク管理は、今後実行する業務や作業の整理を意味します。多くの業務を抱える際、何をすべきか忘れたり、業務を適切な順序で行えなくなることがあります。タスク管理を適切に行うことで、必要な業務を見落とすことなく、効率的な順序で完了できます。
管理者は営業担当者にタスクを割り当てますが、担当者は基本的に自身でタスクを管理する必要があります。タスク管理ツールを使用すると、効率的にタスクを管理でき、期限の設定やアラーム、色分けなどの機能を利用してタスクをよりわかりやすくすることができます。
目標管理
目標管理では、設定された目標が適切であるか、そして営業スタッフがその目標に納得しているかを監視します。現在のスキルレベルを少し超える目標を設定することで、営業スタッフの成長を促すのが目標管理の一環です。
ただし、営業員によってスキルが異なり、競合他社との競争も影響するため、時には設定した目標に到達できない場合もあります。目標が現実的に達成不可能な場合には、目標の調整が必要です。不合理な目標や営業員の自主性を無視した目標は、モチベーションを下げる恐れがあります。
営業目標の設定は、適切な努力で達成可能なバランスの良い目標を設定し、営業スタッフのモチベーションを高めることが重要です。
戦略管理
戦略管理は、営業戦略の策定から各施策のKPI設定、月次実行計画の作成までを含む管理作業です。企業ごとに営業戦略の立案におけるマネージャーの責任範囲や役割に違いはあるかもしれませんが、戦略に基づいて実行計画を作り、リソースの配分を行うことは一般的な業務です。
例えば、実行計画に「既存顧客への新サービスの推進」を挙げ、その活動比率を20%から40%に増やす場合があります。この計画を実施するには、各営業員に均等に仕事を分配するのではなく、彼らが持つタスクや経験、得意分野を考慮して適切に割り当てる必要があります。
営業戦略を実行するためのシナリオを作成し、それを円滑に進めるための取り組みが求められます。
市場管理(ターゲット管理)
市場管理(ターゲット管理)では、どのようにターゲットや市場へアプローチするかを検討し管理します。この業務には、ターゲット層を分類し、それぞれの層に対する活動指針を定めることが含まれます。
ターゲット層の分類は、ターゲットのカテゴリや特徴、購入歴など様々なデータに基づいてグループ化し、どのターゲットを優先的にアプローチするか決定することを意味します。グループごとにスコアリングを設定しておくと、実際に顧客を割り当てる際に役立つでしょう。
ターゲットを分類した後は、各ターゲット層に適した活動指針を作成します。例えば、スコアリングが最も高いターゲット層を「最重要顧客」として区分し、その層に対する活動比率を高め、より丁寧なフォローを行います。
顧客管理
顧客管理は以下のように説明することができます。
取引先=企業
コンタクト=企業の担当者
顧客=商品やサービスを購入したお客様
ここで大切なのは、これらの言葉の定義そのものではなく、企業、担当者、そして商品やサービスを購入した企業を区別して管理することの重要性です。
取引先、コンタクト、顧客の管理では、次のような指標の管理が推奨されます。
・取引先ごとの売上
・従業員数による売上
・受注率
・業界別の売上と受注率
・地域別の売上と受注率
さらにコンタクトについては、
・コンタクトの役職に応じた売上や受注率
などもチェックしておくことが有効です。
案件管理
取引先との商談を「案件」と称し、これを受注に導くための活動を案件管理と言います。
案件管理によって商談の進捗が可視化され、営業チームや上司とのコミュニケーションが促進されます。これはクロージングの精度を高め、アプローチの漏れを防ぐ効果があります。
以下の報告フォーマットを使用して案件管理を実施することが推奨されます。
・商談日
・取引先
・営業担当者
・商品
・商談の経緯
・商談の内容
さらに、以下の点を確認することで管理がさらに効果的になります。
・案件の進捗状況
・受注の見込み度合い
・受注予定日
・予想売上額
・営業活動の履歴
各案件が計画どおりに進行しているかを確認することは重要ですし、案件がどの段階で停滞するかを把握することで、問題の箇所を特定できます。
停滞するフェーズの原因を分析し、それを基に改善策を検討することが大切です。
スケジュール管理
スケジュール管理とは、各営業担当者の将来の予定を整理することです。商談の予定日、サポート実施日、営業訪問日などを個別の営業員ごとに設定します。
スケジュールは、過去の製品購入日や、コールセンターへの問い合わせ日、前回設定した商談の日など、顧客の履歴に基づいて決定します。また、進行状況に応じてスケジュールが変更されることもあり、各担当者がそのスケジュールに基づいて適切に対応できるように管理体制を整える必要があります。
行動管理
行動管理は、目標を達成するためにどのようなアクションが取られているかを監督することです。目標の達成具合を監視する目標管理とは異なり、行動管理は目標達成の「プロセス」そのものを管理します。成果が上がっていない営業スタッフを評価する際は、単に結果だけでなく、適切な行動が行われているかを重視しましょう。
行動管理を効果的に行うためには、取引先とのコンタクトがなぜ失敗したのか、クロージングがなぜうまくいかなかったのかなど、目標達成が難しい具体的な理由に基づいて指導することが重要です。営業担当者にはそれぞれ得意とすることと苦手なことがあるため、管理者は個々の状況に適した指導を行う必要があります。
モチベーション管理
営業活動には活発な取り組みが求められるため、スタッフのモチベーションが高く保たれることが非常に重要です。適切にモチベーションを管理することで、営業成績の向上や離職率の削減が見込めます。このためには、目標の設定、報酬体系の見直し、社内でのコミュニケーションの活性化などの具体策を講じることが効果的です。
人材育成管理
営業の効率を向上させるには、新人から経験者まで、全営業スタッフのスキルアップが求められます。人材育成管理においては、定期的なトレーニングやフォローアップ、スキルの評価を行い、各スタッフが適した役割を果たせるように調整することが重要です。
営業管理を効率化する3つのコツとは
自社のニーズに最適なシステムを導入する
SFAなどのツールを取り入れることで、営業管理がより効率的になります。
これにより作業負担を軽減し、管理する項目の可視化が簡単になります。導入する前に、自社の営業スタイルに合ったツールを選べるように、目的やコストパフォーマンスを明確に整理しましょう。
重要な管理指標に焦点を当てる
管理項目が過多になると、担当者に過大な負荷がかかり、重要なデータを見落とすリスクが生じます。そのため、管理する項目は最低限に抑え、定期的な見直しが必要です。
管理すべき基本的な項目は以下のとおりです。
– 目標管理
– 顧客管理(取引先・コンタクト管理)
– 案件管理
– 行動管理
– モチベーション管理
– 人材育成管理
異なる部署間の協力体制を構築する
営業部門で集めたデータをマーケティング部門やサポート部門と共有すると、さらなる成果が期待できます。
マーケティング部門では、営業が収集した詳細な顧客情報を活用して、ターゲットとする顧客像をより精確に設定することができます。一方、サポート部門では、過去の案件情報を基に、顧客が今後直面する可能性のある問題を予測し、先回りして対応できます。
営業管理を行えるツール
Excel(エクセル)・スプレッドシート
最も手軽な営業管理ツールはExcelであることが多いです。
しかし、データの増加や従事するスタッフの増加に伴い、Excelの管理能力には限界があります。Excelが営業管理に不向きである主な理由は、複雑な情報を整理し共有するのに適していないためです。
基本的な数字の管理ならExcelが充分ですが、顧客情報やタスク、スケジュールなどを一括で管理するには機能不足です。また、データが多くなるほどファイルが重くなるというのもExcelの欠点の一つです。
情報共有においても、Excelには問題があります。複数人がリアルタイムで同時に編集することができないため、情報の更新にタイムラグが生じることがあります。外回り営業などで即座に情報を共有する必要がある場合には、Excelは不便です。
もちろん、Excelが最適な管理ツールとなる場面も存在しますが、効率的な営業管理を行うためにはSFAやCRMのような専用の営業管理・顧客管理ツールが必要になります。
CRM・SFAツール
営業管理において最も推奨されるITツールはCRMとSFAです。
CRMは、Customer Relationship Managementの略で、顧客関係を築き、強化するためのツールです。その主な機能には、顧客データの収集、分析、活用、顧客サービスの改善、販売やマーケティングの効率化などがあります。
一方、SFA(Sales Force Automation)は、営業活動を中心に設計されたツールで、顧客リストの管理、営業活動の自動化、見積もりや注文の処理、営業予測、タスクスケジューリングなど、営業プロセスの自動化や効率化をサポートします。
CRMやSFAツールを利用することで、営業管理が効率化され、管理者の負荷が軽減されます。
さらに、営業担当者としては、成績や顧客情報をいつでもどこでも確認できるため、業務を効率的に行うことが可能です。
これにより、売上目標の達成に向けた適切な行動がとれるだけでなく、残業の削減やモチベーションの向上など、多くのメリットが得られます。Excelでの管理も可能ですが、複数人での同時編集ができないなどの制約があるため、CRMやSFAのような専用ツールの導入がより効果的です。
クラウドベースのCRMやSFAを導入すると、営業に関する管理全体をクラウド上で行えるようになり、営業部全体の状況をリアルタイムで把握し、引継ぎもスムーズに行えます。また、モバイル対応のCRMやSFAを使用すれば、外出先や移動中でも管理や報告作業が行え、非常に便利です。
営業管理にはSFA/CRMを活用しよう!得られるメリットとは?
営業部門の全体的な効率を向上させる
CRM/SFAは営業活動や顧客管理に特化したシステムです。エクセルでは、数式を用いてデータ分析の設定を詳細に行う必要があります。対照的に、CRM/SFAは必要な設定を完了させた後、すぐに使用することができます。また、データの入力も簡単に行えます。
現状把握とデータ駆動型の意思決定を可能にする
CRM/SFAシステムは、入力されたデータを基に自動的に様々な分析を行います。データのまとめは自分で行う必要がなく、必要な情報にアクセスするだけで状況を理解できます。
この現状の可視化はCRM/SFAの大きな利点であり、データを基に適切な行動を起こすことができるため、売上や業績を向上させる効果が期待できます。
顧客ニーズに合わせた柔軟な営業戦略を立案できる
顧客のニーズは絶えず変わり続けています。以下のような理由で顧客の要求が急激に変化することもあります。
- -製品やサービスがテレビやSNSで注目を集めた
- 戦争や社会の大変動により必要とされるものが変化した
- 自然災害によって新たな需要が生まれた
また、次のような徐々に起こるが大きな変化にも対応する必要があります。
- 顧客が求める操作性の進化
- スマートフォンのデータ容量の増加
- 時代による小学生の使用する鉛筆の硬さの変化(昭和ではHB、令和では2Bが主流)
変化を適切に把握することは重要な営業活動ですが、一人の営業担当者がすべてを捉えることは困難です。そのため、SFA/CRMを利用してデータを分析し、組織全体で顧客のニーズを理解することが効果的な対応策です。
最後に
管理業務は、営業部全体の売上目標を達成するために不可欠です。組織全体と個々の営業スタッフの両方で管理を徹底することにより、業務ミス、非現実的な目標設定による動機減少、営業スタッフの成長停滞などの問題を解決することが可能です。
売上のプレッシャーにより日常の管理業務が疎かになりがちなので、営業管理を適切に行うためには、使用するツールの選定も重要です。CRMやSFAといった営業管理に役立つツールを活用し、業務の効率化を図りましょう。