営業担当必見!Excelで顧客データベースを作成する手順と管理の方法とは?

目次

自社の顧客情報をデータベース化する際、新たに基幹システムを開発したり、専用ツールを導入したりする必要はありません。実際、日常的な業務で使用しているエクセルを活用するだけで、簡単に顧客管理のデータベース化が可能です。
この記事では、エクセルを使った顧客管理の方法を詳しく解説します。さらに、エクセル上で顧客管理を行う際に役立つ便利な機能についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

初心者でも簡単!Excelで顧客リストを作成するステップ

項目名の決定とデータ入力

顧客リストを作成する際は、まず必要な項目を決めることから始めます。
例えば、以下のような項目が考えられます。

  • BtoCの場合: 会員番号、名前、住所、電話番号
  • BtoBの場合: 企業名、担当者名、連絡先

必要な項目を決めたら、横方向に項目名を入力します。このとき、入力項目が多いと見づらくなる場合がありますが、項目名は折り返さずに入力しましょう。
さらに、Excelの入力フォームを利用すれば、各項目ごとのデータを1画面で入力できるため便利です。

次に、項目名が決まったらデータを入力します。

  • 1つの行に1件のデータを入力
  • 1つの列に同じ種類のデータを入力

列の順番を変更したい場合は、列全体を選択して切り取り、移動したい箇所に貼り付けます。

リスト化する

項目名とデータ入力が完了したら、次に顧客情報をリスト化します。以下の手順でリスト化が可能です。

  1. リスト化したい範囲を選択します。
  2. ホームタブから「テーブルの書式設定」をクリックします。
  3. 表示されるデザインや色の中から好きなスタイルを選択します。

これで顧客リストのリスト化が完了します。

検索・並び替え・フィルターの活用

リスト化したデータは、以下のような便利な機能を使って簡単に管理できます。

  • 検索: 項目名の横にある三角形マークをクリックし、「検索」を選択。
  • 並び替え: 昇順・降順にソート可能。
  • フィルター: 特定の条件でデータを絞り込み。

また、Excelの関数を活用することで、リスト内のデータを分析することも可能です。

Excelを使った顧客リストの作成は、簡単かつ柔軟にデータを管理できるため、初心者から上級者まで幅広く活用できる方法です。

Excel顧客管理で役立つ7つの便利機能

Excelには、顧客リストの管理を効率化するための多くの便利機能が備わっています。これらを活用すれば、よりスムーズに顧客情報を管理できます。以下に、代表的な機能を紹介します。

フォーム機能

顧客データが増えると、Excelの編集や入力がしにくくなる場合があります。このようなときには、フォーム機能を活用すると便利です。フォーム機能を使えば、1件の顧客データを画面全体で確認しながら入力・編集ができます。

フォーム機能の設定手順
  1. メニューから「オプション」を選択し、「クイックアクセスツールバー」をクリック。
  2. 「すべてのコマンド」から「フォーム」を選び、クイックアクセスツールバーに追加します。
  3. 「OK」を押すと、画面上部のクイックアクセスツールバーにフォームアイコンが表示されます。

設定が完了すると、次回からフォームアイコンをクリックするだけで、フォーム機能が利用可能になります。

ウィンドウ枠の固定

Excelにデータを入力すると、スクロールに伴い項目名が見えなくなることがあります。これを防ぐために、ウィンドウ枠の固定機能を使いましょう。

ウィンドウ枠の固定手順
  1. 画面上部の「表示」タブを開き、「ウィンドウ枠の固定」をクリック。
  2. 固定したい行や列、セルを選択。

これで、スクロールしても選択した部分が常に表示されます。固定を解除する場合は、「ウィンドウ枠固定の解除」を選択してください。

重複のチェック

顧客情報が増えると、データの重複が発生するリスクが高まります。定期的にチェックして、データの正確性を保つことが重要です。

重複チェックの手順
  1. ホームタブから「条件付き書式」を選択。
  2. 重複する値」をクリックし、確認したい範囲を選択。

重複しているデータがあれば、ハイライトされて一目で分かります。また、ソート機能を活用すれば、重複データを並べて確認・削除が簡単に行えます。

フィルター機能

フィルター機能を使うと、必要なデータだけを抽出することができます。

使用方法:

  1. テーブル上の管理項目のトグルをクリック。
  2. 「昇順」「降順」の並び替えや、「テキストフィルター」で条件を指定。
  3. 条件に一致したデータが表示されます。

検索機能

必要な顧客情報を素早く見つけるために役立つ機能です。

使用方法:

  1. ホーム」タブの「検索と選択」をクリック。
  2. 「検索」にキーワードを入力し、該当するセルが強調表示されます。
  3. 検索オプションを使えば、より詳細な条件で検索可能。

ピボットテーブル機能

大量の顧客データを効率的に集計・分析できる強力な機能です。

使用例:

  • 新規顧客と既存顧客の売上を分けて分析。
  • 地域別や担当者別のデータを比較。

設定方法:

  1. 挿入」タブの「ピボットテーブル」をクリック。
  2. データの集計結果を自由に組み合わせて分析を進めます。

条件付き書式

セルの条件に応じてフォーマットを変更することで、データの異常値や特定の条件を目立たせることが可能です。

使用例:

  • 特定の金額以上の売上を色で強調。
  • 更新が必要な顧客データを目立たせる。

Excelで顧客リストを作成するときの注意点

データを横方向で入力しない

Excelでデータを入力する際は、データを横方向に入力しないようにしましょう。以下の理由から、項目名は横方向、データは縦方向に入力することが推奨されます。

  • データを横方向に入力すると、フィルター機能やソート機能が使えなくなる。
  • 属性ごとのデータの並び替えや絞り込みが困難になる。

正しい入力例:

  • 横方向に「名前」「住所」「電話番号」などの項目名を入力。
  • 縦方向に各顧客のデータを入力。

データ同士の行間をあけない

入力時に、データ同士の間に空白行やセルを作らないことが重要です。空白があると以下の問題が発生します。

  • データが視覚的に分かりづらくなる。
  • データが途切れてしまい、Excelが一続きのリストとして認識できなくなる。
  • フィルター機能やソート機能が正しく動作しなくなる。

タイトルとテーブルは1行間隔をあける

リストにタイトルをつける場合(例: 「会員情報」など)、タイトルとテーブルの間に1行以上の間隔をあける必要があります。

  • 間隔がないと、Excelが表をデータベースとして正しく認識しない可能性がある。
  • 1行の間隔をあけることで、表とタイトルが視覚的に分かりやすくなる。

注意:
データ同士の間に空白行がある場合とは異なり、タイトルと表の間隔があっても、ソート機能やフィルター機能に支障はありません。

無料で使える!Excel顧客管理テンプレート3選

Excelを使った顧客管理を効率化するために、無料で利用できるテンプレートを活用するのも一つの方法です。以下では、利用しやすいテンプレートを提供している3つのサイトをご紹介します。

Officeテンプレート

特徴:
Microsoftが提供する公式テンプレートです。所在地や電話番号など、企業の基本的な属性情報をまとめるのに適しています。
初めて顧客管理を行う担当者でも簡単に使えるシンプルな設計です。

メリット:

  • 基本的な顧客リストの作成に便利。
  • テンプレートの使い方が公開されているため、初心者にもわかりやすい。

用途例:
顧客の基本情報をまとめるためのスタート用ツール。

Excel Form 顧客管理

特徴:
フォーム入力に特化したテンプレートです。入力したデータを一覧表示し、売上情報や顧客情報の管理ができます。

メリット:

  • 無料版でも十分に使える。
  • はがきや封筒ラベルの作成機能付きで、郵送DMに対応可能。
  • VBAマクロを利用した有料版もあり、カスタマイズを考える場合にも対応。

用途例:
売上データを含む詳細な顧客管理や郵送物の作成。

[文書]テンプレートの無料ダウンロード

特徴:
担当者名やメールアドレスなど、一般的な管理項目があらかじめ設定されているテンプレートです。年賀状やお中元といった独自の項目も含まれていますが、必要に応じて簡単にカスタマイズ可能です。

メリット:

  • テーブル機能を利用してデザインや機能を追加可能。
  • ダウンロード後、独自のニーズに応じたアレンジが簡単。

用途例:
イベントや季節ごとの対応が必要な顧客情報の管理。

Excelを使った顧客データの分析方法

Excelを活用すれば、RFM分析デシル分析などを用いて顧客データを効果的に分析できます。以下に、それぞれの手順を詳しく解説します。

必要な基本項目

分析を行うには、以下の項目が最低限必要です:

  • 顧客番号
  • 受注の識別項目(注文番号など)
  • 購入日
  • 購入金額

RFM分析の方法

RFM分析は、顧客の購買行動を基に、優良顧客維持顧客を特定するための手法です。以下の3つの要素を基に評価します:

  • Recency(最新の購入日)
  • Frequency(購入の頻度)
  • Monetary(購入総額)
エクセルでのRFM分析手順
  1. ピボットテーブルでRFMを集計
    • 顧客ごとに最終購入日、購入回数、購入総額を計算。
  2. 表を新規シートにコピー&ペースト
    • 集計結果を別のシートに移動して分析用の表を準備。
  3. RFMを定義
    a. 「最終注文日からの経過日数」を算出する管理項目を追加。
    b. 基準日を決定(例: 分析実施日)。
    c. 基準日-最終注文日で経過日数を算出。
    d. データをもとにランクを定義(例: 経過日数30日以内=1ランク)。
  4. IF関数を使ってRFMランクを振り分け
    • Rランク例: =IF(経過日数<=30,"1",IF(経過日数<=60,"2","3"))
    • F・Mも同様にランク付け。

クロス集計の活用:
完成したRFMランクを再度ピボットテーブルに取り込み、例えば以下のようにランクごとの分類を行います:

  • RとFが3の場合: 最優良顧客
  • RとFが1の場合: 離反顧客

デシル分析の方法

デシル分析は、購入金額を基に顧客を10等分して分類し、購買傾向を把握する手法です。

エクセルでのデシル分析手順
  1. ピボットテーブルで購入金額の総額を算出
    • 顧客ごとの合計購入金額を計算。
  2. 降順に並び替え
    • 一番上のセルを右クリックし、「並べ替え」内の「降順」を選択。
  3. 表を新規シートにコピー&ペースト
    • 分析用の表を準備。
  4. 順位の振り分け
    • 分割幅を決定(例: 顧客100人の場合、10等分で10人ずつ分ける)。
  5. IF関数でデシルランクを割り振り
    • 関数例:lessコードをコピーする
    • =IF(購入金額<=分割幅,"D1",IF(購入金額<=分割幅*2,"D2",…,"D10"))
完成したデシルランクの活用
  • デシルランクごとの売上構成比や顧客数をピボットテーブルで可視化。
  • ランクごとの購買傾向を分析し、マーケティング戦略に活用。

RFM分析とデシル分析の併用

デシル分析だけでは「ランクが高い=優良顧客」とは限りません。そのため、より精度の高い分析を行うには、RFM分析と併用することがおすすめです。

Excelで顧客管理を行うメリットとは?

費用を安く抑えられる

既に社内でエクセルを利用している場合、新たなコストをかけることなく顧客管理を開始できます。これは特に、予算に限りがある企業にとって大きな利点です。

社内でエクセル活用があれば教育コストが抑えられる

専用ツールを導入すると操作習得のために研修が必要で、それに伴う時間やコストが発生します。しかし、日常的にエクセルを使用している企業では、多くの社員が既に使い慣れているため、教育コストを最小限に抑えられます。

Excelで顧客管理を行うデメリット

管理とセキュリティ対策が煩雑になる

エクセルはファイルベースで管理されるため、簡単にコピーやダウンロードが可能です。その結果、顧客情報の漏洩リスクが高くなります。コスト面での利点がある反面、セキュリティ対策の弱さが課題です。

データが増えるほど操作が重くなる

顧客データが増えると、エクセルの操作が遅くなることがあります。これにより、データ入力や抽出作業が難しくなり、作業効率が低下しユーザーのストレスが増加します。少量のデータには適していますが、大規模なデータ管理には不向きです。

データの誤入力や削除リスクが高い

エクセルでは手作業でデータを入力するため、誤入力やデータの誤った上書き・削除が発生しやすくなります。このようなケアレスミスは、顧客管理の信頼性を損なう可能性があります。

マーケティング領域でのデータ活用が難しい

マーケティングでは、大量の顧客データを集計・分析し、有益なインサイトを得ることが求められます。しかし、エクセルではこうした高度な分析が困難で、マーケティング活用の限界が指摘されています。

モバイルワークに不向き

エクセルは主にパソコン利用を前提としているため、モバイルデバイスでの操作は不便です。営業活動などで外出先から顧客データを登録・更新する際に使いづらさを感じることが多いです。

Excelよりも効率的な顧客管理ツール、CRMとは?

Excelは顧客管理の基本的なニーズを満たしますが、自社の営業部の成果向上や、効率的な管理を追求する場合、物足りなさを感じることもあります。その際は、CRM(Customer Relationship Management)ツールの導入を検討しましょう。

CRMとは?

CRMとは、顧客管理を効率化するための専用ツールです。以下のような特徴を持っています:

  • 入力項目があらかじめ設定済みで、手間が少ない。
  • 事務作業の一部を自動化する機能を搭載。
  • データを簡単に可視化し、分析に役立てられる。
  • 顧客管理に必要な機能が一元化されている。

メリット:
CRMは導入コストがかかるものの、準備や運用の手間を大幅に削減できます。そのため、企業によっては、最初からCRMツールを導入する方が効率的な場合もあります。

エクセル vs CRMツールの選択ポイント

エクセルとCRMツールのどちらが自社に適しているかを判断するためには、以下の点を考慮すると良いでしょう:

  • データ量: 顧客数が少ない場合はエクセルでも十分。大量のデータにはCRMが最適。
  • 業務の複雑さ: 多機能で自動化が必要ならCRMが向いている。
  • 予算: コストを抑えたい場合はエクセル、高機能を求めるならCRM。
  • 分析の深さ: 高度な分析やレポート作成にはCRMが有利。

CRMシステムとSFAの関係

CRMシステムには、顧客管理だけでなく**SFA(Sales Force Automation: 営業支援システム)**の機能が含まれていることが一般的です。

SFAの主な機能:

  • 営業活動の進捗管理。
  • 見込み顧客の管理やフォロー状況の可視化。
  • 営業チームのパフォーマンス分析。

CRM + SFA のメリット:
CRMが顧客との関係を管理するのに対し、SFAは営業活動を効率化する役割を果たします。これらを組み合わせることで、顧客データと営業プロセスの両方を一元管理でき、営業成果の向上が期待できます。

ExcelとCRM、どちらが最適?選ぶためのポイントを比較

以下の表を参考に、自社の顧客管理にエクセルが適しているのか、それともCRM/SFAがより効果的なのかを判断してください。

企業の特徴エクセルCRM/SFA
顧客数が少なく、管理すべき情報が限られている
予算やIT人材の不足が課題
過去の顧客データを効率的に検索・分析したい
マーケティングや営業など、部署間の連携が必要
売上向上を目指し、詳細な顧客データ分析が必要
  • ◎: 非常に適している
  • △: 部分的に適している
  • ✕: 適していない

この表を活用して、自社のニーズに合った顧客管理方法を選択しましょう。

CRMツールを選ぶ際に押さえておきたい重要ポイント

CRMツールには多様な機能や価格帯があり、企業の規模や業種によって適したツールが異なります。以下では、CRMツール選定時に重視すべきポイントを整理して解説します。

導入のしやすさ

  • 費用が安いツール: 初期投資が抑えられるため、導入しやすく長期的なコスト負担も軽減。
  • シンプルな導入プロセス: 初期設定が簡単で、すぐに使用を開始できるツールがおすすめ。

運用のしやすさ

  • 直感的で簡単な操作性: 顧客管理やデータ操作に慣れていない社員でも使いやすいツールを選ぶことで、社内での定着がスムーズになります。
  • 継続的な更新が可能: データは蓄積・更新を続けることで価値を発揮します。手間を最小限に抑える設計のツールを選びましょう。

定着のしやすさ

CRMは導入するだけでは効果を発揮しません。実際に運用し、データを活用できる環境づくりが重要です。

  • 社員全員が無理なく使えることを重視する。
  • トレーニングやサポートが充実しているツールを検討する。

まとめ:ExcelとCRMを活用して顧客管理を効率化しよう

本記事では、Excelを活用した顧客管理の方法について詳しく解説しました。

Excelは、社内での顧客管理を手軽に始めたい企業や、最小限のコストで顧客情報を管理したい企業にとって、適したツールといえます。

ただし、Excelは本来表計算ソフトであり、分析機能や管理体制を一から構築する場合には、かえってコストや時間がかかり、非効率になる可能性もあります。

Excelと顧客管理ツール(CRM)の特性を理解し、自社の目的に最適な方法を選択することが重要です。

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