目次
- 1 HubSpotとSalesforce連携とは
- 1.1 HubSpotとは
- 1.2 Salesforceとは
- 1.3 HubSpotとSalesforceの連携とは
- 2 HubSpotとSalesforce連携の基本情報
- 3 HubSpotとSalesforceを連携するケースとは?
- 3.1 データ共有不足が営業とマーケティングの連携を妨げている
- 3.2 営業部門に顧客情報が共有されず、商談機会を逃している
- 3.3 システム間の情報移行を手作業で行っている
- 4 HubSpotとSalesforceを連携するメリットとは?
- 4.1 両ツールの強みを最大限活用できる
- 4.2 営業とマーケティングの連携を強化
- 4.3 顧客データを一元管理
- 4.4 リード管理とナーチャリングを最適化
- 5 HubSpotとSalesforceで同期可能な2種類のデータ
- 6 HubSpotとSalesforce連携の具体的な手順
- 6.1 連携するための前提条件
- 6.2 HubSpotへのSalesforceインストール手順
- 6.3 SalesforceへのHubSpotインストール手順
- 6.4 HubSpot VisualforceモジュールをSalesforceに追加
- 6.5 HubSpotとSalesforceの同期設定方法
- 7 HubSpotとSalesforceの連携時やデータ移行時の注意点
- 7.1 プロパティーのマッピング
- 7.2 同期ルール
- 7.3 オブジェクト名の違い
- 8 まとめ
営業部門とマーケティング部門の連携が上手くいっている企業は、数多くのメリットを享受しています。
例えば、営業とマーケティングが密に連携している企業は、マーケティング施策から208%も多くの収益を創出しているというデータがあります。また、近年注目されているRevOps(レベニューオペレーション)やABM(アカウントベースドマーケティング)を実践する際にも、営業部門とマーケティング部門間での密な連携と協力が不可欠です。
一方で、多くの企業はサイロ化された組織運営に課題を抱えています。その要因の一つとして、部門間で使用しているシステムが連携しておらず、情報が十分に共有されていないことが挙げられます。実際に、社内の連携が「上手くいっている」と答えた企業の96%が、営業とマーケティング間のシステム連携やデータ共有が進んでいると報告しています。
今回のブログ記事では、HubSpotやSalesforceなどの異なるシステムを各部門で利用している企業に向けて、システム連携に関するわかりやすい解説をお届けします。HubSpotとSalesforceの連携を検討している際の参考にしてみてください。
HubSpotとSalesforce連携とは
HubSpotとSalesforceの連携について説明する前に、それぞれのシステムがどのような特徴を持っているかを解説します。
HubSpotとは
HubSpotの概要
HubSpotは、マーケティング、セールス、コンテンツ管理、カスタマーサービスを一元的にサポートするクラウドベースのシステムです。世界中で多くの企業に採用されており、顧客体験を高めるための情報を一元管理できる点や、使いやすい一貫性のあるUIが特徴です。
- 初心者向け: 初めてCRMを導入する企業
- 低コスト志向: 中小企業
- 柔軟性重視: カスタマイズを求める大企業
幅広いニーズに対応したシステムとなっています。
HubSpotの考え方と強み
HubSpotの根底には、「インバウンドマーケティング」という考え方があります。これは、価値のあるコンテンツを提供することで顧客と長期的な関係を築くマーケティング手法です。
- 背景: インターネットの普及により、顧客は自主的に情報を収集する傾向が強まっています。
- 利点: 比較的低コストで高品質なリードを獲得可能。
このマーケティング手法はHubSpot社が提唱したものであり、HubSpotはこれを具現化するための機能が揃ったシステムです。
HubSpotの製品群
HubSpotの製品は以下の5つの**Hub(ハブ)**で構成されています。
- Marketing Hub: 見込み客をリードに転換するマーケティングプラットフォーム
- Sales Hub: 営業活動を効率化する営業支援ツール
- Service Hub: カスタマーサービスの向上に特化したプラットフォーム
- Content Hub: CMS機能を備えたコンテンツ制作支援ツール
- Operations Hub: 顧客体験の向上を支えるオペレーションツール
これらを統合する中心的な存在として、HubSpot CRMがあります。顧客データを一元管理し、最大5ユーザーまで無料で利用可能です。
Salesforceとは
Salesforceの概要
Salesforceは、クラウド型CRMの先駆者として知られる企業です。2000年にマーク・ベニオフ氏によって設立され、営業やマーケティング、Eコマースなど、幅広いニーズに応える製品ラインナップを提供しています。
- 大規模な顧客基盤: 複雑なカスタマイズやセグメンテーションが可能
- 業界特化: 製造、金融、医療などの特定業界向けソリューションも提供
ただし、システムの活用にはある程度の知識や経験が求められます。
Salesforceの考え方と強み
Salesforceの強みは、高度なカスタマイズ性と業界別ソリューションにあります。
- 営業支援: 営業チームがリードの追跡からクロージング、顧客サポートまでを効率化。
- コアバリュー: 「カスタマーサクセス」を掲げ、顧客のビジネス成長を重視。
Salesforceの製品群
Salesforceの製品は「Customer 360」を中心に、以下のサービスを展開しています。
- Sales Cloud: 営業活動を支援し、売上予測やリード管理を効率化
- Service Cloud: カスタマーサポートを強化し、顧客満足度を向上
- Marketing Cloud: マーケティングオートメーションと顧客エンゲージメントを支援
- Commerce Cloud: Eコマース機能を提供
- Community Cloud: コミュニティ構築を支援
これらの製品により、企業のさまざまな業務ニーズに応えています。
HubSpotとSalesforceの連携とは
HubSpotとSalesforceの連携では、主にSalesforceのSales CloudとHubSpotのMarketing Hubが活用されます。
- HubSpot Marketing Hub: リード生成、顧客エンゲージメント、マーケティング分析をサポート
- Salesforce Sales Cloud: 営業プロセス全体を管理し、リード管理や営業支援を強化
連携の利点:
- シームレスな情報共有: マーケティングで生成されたリードがSales Cloudに自動的に連携され、営業チームが迅速に対応可能。
- 双方向のデータ共有: 営業チームの活動履歴やリードのステータスをMarketing Hubで確認し、マーケティング施策の見直しに活用可能。
このように、HubSpotとSalesforceの連携により、営業とマーケティングの連携が一層強化され、業務効率と成果の向上が期待できます。
HubSpotとSalesforce連携の基本情報
HubSpotで必要となるライセンスと権限
Salesforceで必要となるライセンスと権限
HubSpotとSalesforceを連携するケースとは?
データ共有不足が営業とマーケティングの連携を妨げている
営業とマーケティング部門の連携が取れていない場合、以下の問題が発生しがちです:
- 質の悪いリードが営業チームに渡され、時間が無駄になる
- 部門間で責任の押し付け合いが起き、関係が悪化
HubSpotとSalesforceを連携させることで、これらの課題を解決できます。例えば:
- リアルタイムでの情報共有: HubSpotで生成されたリードがSalesforceに即時送信され、営業チームが最新情報を基に迅速に行動可能。
- 戦略の改善: 営業部門の失注や受注データを基に、マーケティング戦略の改善が可能。
結果として、営業とマーケティング部門の間での円滑なコラボレーションが実現します。
営業部門に顧客情報が共有されず、商談機会を逃している
マーケティング活動を通じて収集された顧客情報が営業部門に共有されていない場合、以下のリスクがあります:
- 顧客のニーズや関心を踏まえたアプローチができず、営業機会を逃す
- 提案が的外れになり、顧客満足度が低下
HubSpotとSalesforceを連携することで、マーケティング部門が収集した顧客情報を営業部門とリアルタイムで共有することが可能になります。具体的な効果として:
- 営業チームは、より具体的で最適化された提案ができるようになる
- 顧客ニーズを的確に捉えたアプローチにより、顧客満足度が向上
システム間の情報移行を手作業で行っている
システム間での情報移行を手動で行うと、以下の問題が発生します:
- 時間と労力の浪費: 定期的な手動作業が必要
- ヒューマンエラー: 誤入力や情報漏れのリスクが高い
HubSpotとSalesforceの連携による自動化を行うことで、これらの課題を解決できます:
- エラーを大幅に削減: 情報の自動同期により、正確なデータ管理が可能
- 業務効率の向上: リアルタイムでの情報反映により、迅速な意思決定が可能に
HubSpotとSalesforceを連携するメリットとは?
両ツールの強みを最大限活用できる
HubSpotとSalesforceは、それぞれ異なる分野で強力な機能を持っています。
HubSpotはインバウンドマーケティングに優れたツールであり、一方でSalesforceは世界トップクラスのSFA(営業支援システム)として知られています。
これらを連携させることで、HubSpotのマーケティング機能とSalesforceの顧客管理能力を同時に活用することが可能です。
営業とマーケティングの連携を強化
HubSpotとSalesforceを統合することで、営業チームとマーケティングチームの連携がさらにスムーズになります。
リアルタイムでデータを共有することで、両チームが常に同じ情報を元に活動できるようになります。これにより、顧客に対するアプローチに一貫性が生まれ、顧客満足度の向上が期待できます。
顧客データを一元管理
HubSpotとSalesforceを連携することで、顧客データを一箇所にまとめて管理できます。これにより、情報の透明性と正確性を確保しながら、誤情報による意思決定のリスクや重複作業を防ぐことができます。
リード管理とナーチャリングを最適化
HubSpotはリードを効率的に生成し、育成するためのツールとして優れています。一方で、Salesforceはリード管理や営業プロセスの効率化において高いパフォーマンスを発揮します。
これらを連携させることで、リードの生成、管理、育成、そして最終的な成約までのプロセス全体を最適化できます。結果として、マーケティングROIの向上や営業部門の生産性アップを実現できます。
HubSpotとSalesforceで同期可能な2種類のデータ
HubSpotとSalesforce連携の具体的な手順
以下に、HubSpotとSalesforceを連携するための手順を説明します。前提条件から順に説明するので、手順をしっかり確認してください。
連携するための前提条件
HubSpotとSalesforceを連携するには、以下の条件を満たしている必要があります。事前にこれらを確認してください。
HubSpot側の要件
以下のHubSpot製品エディションを契約している必要があります。
- Marketing Hub:Professional、Enterprise
- Sales Hub:Professional、Enterprise
- Service Hub:Professional、Enterprise
- Operations Hub:Professional、Enterprise
- CMS Hub:Professional、Enterprise
また、HubSpotアカウントでAccount Access権限を持っている必要があります。
Salesforce側の要件
以下の条件を満たすSalesforceアカウントが必要です:
- APIアクセス可能なSalesforce Edition、またはSalesforce Professionalエディション
- Salesforceシステム管理者であるか、HubSpot連携権限セットが割り当てられている
- HubSpot Integration Permissions(HubSpot連携権限)が選択されている必要があります。
さらに、以下の権限が必要です:
- APIの有効化
- セットアップと構成の表示
- HubSpot同期対象オブジェクト(アカウント、キャンペーン、コンタクト、リード、商談)に対する「すべてを変更する」権限
- Modify Metadata権限
- AppExchangeパッケージのダウンロード権限
- Customize Application権限
HubSpotへのSalesforceインストール手順
HubSpotアカウントにログインします。「アプリマーケットプレイス」をクリックしてHubSpotマーケットプレイスを開きます。検索バーで「Salesforce」を検索します。「Salesforce」アプリのページを開き、「インストール」ボタンをクリックします。必要な許可を与え、指示に従ってインストールを完了します。
- Salesforceへログインしていない場合はログインが求められます。
SalesforceへのHubSpotインストール手順
[Salesforceパッケージのインストールを開始]をクリックします。
インストールプロセスに従い、必要な許可を与えます。インストール終了まで少し時間がかかります(約10分)。終了通知メールが届くまでお待ちください。
HubSpot VisualforceモジュールをSalesforceに追加
※このプロセスはスキップして後から設定することも可能です。
- **[SalesforceにHubSpotを追加する]**をクリックします。
- Salesforceの歯車アイコンをクリックし、設定画面を開きます。
- **「オブジェクトマネージャ」**から、対象のオブジェクトページレイアウトを開きます。
- **「ページレイアウト」**を選択し、ツールバーから「セクション」を希望の位置にドラッグ&ドロップします。
- ツールバーから**「Visualforceページ」を選択し、「HubSpot_Embed__[オブジェクトタイプ]_V2」**をセクションにドラッグ&ドロップします。
- **[保存]**をクリックして変更を適用します。
HubSpotとSalesforceの同期設定方法
HubSpot内で「Salesforce」アプリを開きます。「推奨されるセットアップ」または「詳細セットアップ」をクリックします。同期ルールを選択し、設定します。
- 例:常にSalesforceを優先、双方向同期など。
設定を確認後、[セットアップを終了して同期を開始する]をクリックします。
HubSpotとSalesforceの連携時やデータ移行時の注意点
HubSpotとSalesforceを連携したり、データ移行を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- プロパティーのマッピング
- 同期ルール
- オブジェクト名の違い
それぞれについて詳しく解説します。
プロパティーのマッピング
HubSpotとSalesforceを連携する際、プロパティーのマッピングミスに注意が必要です。
- プロパティーとは、レコードに保存される情報を格納するフィールドのことです。
- 連携時に、すべてのプロパティーを自動で正しく紐づけることはできません。
- 間違ったマッピングを設定してしまうと、データが不正確になり、整合性が取れなくなります。
特に複雑なフィールドマッピングが必要な場合、自社での対応が難しいと感じたら、SalesforceとHubSpotの連携に詳しい専門企業に依頼することを検討してください。
同期ルール
HubSpotとSalesforceの間でデータを同期する際には、同期ルールを正しく設定することが重要です。
同期ルールは、どのデータがどのように、またいつ同期されるべきかを決定します。
以下の4種類の同期ルールがあります:
- 空白でない限りSalesforceを優先
- 常にSalesforceを使用
- 双方向
- 同期しない
適切な同期ルール選択の重要性
- 「空白でない限りSalesforceを優先」:Salesforceにデータがある場合に、HubSpotの空白を埋める形で利用します。
- 「常にSalesforceを使用」:Salesforceのデータを完全に優先したい場合に使用します。
- 「双方向」:HubSpotとSalesforceの間でデータを共有したい場合に適しています。
- 「同期しない」:特定のフィールドを同期対象から外したい場合に活用します。
適切な同期ルールを選択することで、データの混乱を防ぎ、正確性を維持できます。
オブジェクト名の違い
HubSpotとSalesforceでは、それぞれのシステムで使用されるオブジェクト名が異なるため、注意が必要です。
- 例:
- HubSpotでは「コンタクト」と呼ばれるものが、Salesforceでは「リード」や「取引先責任者」として扱われます。
このようなオブジェクト名の違いを正しく理解し、連携時に対応する必要があります。
以下は一部の代表的なオブジェクト名の比較です:
HubSpot | Salesforce |
---|---|
コンタクト | リード、取引先責任者 |
会社 | 取引先 |
商談 | 商談 |
注意点
オブジェクト名の違いを認識し、連携時にどのオブジェクトがどのデータに対応するのかを明確にしておくことで、スムーズなデータ移行が可能となります。
まとめ
本記事では、HubSpotとSalesforceを連携するメリットやおすすめのケース、具体的な連携手順について詳しく解説しました。
HubSpotとSalesforceを連携することで、両ツールの強みを活かせるだけでなく、営業とマーケティングの連携強化といった大きなメリットを享受できます。
一方で、連携時にはプロパティのマッピングや同期ルールの設定、オブジェクト名の違いといった注意点も存在します。しかし、これらを適切に設定すれば、ビジネスにとって大きな価値をもたらすでしょう。
とはいえ、システム連携には予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。連携中に問題が生じた際や設定に不安がある場合は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。