kintone

kintone(キントーン)のできること・できないことを比較|企業が知るべきポイントとは?

最近、CMで目にする機会が増えてきたサイボウズ社の「kintone」。
エクセルなどの表計算ソフトを使用している際によく起こる、「動作が重い」「計算式が壊れてしまい使えない」「最新のファイルがどれかわからない」といった問題を解決してくれるクラウドツールのようです。しかし、それだけでは自社の業務に適しているかどうか判断するのは難しいでしょう。

そこで今回は、「kintoneとは何か?」「kintoneを使うとどのようなメリットがあるのか」「できることや難しいことは何か」といった基本的な内容から、「目的別のkintone活用方法」の具体例まで、kintoneの全体像をわかりやすくご紹介します!

kintoneとは?:可能性を広げるクラウドサービス

kintone(キントーン)とは、高度なプログラミング知識がなくても、誰でも簡単に業務効率化アプリを作成できるツールです。

「アプリ」と聞くと、スマートフォンで使うようなひとつのシステムを思い浮かべるかもしれませんが、kintoneでいう「アプリ」とは、一連の業務に必要な情報を一か所にまとめたものを指します。例えば、「顧客台帳」のようなエクセルシートが1つのアプリになっていると考えるとイメージしやすいでしょう。

kintoneのアプリには、データの蓄積・一覧・検索ができるデータベース機能が備わっているほか、データに対してコメントを書き込むことでコミュニケーションを取ることも可能です。

また、kintoneでは、エクセルやCSVファイルを読み込んだり、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作でアプリを作成できるため、手軽に使い始められます。さらに、プラグインや外部連携を導入することで機能を拡張することも可能です。

具体例としては、社外の協力業者やお客様が直接入力できるWebフォームの作成や、自社のひな形を使った見積書や請求書の作成などが挙げられます。

kintoneの仕組み

公式ホームページでは、kintoneの仕組みについて以下のポイントが紹介されています。

  • 業務システムを必要な数だけ追加可能
  • データ共有による見える化が可能
  • コミュニケーションのシンプル化
  • マルチデバイスでアクセスが可能
  • 外部サービスや基幹システムとの連携も可能
  • キントーンさえ見れば仕事が進められる

kintoneは、複数の業務用アプリを設計できるため、業務内容や部署を問わず導入が可能です。さらに、データを共有し、情報を一元管理して見える化することで、業務全体を把握しやすくなります。加えて、マルチデバイスに対応しているため、いつでもどこでも最新の情報を確認できるのが特長です。

また、kintoneでは、業務内容別にメンバーを設定し、ステータス変更や「いいね!」機能を使ったコミュニケーションが可能です。このため、社内外のやり取りをシンプルかつ快適にする仕組みが整っています。

「もっと良い方法やツールはないか?」という日々の業務の要望を形にできるのも、kintoneの魅力です。その結果、kintoneさえ見れば仕事を進められる環境を構築できるとされています。

kintoneでできることとは?

業務用カスタムアプリの簡単作成

kintoneには、既存のアプリが多数用意されており、導入直後からダウンロードして利用できます。また、既存アプリのカスタマイズや、自社運用に合わせたアプリの新規作成が、ほぼカーソル操作だけで簡単に行えます。
「キャプション:アプリストア」

さらに、PCだけでなくスマホやタブレットの画面サイズにも対応しているため、出先でも手軽に利用できます。

では、そのkintoneアプリで具体的に何ができるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

顧客情報と案件のデータベース管理

顧客や案件のデータベース化には、アプリストアからダウンロード可能な顧客リストアプリ案件管理アプリがおすすめです。

  • 顧客リストアプリでは、相手先の企業名、担当者の連絡先、顧客ランクなどをまとめて管理可能。
  • 案件管理アプリでは、案件の見込み時期や活動履歴の管理も行えます。

条件を指定してレコードを絞り込む機能や、売り上げや案件数をグラフ化する機能を使えば、活動報告や分析もスムーズになります。さらに、レコード上でコメントのやりとりが可能なため、社外活動の履歴と社内のやりとりを一元管理できます。

決裁と承認のフロー

社内稟議や経費申請などには、プロセス管理機能が活用できます。この機能では、複数のユーザーによるレコードの処理状況を「ステータス」として管理します。

例として、物品購入申請アプリでは、

  • 「未申請」のレコードを申請すると「申請中」にステータスが変更され、承認者に通知が届きます。

上長を探したり、承認を待機する手間が不要となり、双方の負担を軽減できる機能です。

問い合わせの対応管理

問い合わせ管理アプリでは、顧客からの問い合わせ内容や進捗状況を共有可能。

  • 各対応状況を「完了」「未対応」「対応中」とステータスで区別できるため、対応漏れを防止できます。
  • 社内での相談や対応履歴をレコード上のコメント機能で記録可能。

これにより、イレギュラー対応をノウハウとして蓄積することもできます。

文書や資料の共有・管理

ファイル管理アプリでは、画像ファイルや文書をレコードに添付して一括管理できます。

  • 最新版のファイルへの素早いアクセスが可能な絞り込み・並べ替え機能を搭載。
  • 添付ファイル内の全文検索機能も備わっており、膨大な資料を効率よく管理できます。

カレンダーによるスケジュール調整

カレンダー形式の表示機能を活用すれば、スケジュール管理が可能です。

  • 日誌フィールドを追加すれば、スケジュールと活動記録を一体化。
  • リマインダー機能で対応漏れを防止。

現場からのアイディアを活用した業務の改善

アイディアボックスアプリを使うことで、従業員から業務改善のアイディアを常時収集可能。

  • コメント機能でアイディアをディスカッションしながらブラッシュアップが可能。
  • 目安箱として活用すれば、運用中のアプリに対する改善案を収集し、現場に即したアプリを作成できます。

kintoneのカスタマイズ性を活かし、業務改善のスピードを加速できます。

kintoneの活用方法の一例

kintoneは、その特長を活かして多くの業務を効率的に行うことが可能です。

例えば、下図のように顧客・案件管理や勤怠管理は、kintoneが得意とする分野であり、アプリの組み合わせによって比較的簡単に管理システムを構築できます。

さらに、以下のような業務でも活用が可能です。

  • 脱エクセル
  • 問い合わせ管理
  • リモートワーク管理
  • ファイル管理
  • 社内管理
  • 受発注管理
  • アンケート/調査
  • FAQ管理

【参照】キントーン公式「用途別の使い方」

kintoneでできないこととは?

ここまで解説してきたように、kintoneは多機能で便利なクラウドサービスです。
しかし、kintoneは完璧なサービスではありません。口コミを見ても、操作性や初心者にとっての難易度の高さについて改善の要望が見られます。

ここでは、kintoneでできないこと・難しいことについて詳しく解説します。導入を検討中の担当者は、導入後のギャップを防ぐためにも確認してください。

標準機能では複数アプリをまたいだ集計ができない

kintoneの標準機能では、複数アプリをまたいだ値の集計ができません
例えば、「Aのアプリで管理する在庫数」と「Bのアプリで管理する商品別単価」から在庫の合計金額を計算したい場合、目視で計算する必要があります。

  • 計算が必要な場合は、同じアプリ内で管理する必要がありますが、設計段階で今後の業務すべてを考慮するのは簡単ではありません。
  • この課題は、「krewData(クルーデータ)」というプラグインで解決可能です。ただし、費用がかかるため、導入は慎重に検討しましょう。

標準機能ではエクセルのように編集できない

kintoneの標準機能では、一覧画面上でエクセルのように編集することはできません
そのため、もともとエクセルを業務で使用していた企業では、UIの違いに戸惑うケースが多いです。

  • ただし、**「krewSheet」や「krewDashboard」**といったプラグインを使えば、一覧画面をエクセルのように表示・編集したり、グラフやテーブルで集計結果を表示させたりすることが可能です。
  • これらのプラグインの特徴や機能については、詳細な比較記事を参考にしてください。

専門性の高い基幹システムの置き換えは難しい

kintoneは集計・分析・データ管理が得意ですが、請求書の作成や印刷などの処理は苦手です。このため、基幹システムとしての利用は不十分な点があると言えます。

  • プラグインやアプリの組み合わせで対応することも可能ですが、複雑化して使いづらくなるリスクがあります。
  • 特に、販売管理システム、会計システム、勤怠管理システムなどの専門性の高い基幹システムの置き換えは難しいでしょう。

基幹システムとの連携を活用することで、kintoneの弱点を補うことができます。詳細なメリットや連携方法については関連資料を参照してください。

複雑な機能の実装にはプログラミング知識が必要

kintoneでは、簡単な機能のアプリであればノンプログラミングで実装可能です。

  • プラグインや連携機能も充実しているため、多くのケースでは専門知識がなくても対応できます。

しかし、会社ごとに業務フローや作業手順が異なるため、自社に最適化する場合は細かい調整が必要になります。その際、プログラミングスキルが求められることがあります。

プログラミング未経験者が新たに知識を身につけるには時間がかかるため、複雑なシステムの実装は専門家への依頼がおすすめです。

kintone導入に向いている企業の特徴とは?

自社の業務に合わせてアプリを開発したい企業

kintoneなら、自社業務に合ったアプリを自由に作成可能です。これにより、機能が固定されたツールよりも、使いやすい業務プラットフォームを開発できます。

中小企業やスタートアップ企業

人員が少なく、一人の社員が複数部署を兼務するような企業に向いています。
kintoneなら、営業、人事、経理などさまざまな部署のアプリを一元管理でき、部署間の情報共有や連携もスムーズに行えます。

コストをできるだけかけずに始めたい企業

業務効率化やデータ一元管理を、ランニングコストを抑えて実現したい企業に最適です。

  • 月額7,500円(5ユーザー、スタンダードコース)または
  • 月額3,900円(5ユーザー、ライトコース)から利用可能です。

kintone導入に向いていない企業の特徴とは?

既存のSaaS機能に応じて業務フローやプロセスを柔軟に変更できる企業

柔軟に業務フローを変更できる場合、kintoneを導入するよりもコストが抑えられ、導入スピードも早いため、kintoneは適さない可能性があります。

複数のアプリや機能を必要としない企業

必要な機能が限定的な場合kintoneの多機能性がオーバースペックになる可能性があります。その場合、特化型の専門ツールのほうがコスト面で有利です。

費用対効果が見込めない企業

導入の手間やコストに対して、業務改善の効果が薄い企業には適していません。
費用対効果を見極めた上で導入を検討することが重要です。

さいごに

kintoneは万能なツールではなく、できることとできないことがあります。また、プログラミングの知識がなくてもアプリを作成できるからといって、システム全体の設計を考慮せずにアプリを増やすと、使いにくいシステムになってしまう可能性があります。

せっかく導入するのであれば、kintoneの特性を理解した上で、システム全体の統制が取れた、シンプルで使いやすいシステムを構築し、業務改善を図ることが重要です。

そのためには、導入や運用を支援してくれるパートナーの存在があると安心です。

当社では、kintoneの導入から活用までをしっかりサポートしています。導入を検討中で、不安や疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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