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営業KPIとは?設定方法と成果を上げるための効果的な14個の指標を紹介

「KPIの重要性はよく言われるものの、その具体的な内容がよく分からない」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、KPIの基本的な定義から、営業活動に役立つKPIの設定方法について詳しく解説します。

無計画に営業するよりも、KPIを設定することで、目標達成がしやすくなり、営業活動のPDCAサイクルを効果的に回すことができます。

ただし、KPIを誤って設定すると、営業の成果が出にくくなるリスクもあります。

営業成績を向上させたい、効率的に営業を行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。」

営業におけるKPIとは

KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略で、設定した目標の達成度を測るための「中間指標」を指します

日々の業務を数値化し、どの業務の数値をどれだけ改善すれば良いかを判断するための指標です。たとえば、法人営業では「新規の見込み客100社に対して電話営業を行う」といったKPIを設定することが考えられます。

KPIを設定し、これを継続的にモニタリングすることで、目標達成に近づきやすくなります。

さらに、「ただ売上を伸ばせ!」という感覚的な指示ではなく、「売上を上げるために、〇〇をKPIとして設定したので、このKPIを達成するよう努めてほしい」という具体的な指示が可能になるため、営業担当者もどこに注力すべきかを明確に把握できるようになります。

KPIとKGIの違いとは?

KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」を指します。これはビジネスにおける最終的な目標を意味します。

「KPI」はKGIを実現するために、各プロセスの進捗を測る指標であり、最終目標に向かう上での中間指標として重要です。

KPIは具体的な業務レベルでの目標を指しますが、KGIは企業全体の戦略的な目標を表すと言えるでしょう。

簡単に言うと、各業務レベルで設定されたKPIが達成されることによって、最終的なKGIの達成に繋がると考えていただければ分かりやすいでしょう。

KPIとKFS(CSF)の違いとは?

KFS(Key Factor for Success)は、CSF(Critical Success Factor)とも呼ばれ、「重要成功要因」を意味します。

KPIやKGIとは異なり、「指標」ではなく、成功に必要な「要因」を指します。

KFSを特定することで、目標達成に必要な要因が明らかになり、具体的に何をすべきかが明確になります。

KPI、KGI、KFSの関係性は次のようになります。

KGI(重要目標達成指標):組織の最終目標を設定する
KFS(重要成功要因):その目標を達成するための重要な要因を検討し、特定する
KPI(重要業績評価指標):目標達成に向けた進捗を評価するための具体的な数値目標を設定する

営業のKPIを設定するメリット

営業活動の進捗状況や目標達成度が明確に把握できるようになる

営業活動の指標が明確になることで、進捗や達成度を見える化しやすくなるのが利点です。

例えば、訪問件数をKPIとして設定すれば、現在の件数から営業活動の進捗状況を可視化することができます。これにより、営業担当者は自身の状況を把握できるだけでなく、管理者も各担当者や組織全体を俯瞰して確認できます。進捗が遅れている場合には、適切なタイミングでフォローを行い、目標達成をサポートすることが可能です。

営業業務の生産性を改善できる

KPIを複数設定し、それぞれの項目に優先順位をつけることで、営業活動の効率化を図れるのが利点です。

例えば、受注金額を最も重要なKPIと定めれば、受注に向けて訪問やクロージングなど、注力すべきポイントを明確にできます。

「新規の見込み顧客は獲得できているが、成約率が低い」といった状況がKPIで示されれば、商談にリソースを重点的に配分する判断がしやすくなります。

KPIを基準に課題や優先順位を把握することで、今何に取り組むべきかが明確になり、効率的な営業活動を進めることができるでしょう。

営業担当者のモチベーションを向上させることができる

KPIは営業活動の目標となるため、担当者のモチベーション管理にも有効です。訪問件数や成約率といった具体的な指標が設定されることで、目標に向けて取り組みやすくなります。

目標達成が難しいとモチベーションが低下するリスクもありますが、KPIで進捗や達成状況を把握することで、適切なフォローが可能です。

例えば、成約率をKPIとして設定することで、各営業担当者の成約状況が見える化されます。目標成約率に達していない担当者には、課題をヒアリングし、解決策を共に考えることで、目標達成への意欲を引き出すことができるでしょう。

目標達成に向けたアドバイスやフォローを行うことで、担当者のモチベーションを高め、前向きに取り組む姿勢を促すきっかけになります。

営業チーム全体の方向性を統一し、共有できるようになる

営業におけるKPIは、営業担当者個々の目標であるだけでなく、チーム全体が達成を目指す指標にもなります。

営業活動の質は個人のスキルやアプローチによってばらつきが生じることが多いですが、KPIを設定することでチーム全体の方向性を統一できるという利点があります。

訪問件数や成約数といったKPIの達成をチーム全体で目指し、組織全体のパフォーマンスを向上させましょう。

営業のKPIを設定する際の注意点

設定するべきKPIは組織によって異なる

営業のKPIを設定する際には、組織ごとに適切なKPIが異なることを認識する必要があります。

例えば、不動産営業と健康食品の営業では、業界が異なるため、適したKPIも自然と異なってきます。

さらに、同じ不動産営業でも、企業ごとに業務形態が異なるため、設定すべきKPIもそれぞれ異なることが重要です。

成果を見越したKPIにする

例えば、「営業のKPIとして訪問件数を設定すればいいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、訪問件数だけを設定しても効果は限られています。

というのも、訪問件数を100件に設定しても、「100件訪問したが、成約には繋がらなかった」という状況が発生する可能性があるからです。

重要なのは、目標から逆算してKPIを設定することです。

それでは、ここから具体的なKPIの設定方法について詳しく解説していきます。

営業のKPIの設定方法

最終的に達成すべき主要な目標指標を定める

KPIを設定する前に、まずKGI(Key Goal Indicator)を設定しましょう。

KPIは中間目標であるため、先に最終的なゴールであるKGIを定め、全体の方向性を明確にすることが重要です。これにより、KPIを効果的に設定し、目標達成に向けた具体的なアクションを導くことができます。

SMARTの法則を取り入れる

KGIを設定したら、次はKPIの設定に進みます。

KPIを設定する際には、「SMARTの法則」を意識することで、効果的なKPIの設定に役立ちます。

SMARTの法則とは、KPIが満たすべき5つの要素の頭文字をとったフレームワークです。

Specific:「具体的な」
Measurable:「計測可能な」
Achievable:「達成可能な」
Relevant:「関連する」
Time-bound:「期限が明確な」

これら5つの観点に基づいてKPIを設定し、KGI達成までの精度を高めていきましょう。

数値化できるものを洗い出す

SMARTの法則の「M:Measurable(計測可能)」と関連しますが、KPIを設定する際は、まず自社の営業活動で数値化できる要素を洗い出すことが重要です。

具体的には、以下のような数値が考えられます。

– アポイントの件数
– 訪問件数
– 資料請求数
– 成約率
– 代金回収率
– 顧客単価
– 解約件数
– ペイバック期間(Payback Period)
– クレーム件数

これらのKPIを見える化するためのツールとして、SFA(営業支援システム)が役立ちます。

一方で、「営業マンのやる気」といった要素は、営業活動に大きな影響を与えるものの、数値化できないためKPIとしては適さないことに留意しましょう。

営業担当者が直接動かせる指標をKPIとして選定する

当然のことながら、営業担当者がその活動によって直接コントロールできない指標をKPIに設定しても意味がありません。

例えば、リード獲得において他の部門が「インバウンドでのリードジェネレーション」を担当している場合、その対応件数を営業部門のKPIに設定するのは不適切です。営業担当者が影響を与えられない指標をKPIとした場合、達成しても未達成でも、営業活動で変化をもたらすことができないため、原因分析や改善ができなくなります。

KPIを人事評価の主要な基準として利用しているケースもありますが、KPIのみを基にした評価制度は運用を誤ると、評価される側のモチベーション低下を招く可能性があります。

KPIに加え、“定性的な指標”や、KGIと直接関連しないが組織全体の成長に寄与する業務、顧客との関係を強化する業務、中期的な視野で効果の高い業務も評価に含めるべきです。このように、バランスの取れた評価システムの中でKPIを活用することが重要です。

KPIは少数に絞り込む

「KPIを設定しよう」と意気込んで多くのKPIを設定してしまうと、営業担当者が混乱してしまうことがあります。

そのため、KPIは必要最低限の数に絞り、シンプルでわかりやすいものにしておくことが重要です。

評価期間を設定し、定期的に測定して必要に応じて修正を加える

KPIを設定したら、1ヶ月や2ヶ月といった期間を定めて測定を行いましょう。

その後、設定したKPIが適切かどうかを定期的に振り返り、必要に応じて見直すことが重要です。

KPI(ロジック)ツリーとは?設定の仕方4ステップ

営業のKPIにおけるKGIを設定する際、KPIツリーが役立ちます。KPIツリーは、ツリー状に要素を整理したフレームワークであり、KPI設定の基盤となるため、正確に作成することが重要です。

KPIツリーの作成方法は、次の4つのステップに従います。

1. 四則演算できる要素をピックアップする
2. 要素ごとに単位を決める
3. 要素をKGIに近い順に並べ替える
4. KPIにならない要素や重複をチェックする

各ステップのポイントを押さえながら、順序よくKPIツリーを構築していきましょう。

四則演算できる要素を抽出する

KPIツリーを構成する要素を選ぶ際には、足す・引く・掛ける・割るといった四則演算が可能なものを選ぶことが大切です。

KPI管理では数値化できる項目が必要となるため、四則演算できないものはKPIに設定できません。

例えば、商談数は訪問や電話、メールなどの商談を合計したものであり、KPIに適した項目です。商談数に受注率を掛けた新規案件数や、新規案件数と既存案件数を合算した受注件数も、四則演算が可能なため適しています。

ただし、四則演算が可能でも、複雑な計算が必要な場合、数値の管理が難しくなることがあります。A+BやC×Dのようなシンプルな計算で算出できる要素を優先すると、管理しやすくなります。

要素ごとに単位を設定する

KPIツリーに含める要素を設定したら、それぞれの要素に適切な単位を設定することが重要です。単位が誤っていると正確な数値を算出できなくなるため、計算しながら確認することが必要です。

例えば、インサイドセールスのKPIにコネクト数を設定する場合、「回」が単位になります。最終的なKGIを商談数とするなら、商談数も「回」で管理するため、この単位設定は適切です。

営業KPIでは、「回」「人」「%」「円」といった単位がよく使用されます。ただし、単位が多すぎるとKPIツリーが複雑になるため、必要最小限の単位で統一することが望ましいです。

要素をKGIから近い順に置き換える

KPIの要素と単位が決まったら、次にKGIに近い順に並べ替えていきます。KPIには、後から結果がわかる「遅行指標」と、早い段階でわかる「先行指標」があり、KGIに近い要素は遅行指標です。

たとえば、売上高をKGIとする場合、成約数・商談数・アプローチ数を順に並べ替えます。成約は商談の結果として得られ、商談はアプローチが前提となるため、この関係性は「売上高>成約数>商談数>アプローチ数」となります。

順序が決まったら、各要素をさらに細分化しましょう。例えば、アプローチ数は訪問数、電話数、メール数などに分解できます。KGIを頂点に、各要素を細かく分けていくと、ツリー状に整理されているはずです。

KPIにならない要素や重複がないか確認する

KPIツリーの形が整ったら、それで完成ではなく、最後に不要な要素や重複がないか確認することが重要です。

数値化が難しい項目や、期間設定が困難な項目は、KPIとして適切ではないため、除外することがポイントです。

要素が重複している場合、KGIに到達するまでのプロセスが複雑になりかねません。できる限りシンプルなツリーにするために、要素や順序を再確認し、KGIへの道筋が明確でスムーズなものになるよう調整しましょう。

営業のKPIのマネジメント方法

定期的に振り返る機会をつくる

KPIは、一度設定すれば終わりではなく、継続的に見直し、調整していく必要があります。自社の目的達成に向けた指標として、結果に基づいて調整を行い、時には自社の状況だけでなく、顧客や市場といった「外部要因」も評価基準に含めるべきです。また、指標の内容やそのレベルを適宜見直すことが重要です。

しかし、適切なKPIを設定しても、それを活かして改善施策が取られていなければ、KPI設定の効果を十分に引き出すことはできません。KPIを設定しただけで満足するのではなく、そのKPIを活かして、どのようなプロセスで改善を進めていくのか、事前にイメージしておくことが大切です。

このような状況で有効なのが、“振り返りの場を設けること”です。振り返りの機会をあらかじめ予定しておくことで、KPIが設定されたまま放置されるのを防ぎ、効果的な改善へとつなげることができます。

KPIを管理しやすい体制を整える

KPIが存在していても、正確に記録されていなければ、実際の数値を正しく把握することはできません。誤ったデータを基に分析しても、適切な改善策を導き出すことは難しいでしょう。

営業担当者は、通常、自分の成果に直接結びつかない作業にはできるだけ時間をかけたくないものです。そこで、営業担当者が入力作業を嫌がらないよう、入力が簡単で必要最小限のシンプルな項目でKPIを設定し、環境を整えることがKPIを有効活用するポイントとなります。

SFA(営業支援システム)ツールを導入することで、スケジュール管理や商談進捗のメモとして、自然にKPIに該当する項目を入力できるようにするのも効率的な方法です。

さらに、モバイルからの入力に対応したクラウドベースのツールを選べば、移動時間や短い待ち時間などの隙間時間を有効に活用できるでしょう。

営業で実際に使えるKPI14選

多くの企業では、営業の業務範囲を顧客の獲得(成約)までに設定しており、KPIは主に新規顧客に関連したものが重視されています。これは、既存顧客への営業が売上の維持には役立つものの、新規顧客獲得ほど売上の向上には直結しにくいためです。

一方、サービス業では解約やクレーム対応も業務に含まれることが多く、これらの件数や内容を把握することで顧客満足度の低下を予防することが重要になります。

以下は、営業活動における主要なKPIの指標とその概要です

指標 概要
新規リード獲得数 広告や販売、マーケティング活動によって獲得した見込み客の数
有望見込み客数 営業活動を通じて、成約の確度が高いとみなされる見込み客の数
有望見込み客転換率 新規リード数から有望見込み客数への転換率
有望営業機会数 有望見込み客が成約に結びついた件数
有望営業機会化転換率 有望見込み客数から有望営業機会数への転換率
新規顧客数 成約に至った新規顧客の数
新規顧客化転換率 新規の有望見込み客数から有望営業機会数への転換率
平均新規顧客単価 新規顧客から得られた平均顧客単価
新規顧客売上 新規で獲得した顧客から得た売上
平均既存顧客単価 既存顧客から得られた平均顧客単価
既存顧客売上 既存の顧客から獲得した売上
リードタイム 営業がリードに初めて接触してから顧客化(受注)するまでにかかった日数
解約件数 既存顧客の解約件数
クレーム数 既存顧客からのクレーム件数

これらのKPIを効果的に活用することで、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との関係維持や改善策の実施にも役立てることができます。

さいごに

この記事を通じて、営業KPIを設定し、それに基づいてプロセスマネジメントを行うことの重要性をご理解いただけたはずです。KPIは適切な項目を選定することが重要であり、そのためには自社の営業活動を十分に分析することが不可欠です。しっかりとした準備を行い、意義のあるKPI設定と、それに基づくプロセス設計を行えるよう心がけましょう。

 

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