目次
- 1 リードナーチャリングの定義
- 2 リードナーチャリングの機能と重要性
- 2.1 BotBマーケティングにおけるリードナーチャリングとは?
- 3 リードナーチャリングが求められる理由とは?
- 3.1 見込み顧客の取りこぼしを減らして費用対効果を向上させるため
- 3.2 購入意欲の強いリードを継続的に生成するため
- 3.3 ユーザーの購買行動の変化に適応するため
- 3.4 高確度のリードに営業の労力を集中するため
- 4 リードナーチャリング実施のための4段階アプローチ
- 4.1 ターゲット顧客を理解する
- 4.2 リードの状態を評価する
- 4.3 セグメントを設定する
- 4.4 施策の成果を測定し、改善に役立てる
- 5 効果的なリードナーチャリングの実践ポイントとは?
- 5.1 効果的なKPIを設定する
- 5.2 リード情報を集めて共有し、管理する
- 5.3 予算に基づきMAツールを選定する
- 5.4 リード生成から契約までをつなぐチーム構成を整える
- 5.5 スコアリングを利用してホットリードを特定する
- 6 リードナーチャリングを行う8つの方法
- 6.1 Eメール配信
- 6.2 DM(ダイレクトメール)
- 6.3 インサイドセールス
- 6.4 フォロー架電
- 6.5 自社セミナー
- 6.6 オウンドメディア
- 6.7 SNS
- 6.8 リターゲティング広告
- 7 リードナーチャリングの効果測定指標
- 7.1 メールの開封率
- 7.2 クリック数
- 7.3 コンバージョン率
- 7.4 営業への引き継ぎ数
- 7.5 アポイント・商談に至った件数
- 8 MAとリードナーチャリングの関係性
- 8.1 見込み顧客の質の見極め
- 8.2 行動履歴データを基にしたアプローチ
- 9 リードナーチャリング活用の実例2選
- 9.1 放置されたリードを活用してSALを生成
- 9.2 アポ打診を断られたリードに対するフォローアップ体制を確立
- 10 さいごに
リードナーチャリングは、見込み顧客の購買意欲を刺激し、最終的な受注や商談に結びつけるマーケティング活動です。
リードを生成して売上に変えるためには、新たな顧客や見込み顧客を作るだけでなく、一度接触した顧客と適切なタイミングで適切な方法でコミュニケーションを行い、製品やサービスへの興味を深めてもらうことが重要です。
多くの企業が見込み顧客は持っているものの、それが最終的な成果につながっていないという課題を抱えています。
この記事では、リードナーチャリングとは何か、なぜリードナーチャリングが必要とされているのかの背景、そして効果的なリードナーチャリングを実施する際の重要なポイントについて詳しく説明します。
リードナーチャリングの定義
リードナーチャリングは、見込み客の購買意欲を刺激し、受注や商談へと進めるマーケティング手法です。
製品やサービスへの興味の程度に合わせて適切なアプローチを持続的に行い、購買意欲を高めることで最終的に売上を生み出すことが目標です。
ナーチャリング対象は、企業と何らかの接点を持ったすべてのリードを含みます。このため、新規顧客だけでなく、アポイントメントを獲得したり、商談から外れたリードも対象になります。
リードナーチャリングの機能と重要性
BotBマーケティングにおけるリードナーチャリングとは?
上述のとおり、リードナーチャリングは「顧客の購買意欲を刺激する」ために実施される取り組みですが、まずは顧客に自社の商品やサービスに関心を持ってもらうことが基本です。
顧客の購買意欲を引き上げた後、購入意欲が高い層を対象に絞って営業活動を展開し、効果的に受注に結び付けることが可能です。このプロセスの初期段階を「リードジェネレーション」と呼び、後の段階を「リードクオリフィケーション」と称します。これらのステップは以下の役割を持っています。
リードジェネレーションとは?
リードジェネレーションは、「見込み客を獲得するための取り組み」を指します。この活動を通じて、自社の製品やサービスに興味を示す人々を集め、商談や受注に結びつけることを目指します。
リードジェネレーションで獲得した見込み顧客は、将来的に自社の顧客やリピーターとなる可能性があります。そのため、事業の目的に適した顧客層を選んで集めることが求められます。これには、ブランド認知の拡大、短期的な利益の確保、または長期的な収益をもたらす顧客の獲得など、目的は多岐にわたります。
商談や受注へと繋がる見込み顧客を効率的に獲得するには、明確なターゲット設定が必須です。これが、次のフェーズであるリードナーチャリングへと繋がる重要なステップとなります。
オフラインでは製品展示会やセミナー参加、テレマーケティング、名刺交換などを通じて見込み顧客を集めることができます。オンラインでは、ウェブ広告、コンテンツマーケティング、電子ニュースレター、ウェブセミナーなどが有効な手段です。
リードオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーションとは、「顧客の選定」を指します。リードナーチャリングを通じて購買意欲を増した顧客の中から、さらに購買意欲が高い層を特定する作業です。
購買意欲が非常に高い顧客を「ホットリード」と称し、これらの顧客に対して積極的にセールスを行うことで、商談の成功率を向上させ、受注の確率を高めることができます。ホットリードの数を増やすことは、効率的な営業活動に直結します。
リードクオリフィケーションの過程で、購入の可能性を評価するためには「スコアリング」が用いられます。例えば、メールマガジンを開封する行動よりも、セミナーに直接参加する行動の方がスコアが高く設定されるなど、活動ごとに異なる点数を設定します。
営業部門と密接に連携を取りながら、より精密なスコアリングを行い、セールスの成功率を高める施策を展開することが重要です。
リードナーチャリングが求められる理由とは?
企業にとって売上の最大化は最も明確な成果指標であるため、購入意欲の高いリードに焦点を当てる方が効果的であると言えます。
この章では、リードナーチャリングが重要である四つの理由を詳しく説明します。
見込み顧客の取りこぼしを減らして費用対効果を向上させるため
取りこぼした見込み客を減らし、コストパフォーマンスを向上させるため 通常、企業は直ちに成約の見込みがある顧客を優先して対応することが多いです。このため、「半年後や1年後に購入を検討する」といった顧客を見過ごし、機会損失を生じさせてしまうことがあります。
例えば、広告によりCPA1万円で100件のコンバージョンを達成し、そのうちの20%が受注に至る場合、残りの80件は取りこぼしとなり、80万円の損失が発生していると考えられます。
これら取りこぼした80件をリードナーチャリングを通じてフォローすることで、マーケティング施策全体の効果を向上させることができます。
購入意欲の強いリードを継続的に生成するため
継続的に購買意欲の高いリードを創出するため リードナーチャリングでは、リードの新規創出だけでなく、既存のリードと適切なコミュニケーションを続けて収益につなげることが重要です。
低い購買意欲のリードを、より高い確度のリードへと育成することがリードナーチャリングの重要な機能です。
高価格帯のBtoC製品や複数の意思決定者が関わるBtoB製品のように、購入決定に時間がかかる商品やサービスでは、接触したリードを放置せずに情報収集を続け、関心を持ち続けさせるコンテンツを提供することが大切です。
ユーザーの購買行動の変化に適応するため
ユーザーの購入行動の変化に対応するため インターネットの普及により、ユーザーがオンラインで製品やサービスの情報を集めるようになり、リードナーチャリングの役割が増しています。
例えば、BtoB商材で以前は訪問営業を通じて情報を収集していたが、現在ではユーザー自身が様々な手段で情報を得ているため、問い合わせ時には既に一定の知識を持っている場合が多いです。
このようなユーザーの多様な情報収集行動に応じて、Web広告やコンテンツマーケティング、プレスリリースなどを適切なタイミングで行うことが、受注や商談の成功を左右します。
高確度のリードに営業の労力を集中するため
効果的なリードに営業リソースを集中させるため 営業活動は、時間や人的リソースだけでなく、場合によっては物理的な制約も伴います。そのため、全てのリードに対して同等の営業努力を払うと、受注確率の高いリードに十分なリソースが割けなくなることがあります。
リードナーチャリングによってリードのニーズや購買意欲を段階的に把握し、受注見込みの高いリードに集中的にアプローチすることで、受注率を高めることが期待できます。
リードナーチャリング実施のための4段階アプローチ
これからは、リードナーチャリングを効果的に始めるための具体的な手順について説明します。
リードナーチャリングを実行する前に、リードの属性や現在の状況を詳細に分析し、それに基づいてセグメント分けを行うことが必要です。
単に施策を展開するだけでは、効果的なリードナーチャリングを行うことは難しいです。適切なプロセスを踏むことの重要性を認識することが重要です。
ターゲット顧客を理解する
最初に、リードナーチャリングを行う対象のターゲットを特定し、そのターゲットについて深く理解することが必要です。
獲得されたリードは、業種や職種、役職といった様々な特性を持っています。どのリードをリードナーチャリングの対象とするかを明確にし、具体的な顧客像を描くためには、「ペルソナ」の作成が役立ちます。
ペルソナを明確に設計することで、ターゲットのニーズに合った情報を提供することが可能になり、リードナーチャリングの効果を最大化することができます。
たとえば、マーケティング部門のリードが同じ企業内に二人いた場合でも、役職が「責任者」と「部下」であれば、それぞれに適したメールのタイトルや内容は異なるでしょう。
ターゲットが誰なのか、そして彼らが日常どのような業務に従事し、どのような問題を持っているかを把握することが重要です。
リードの状態を評価する
次に、リードの現在のステータス(状態)を適切に評価することが必要です。
例として、以下の三つの異なるリード状態を考えます:「10回電話をかけてもつながらなかったリード」、「まだ一度も連絡を取っていないリード」、「営業担当者がすでにサービス説明を行い、良い反応を受けているリード」。これらのリードに対しては、提供する情報や取るべきコミュニケーション手法が異なります。
リードの特性と同様に、リードの現在の状況を把握し、それに基づいてセグメントを行うことが非常に重要です。
セグメントを設定する
これまでの段階を踏んだ後、リードを具体的なセグメントに分類しましょう。リードの総数にも依存しますが、セグメント分けのプロセスでは一般的にマーケティングオートメーション(MA)ツールの使用が必須となります。
一部のマーケティング担当者は「Excel」などの集計ツールを用いてリードを管理することもありますが、これでは営業との連携がスムーズに行われず、アポイントメントが取られてもステータス更新が遅れることがあり得ます。
MAツールを活用することで、リードを一元管理し、マーケティングと営業の両方の業務負担を軽減することができます。
セグメントを作成する際に注意したい点は、「セグメントを過度に細分化しない」ことです。理論的には、1,000個のリードがあれば1,000個のセグメントを作成し、それぞれに合わせた施策を展開することが可能ですが、現実にはそれは工数がかかりすぎて採算に合わないことが多いです。
したがって、リードの属性やステータスを考慮し、せいぜい10種類程度のセグメントに分けて管理することが推奨されます。
施策の成果を測定し、改善に役立てる
先ほど分けたセグメントごとに具体的な施策を展開します。重要なのは、リードナーチャリングの施策を一度実行しただけで終わらせず、顧客の反応を継続的に測定し、そのデータをもとにナーチャリングプロセスの改善を図ることです。
顧客の反応は、実際に施策を実施してみなければ明らかにならないものが多いです。したがって、施策の成果を検証し、得られたフィードバックを迅速に反映させることでPDCAサイクルを高速で回す体制を構築することが必要です。
効果的なリードナーチャリングの実践ポイントとは?
これらの基本を理解した上でリードナーチャリングを進めることになりますが、その際に重視すべきポイントは何でしょうか。
この章では、リードナーチャリングで効果を上げるためのキーポイントを5つの視点から詳しく説明していきます。
効果的なKPIを設定する
リードナーチャリングに限らず、成果を生む施策を進めるには、その施策の目的と達成すべき指標が何かを明確にする必要があります。そのため、全体的な目標(KGI)の設定はもちろん、各施策の効果を評価するための適切なKPIの設定が重要です。
適切なKPIを設定することで、リードの購買意欲の変化を把握し、施策の優先順位や注力の度合いを調整することができます。
例えばメールマガジンの配信では、最終的な目標は「受注件数の増加率を最大化すること」です。
メールマガジンを通じて得られる「フォーム登録数」「ホワイトペーパーダウンロード数」などの指標は、目指す成果に向けた中間地点として理解することが重要です。どんな手法を取るにしても、「有望なリードを増やす」→「商談の機会を最大化する」→「受注件数を増やす」というナーチャリングのステップは変わりません。
リード情報を集めて共有し、管理する
社内でリード情報が各メンバーやツールに分散しており、リードナーチャリングに取り組む際にリードの総数や状態をチーム全体で共有できていない状況はよくあります。この場合、リード情報を集約し、整理することでナーチャリングのための体制を整える必要があります。
特に、営業が個人で保持している名刺などの情報も含め、それらを日常的に共通のシートやデータベースに記録し、蓄積するようにすることが重要です。
管理方法にはスプレッドシートやExcelを使用することができ、規模が大きい事業や予算が許す場合は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの利用も考えられます。選択する方法やツールは、自社にとって扱いやすいものを選ぶことが肝心です。
重要なのは、リードの数量やその活動状態をチーム全体で把握し、効果的なリードナーチャリングを進めることです。そのため、ツール導入を目的そのものにしないよう注意が必要です。
予算に基づきMAツールを選定する
リードの数が増加すると、人手だけでの管理には限界があります。このような状況では、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入することでリードナーチャリングの効率を向上させることが可能です。
MAツールを使用すると、各リードの状態に応じたアプローチのシナリオを設計し、ナーチャリングプロセスを自動で行うことができます。
たとえば、セミナーの参加者にはイベント終了後にアンケートメールを送る、ウェブサイトを一定時間閲覧したリードにはポップアップでホワイトペーパーのダウンロードを促すなどのアクションが設定できます。これにより、リードナーチャリングにかかる人的リソースの削減が可能となります。
ただし、MAツールの導入には高額なコストが発生することもあるため、予算とその費用対効果を考慮して導入を検討することが重要です。
リード生成から契約までをつなぐチーム構成を整える
リードナーチャリングの真の価値は、実際に受注や商談といった具体的な成果に貢献することにあります。そのため、マーケティングチームと営業チームが緊密に連携し、リード獲得から受注・商談に至るまでの流れを効率的に整える必要があります。
このプロセスで重要な役割を果たすのがインサイドセールスチームです。
インサイドセールスは、対面を伴わない営業活動を指し、電話やメールなどを用いてリードや既存顧客にアプローチを行います。マーケティングチームが生み出しナーチャリングしたリードを、インサイドセールスチームが営業に繋げる役割を担い、リードを効果的に活用するためにも中心的なポジションを占めます。
インサイドセールスチームの設置が必ずしも必要というわけではありませんが、マーケティングチームと営業チームがリードを受注に繋げる目的で連携を図ることが、非常に重要です。
スコアリングを利用してホットリードを特定する
リードごとに最適なアプローチを実行するためには、各リードの現状を正確に把握することが重要です。これを効率的に行うために使われるのが「スコアリング」という技法です。
スコアリングは、リードの各行動にポイントを割り当て、一定のポイントを超えたリードに対して次にどのようなアクションを取るかを明確にする方法です。特に、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用していない場合、この手法の管理は難しくなります。
さらに、スコアリングはリードを営業部門へ引き渡す際の基準としても機能します。例えば、メール配信の場合、「メールを開封すると3点」「URLをクリックすると5点」「ホワイトペーパーをダウンロードすると10点」のように、受注や商談に直結する可能性の高い行動にはより高い点数を付与すると効果的です。
リードナーチャリングを行う8つの方法
この章では、これまでに説明したポイントを踏まえて、具体的なリードナーチャリング手法を掘り下げていきます。
リードナーチャリングの手法は広範にわたり、オウンドメディアでの情報提供やSNSアカウントの活用なども含まれますが、ここでは特に即効性の高いアプローチを重視します。そのため、より直接的なコミュニケーション手法に焦点を当ててご説明する予定です。
Eメール配信
多くの方がEメール配信と聞くとメルマガを思い浮かべるかもしれませんが、リードナーチャリングにおいては、各リードに適した内容のメールを配信し、そのユーザーの反応をもとにリードの質を評価することが重要です。全員に同一の内容を送るメルマガの配信は、最適な手法とは言えないでしょう。
そのため、購入意欲が高いリードに対しては、配信スケジュールを設定し、内容を段階的に変化させる「ステップメール」や、特定の条件に基づいて分類したリードごとに異なる内容を送る「セグメントメール」の利用が効果的です。
これらのメール配信においては、オウンドメディアの記事やホワイトペーパーなどのコンテンツを活用することができます。
DM(ダイレクトメール)
DM(ダイレクトメール)は、郵便やFAXを通じて実施される伝統的なリードナーチャリング手法です。
カタログや商品案内など具体的な物品を送ることで、Eメールよりも受取人が物理的に手に取る可能性が高まり、豊富な情報を提供することができます。
ただし、DMを送る際には、全員に同じ内容を送るのではなく、例えば誕生月の顧客にクーポンと祝いのメッセージを組み合わせて送るなど、関係性の向上を図る工夫が求められます。また、キャンペーン応募の案内を定期的に送ることで顧客の離れを防ぐような施策も重要です。
一方で、低コストで実施可能なEメール配信に比べ、郵送費やFAX代、資料作成費などのコストがかかるため、比較的高コストな手法であると言えます。
インサイドセールス
フォロー架電
フォロー架電では、受注や商談の可能性が高まったリードに直接連絡を取ります。
リードジェネレーションの段階での架電は、リードを広く生成するために広範囲に渡ってアプローチを行う手法ですが、リードナーチャリングではすでに受注や商談につながりそうなリードを対象に進めます。
対象者は例えば、「メルマガの開封率が高い人」「セミナーに参加した人」「お問い合わせをしてきた人」などです。
さらに、直接会話を通じてリードが抱える問題を解決するためのコンテンツを提供したり、潜在的なニーズを聞き出すことも可能になります。
自社セミナー
自社セミナーは、特にBtoB企業にとって有効なマーケティング手法の一つで、リードとの重要なオフライン接点を提供します。
これらのセミナーでは、自社の商品やサービスに関心を持つリードを直接招待し、直接的なコミュニケーションを図る絶好の機会となります。
自社にセミナーを開催するスペースがない場合やコストを抑えたい場合には、最近ではオンラインで行うウェビナーが一般的になっており、これにより低コストで広範囲の参加者を集めることができます。
さらに、セミナーで実施したアンケートをメールマーケティングのコンテンツとして再利用することもでき、この手法は情報の横展開にも適していると言えます。
オウンドメディア
オウンドメディアは、自社で運営するブログやウェブサイトなどのプラットフォームを指します。これを利用して役立つ情報を提供することで、企業の認知度や顧客ロイヤリティの向上が図れます。例えば、あなたが今閲覧している「Urumo!」も、オウンドメディアの一例です。
オウンドメディアを構築するには、SEO(検索エンジン最適化)やWebマーケティングの知識が必要となります。これらの技術を駆使することで、コンテンツが検索結果に良く表示され、より多くの訪問者を引きつけることが可能です。ただし、即効性は期待できませんが、一度軌道に乗れば、リードナーチャリングの手法としてだけでなく、新たなリードの獲得源ともなり得ます。
SNS
SNSマーケティングは、現代のマーケティング戦略で非常に重要な手法の一つです。一般的にはBtoC市場向けの戦略と捉えられがちですが、実際にはBtoB市場においても効果的なリードナーチャリングツールとして機能します。SNSを活用することで、認知度の向上、ブランディングの強化、顧客ロイヤリティの増進が期待できます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、自社のウェブサイトを訪れたり、特定の広告をクリックしたりした顧客をターゲットにして、彼らが訪れる他の外部サイト上で広告を表示する手法です。
このタイプの広告は、自社の製品やサービスに一度は関心を示した見込み顧客に再度アプローチを行うことで、そのニーズを再び刺激したり、記憶に薄れかけている顧客に自社を思い出してもらう良い機会を提供します。
リードナーチャリングの効果測定指標
ここでは、リードナーチャリングの成果を図ることのできる指標について確認していきましょう。
メールの開封率
メール開封率は、配信されたメールが実際に開封された回数の割合を表す指標です。このデータはHTML形式のメールにおいてのみ測定可能で、メールの内容に対する受信者の関心度を示す重要な指標となります。
また、メールの件名や配信される時間帯も開封率に大きな影響を与えます。そのため、一般的なメール開封率と自社のデータを比較し、件名や配信タイミングの最適化を行うことで、開封率を改善し向上させることが可能です。
クリック数
クリック率は、配信されたメールの中に含まれるURLがクリックされた割合を指します。この数値を測定するためには、観測用の特定URLをメールに挿入します。これにより、リードがどの日時にクリックしたかといった情報も取得可能です。
さらに、自社製品の紹介や価格情報、導入事例を掲載したページへのリンクを設定することで、クリックされたURLを通じてリードがどのようなコンテンツに興味を持っているかを把握することができます。これは、リードの関心やニーズをより詳しく理解するのに役立ちます。
コンバージョン率
コンバージョン率は、メール総配信数に対して、メール内のURLをクリックした後にお問い合わせや申し込みなどの具体的なアクションが行われた割合を示します。この率はメール配信の最終的な成果を測る指標として機能し、配信されたメールの内容が受信者にとって適切で効果的だったかどうかを評価する基準となります。
営業への引き継ぎ数
リードクオリフィケーションでは、どれだけのリードを営業に引き継げたかを評価することが重要ですが、これはリードナーチャリングの取り組み全体の精度や効果を測るための重要な指標になります。
多くの場合、営業への引き継ぎ数はマーケティング部門の最終目標としてKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)に設定されます。これに対して、メール開封率やコンバージョン率などは、それに至る過程での中間目標としてKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として用いられます。
ただし、営業への引き継ぎ数を重視し過ぎると、まだ購買意欲が十分に高まっていない見込み顧客までもが引き継がれるリスクがあるため、その点には注意が必要です。リードの質をしっかりと見極め、適切なタイミングでの引き継ぎが成功の鍵となります。
アポイント・商談に至った件数
アポイントメントや商談の設定は通常、営業部門の主要な役割ですが、これらの成果をリードナーチャリングの評価指標に組み込むことで、マーケティング戦略の改善に役立てることが可能です。
営業への引き継ぎ数に一方的に焦点を当てるのではなく、アポイントメントや商談の件数を評価指標として採用することは、質の高い見込み顧客の育成に繋がります。これにより、マーケティングと営業の両部門が質の高いリードの育成とその効果を定期的に評価することができ、「質の高い見込み顧客への育成」という共通の目標を意識しやすくなります。このアプローチは、組織全体としてのマーケティング効果を最大化するのに役立ちます。
MAとリードナーチャリングの関係性
リードナーチャリングにおいて、マーケティングオートメーション(MA)ツールは不可欠な存在です。特に見込み顧客の識別や行動履歴の追跡に大きな役立ちます。
見込み顧客の質の見極め
MAツールにはスコアリング機能が備わっており、これを使ってリードの活動(サービスページの訪問、セミナーへの参加など)に応じてポイントを付与します。これらのスコアがあらかじめ定められたしきい値を超えると、リードを「ホット」と判断し、インサイドセールスや営業チームが個別にアプローチを行います。スコアが高いからといって必ずしも購入意欲が高いわけではありませんが、効果的なアプローチのための有力な参考情報となります。
行動履歴データを基にしたアプローチ
リードがいつどのページを訪れたかを把握することで、どのコンテンツに関心があるかが明確になります。これにより、リードがどのような課題を持っているのか、購入プロセスのどの段階にあるのかを理解することが可能になります。
カスタマージャーニーマップや階段設計が整っている場合、これらの行動履歴データと組み合わせることで、リードに最適なアプローチを実行することができます。
このようにMAツールを駆使することで、リードナーチャリングの効果を最大化し、受注につなげる機会を増やすことができます。
リードナーチャリング活用の実例2選
放置されたリードを活用してSALを生成
BtoC市場向けの不動産を扱うA社では、マーケティングオートメーションツールを用いてリードナーチャリングのプロセスを確立しています。このシステムでは、特定のターゲット層にメールを送信し、そのリンクをクリックしたリードに対してインサイドセールスチームが迅速に電話をかけるという流れを整備しています。
また、数年前にアポイントメントの打診を断られたリードや、商談には至ったものの最終的に失注したリードといったリサイクルリードを有効活用する戦略も取り入れています。このアプローチにより、A社は月間で約50件のSAL(マーケティングから営業への引き継ぎが行われた案件)の生成に成功しています。
アポ打診を断られたリードに対するフォローアップ体制を確立
BtoB向けのWebサービスを提供するB社では、Webサイトや広告を通じて獲得したリードに対してインサイドセールスが積極的に電話をかけ、訪問の提案やセミナーへの誘いを行っていました。
しかし、これらのアプローチが一部のリードからは「タイミングが合わない」「今すぐのニーズがない」という理由で断られることがありました。B社はこれらのリードを単に放置するのではなく、相手の状況を理解し、時間を置いてから再度架電を行う体制を構築しました。この方法により、断られたリードに再アプローチするタイミングを適切に管理し、長期的な関係構築を目指しています。
さいごに
リードナーチャリングの主な目的は、リードを受注や商談につなげて売上を最大化することにあります。
この目的を達成するためには、購買意欲が高いホットリードを正確に把握し、マーケティングチームと営業チームが緊密に連携することが不可欠です。
さらに、購買意欲が低いリードや、既に関係を築いているリードへの効果的なナーチャリングを行うことで、リードの取りこぼしを減らし、最終的な売上向上に寄与します。
今こそ、自社のリード管理の状態やチーム間の連携体制を見直し、成果につながるリードナーチャリングを積極的に進めるべきです。