アポ獲得には手紙が必要?効果的な手紙営業戦略と11のポイントを紹介

  • メールがあるのに手紙営業なんて必要なの?

このように思っていませんか?メールやSNSが当たり前となっている今、手紙で営業する必要性が感じられない人もいるかもしれません。

一見手紙営業はメリットがなさそうに見えて、このデジタル社会だからこそ手紙営業だけが有利なメリットがあります。本記事では手紙営業のメリットや、実際に活用できるテンプレートも解説していきます。

営業活動に手紙が効果的な3つの理由

開封率が高い

特にハガキではなく、封筒に入った手紙を送ると、開封してもらえる可能性が飛躍的に高まります。それは、自分宛てだけに送られた特別なものとして感じられるためで、メールよりも手紙を開封してもらえる確率が高いです。

開封率を更に向上させるためには、少し高価でも上質なレターセットや切手などを用意して、特別感を演出する工夫が重要です。

また、印刷ではなく手書きの場合、より良い印象を与えます。手書きの際にはボールペンではなく、筆ペンや万年筆を使用することで、より丁寧な印象を与えることができます。

まだお互いに面識がない段階でも、初めての商談の後など、状況に合わせて手書きの手紙を送ることで、顧客との信頼関係を築くことができます。

手紙はメールと違って形に残る

手紙は電子メールとは異なり、物理的な形で手元に残るため、封筒や手紙自体が複数回目に使われる機会があり、電子メールのように埋もれてしまう可能性は低いです。そのため、印象が深く覚えてもらいやすいという利点があります。

手紙を通じて、顧客から自社の商品やサービスに関する問い合わせが寄せられる可能性もあります。また、これが商談に発展する可能性もあるため、一石二鳥です。

ただし、手紙による短期的な影響を期待することは難しいです。むしろ、効果が長期的に現れることを見込んでください。

決済者へ直接手紙が届きやすい

テレアポでは、商談を希望する相手、特に決裁権者と直接対話する機会は滅多にありません。通常は電話担当者との対話になります。

しかし、手紙の場合は、特定の人物に確実に届く可能性があり、さらにその本人が内容を確認する可能性も高まります。したがって、テレアポや直接訪問のようなアプローチとは異なり、自社の商品やセールス、そして営業担当者自身に対する理解が得られるチャンスが生まれるのです。

前述の通り、手紙にはさまざまな利点があります。ただし、注意が必要なのは、即効性があるわけではないという点です。手紙はむしろ、コツコツと時間をかけて顧客との関係を築くためのきっかけ作りであり、すぐに結果が出るものではないことを理解し、諦めずに持続的な努力を重ねることが重要です。

営業の手紙を書く時に使える5つの例文

新規顧客の場合:ホームページを見た企業へ連絡するケース

拝啓

〇〇様、

新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。弊社は○○を提供しております、株式会社△△の■■と申します。

面識がございませんのに、お手紙でご挨拶申し上げますこと、どうかお許しください。かねてより貴社のホームページを拝見しており、〇〇様(決裁者)の、企業や商品・サービスにかける熱い思いに感銘を受けております。

そこでぜひ、当社としてもお力添えをさせていただきたいと思い、今回ご手紙をお送りいたしました。

ご検討の程何卒よろしくお願いいたします。

お忙しい中、大変恐縮ではございますが、ぜひ一度お会いしてご挨拶願えませんでしょうか。○月○日△時頃にお電話でご連絡させていただきますので、その際に可否をお聞かせいただければ幸いでございます。

ご多用中のところ、お手紙をお読みいただき、誠にありがとうございます。

敬具

〇〇(貴社名)より

新規顧客の場合:先方から自社に問い合わせがあったケース

拝啓

〇〇様、

新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。弊社は○○を提供しております、株式会社△△の■■と申します。

この度は、弊社にお問い合わせいただきまして誠にありがとうございます。お問い合わせ内容を拝見し、大変興味深く感じました。

貴社の課題解決やニーズへの対応について、詳細なご説明やご提案をさせていただきたく存じます。お手数をおかけいたしますが、ぜひ一度お会いしてご挨拶願えませんでしょうか。○月○日△時頃にお電話でご連絡させていただきますので、その際に可否をお聞かせいただければ幸いでございます。

何かご質問やご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。お忙しい中、お手紙をお読みいただき、誠にありがとうございます。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

敬具

〇〇(貴社名)より

新規顧客の場合:新サービスの内容を紹介するケース

拝啓

〇〇様、

新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。弊社は○○を提供しております、株式会社△△の■■と申します。

詳細やデモンストレーションをご希望の際は、お気軽にご連絡いただければと思います。貴社が抱える課題解決やニーズに対して、最適なソリューションを提供できることを心より願っております。

お手数をおかけいたしますが、ぜひ一度お会いしてご挨拶願えませんでしょうか。○月○日△時頃にお電話でご連絡させていただきますので、その際に可否をお聞かせいただければ幸いでございます。

何かご質問やご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。ご多用中、お手紙をお読みいただき、誠にありがとうございます。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

敬具

〇〇(貴社名)より

既存顧客の場合:メールをした内容を手紙でも送るケース

拝啓

〇〇様、

新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。株式会社△△の■■と申します。

先日のメールでご案内差し上げた内容について、改めて手紙でもご確認いただきたく存じます。

(メールでの内容を手紙に転記)

何かご不明点やご質問がございましたら、お気軽にお知らせください。貴社との一層のご連携を心よりお待ちしております。

お手紙をお読みいただき、誠にありがとうございます。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

敬具

〇〇(貴社名)より

既存顧客の場合:成約後に手紙によるフォローをするケース

拝啓

〇〇様、

新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。株式会社△△の■■と申します。

誠にありがとうございます。先日はご契約いただき、誠に光栄です。

お取引がスムーズに進行できるよう、今後とも弊社一同、全力でサポートさせていただきます。製品やサービスに関するご質問や不明点がございましたら、いつでもお気軽にお知らせください。

また、今後の新しい提案やサービスのご案内もさせていただきますので、どうぞご期待ください。

誠にありがとうございます。ますますのご発展をお祈りしております。

敬具

〇〇(貴社名)より

手紙を活用した営業活動を成功させる11のポイント

相手の話を聞きたい姿勢を見せる

手紙の冒頭で、「あなたの話を聞かせてください」という気持ちを表現するためには、以下のように述べることができます。

例えば、新聞のコラムを読んで感動しました。「貴重なご意見を伺いたく、お会いして直接お話を伺いたくなりました」といった具体的な内容を通じて、「私はあなたのファンであり、あなたの考えに興味津々です。だからこそ、お目にかかりたくなりました」という気持ちを情熱的に表現します。

手紙は文字から相手の印象を形成するため、相手が「この手紙を送った人物は興味深そうだな」と感じるような要素を盛り込むことが重要です。従って、「私の話を聞いてください」というアプローチではなく、「あなたに興味があります」というスタンスを保ち、相手に対して積極的で尊重な印象を与えることが効果的です。

個人に合わせてカスタマイズする

手紙を書く際は、一般的なテンプレートではなく、読み手に合わせて内容を変えることが重要です。これが「パーソナライズ」と呼ばれる手法で、読み手が自分のために書かれた手紙であることを感じさせます。

ウェブや記事、IRや人事情報を検索し、基本的な情報を取得して手紙に取り入れましょう。「前職は〇〇業界にいらっしゃったのですね。私も〇〇で経験があります」「〇〇大学〇〇学部を卒業されているのですね。私も同じ大学出身で後輩にあたります」といった具体的な共通点を交えることで、手紙がより相手に対して特別なものになります。

このアプローチのポイントは、パーソナライズだけでなく、自分と読み手の間に共通点を見つけて結びつけることです。共通の経験や縁があると、相手は手紙に興味を抱きやすくなります。実際の対話や会話で活かせる共通のトピックが手紙の中にあれば、信頼関係の構築がより円滑に進みます。手紙を書く前に十分なリサーチを行い、パーソナライズを心掛けましょう。

公にしていない情報をを入れる

ホームページやカタログなどで公にはしていないデータを手紙に組み込むことで、相手の注意を引くのが容易になります。商談に関連する独自の数字や内部情報を提供し、特別な情報を伝達しましょう。

この際、相手企業の事業に有益な数字を用意することが肝要です。IR情報などの事前検索を通じて、相手が焦点を当てている事業や業界に関するデータを調査し、それに即した情報を手紙に盛り込むことが効果的です。IR情報に触れたことを手紙に記載することで、説得力を高めることも可能です。

数字だけでなく、既に自社商品を採用している企業の名前や特許の取得状況、製品を推進している研究機関や主要な担当者など、権威をアピールする情報も組み合わせると有効です。

後半で自社のアピールをする

初回のコンタクトでは、自社PRを即座に掲載するのは効果的ではありません。手紙でもテレアポや訪問営業と同じく、積極的な売り込みは避ける姿勢が大切です。

手紙の利点は、特別感があり思いを伝えやすいところにあります。商品や特典の強調が手紙を一般的なダイレクトメールと同じにしてしまいます。相手先や手紙の内容によっては、自社の商品や実績を後回しにし、初回面談時に口頭で紹介するのも一手です。手紙では相手の感情に注意し、慎重かつ丁寧に文を綴ることが重要です。

差出人の役職を同じにする

手紙を企業の最高経営責任者に送付する場合、発信者の肩書を相手に合わせると、手紙の開封率が向上しやすくなります

例えば、取締役社長に送付する場合は、自社の社長の名前を差出人として記載します。アポが取れた際、もし社長が新規開拓営業に同行しない場合は、「当日は弊社の〇〇が訪問いたします」と手紙に記載するか、手紙送付後のアポの確認時に必ず伝達するようにしてください。

もし自社の社長の名前を使うのが難しい場合は、営業部長の名前を手紙に載せるなど、社内での検討が重要です。

時候のあいさつを入れる

手紙の冒頭では、時候のあいさつと呼ばれる季節の言葉を記載しましょう。時候のあいさつは礼儀を重んじる日本の習慣で、さまざまな言葉があります。ここでは代表的な時候のあいさつを紹介します。

春…まだ寒さは残るものの、春の気配が感じられる季節となりました
夏…今年の夏は非常に厳しい日が続いており、暑さが身に染みます
秋…ますます深まる秋の訪れを感じています
冬…寒さが一段と厳しくなり、身にしみる季節が到来しています

上質な紙を用意する

手紙を手に取った瞬間に、上質な印象を与えるためには、紙の選択が肝要です。役員層に手紙を送る場合、和紙が理想的です。

和紙は手触りが独特で、こだわりを感じさせます。選りすぐりの和紙を使用することで、手紙が目を引く存在になります。和紙製の封筒に、筆ペンで手書きの住所と宛名を添えると、他の郵便物との差別化が図れます。

そして、相手にふさわしいデザインの切手を選んで貼付することも忘れずに行いましょう。

電話でフォローを入れる

手紙送付後、約1週間経過した際にフォローアップの電話をかけると、アポを取りやすくなります。一度手紙を送っているため、「先日手紙を送付させていただいた件ですが」という導入が有効で、電話受付口をスムーズに突破できます。

さらに、電話を通じて相手との対話を行うことで、手紙が読まれたかどうかをヒアリングできます。これにより、今後の手紙作成時に改善点を把握し、より効果的なコミュニケーションを構築できるでしょう。

手紙を送付するための方法を工夫する

手紙の送付方法は、その手紙が相手に届く手段として重要です。

正確かつ効果的な郵送やメールの利用、適切なタイミングでの配信など、送付プロセスにこだわりましょう。一般的な手紙を送付する方法としては、料金後納郵便や窓開き封筒、自社名の印刷された封筒や宛名シール、はがき等があります。

確実な手段を選ぶことで、手紙が効果的に相手に届き、期待される反応を引き出します。

手紙を売り込みの手段ではなく信頼関係を築くための手段とする

手紙を用いた営業は、単なる商品やサービスの売り込みではなく、信頼関係の築き方が鍵となります。

手紙を通じて自社や商品に対する信頼性や付加価値を伝え、相手との信頼関係を築くことで、長期的な取引の可能性を高めます。

即座の効果ではないことを念頭におく

手紙営業は即座の成果だけでなく、長期的な視野が重要です。

手紙を送付してから結果が出るまでの時間を考慮し、焦らずに計画的にアプローチしましょう。持続可能な成功を追求する姿勢が、手紙営業の効果を最大化します。

アポ獲得以外にも活用できる!効果的なシーンとは?

訪問後のお礼

商談後にすぐに手紙を送ることで、顧客に「契約後にも手厚くケアしてくれる企業だ」という印象を与えることができます。例文は訪問して商談した場合の文面となっていますが、一部を変更してオンラインでの商談の後に送る手紙としても使えます。

拝啓

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

先日は突然の訪問にもかかわらず、貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございました。

貴社の事業への取り組みについて直接お話をお伺いし、大変な刺激と感銘を受けました。
先日ご提案させていただいた弊社サービス◯◯が、貴社の抱える課題を解決し、さらなる事業拡大にお力添えできると考えております。近日中にお見積もりをお送りいたしますので、ぜひ、導入をご検討いただけますと幸いです。

また、先日のご説明の中でご不明点、ご質問がございましたらいつでもお問合せくださいませ。
今後とも格別のお引き立てを宜しくお願い申し上げます。

敬具

成約後のお礼

成約後に送る手紙の例文を紹介します。丁寧な手紙を送り顧客と強固な信頼関係を築くことにより、顧客とつながりのある企業へ自社を紹介してもらえるかもしれません。

拝啓

貴社、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。

この度は、たくさんの企業の中から弊社とご契約をしていただき、誠にありがとうございました。

今回ご契約をいただきましたサービスは◯◯という点において、貴社のお役に立つことが可能です。貴社が目標とされている◯◯を達成するために、私を含め弊社一丸となって尽力して参ります。ご不明点がございましたら、どのようなことでも構いませんので、なんなりと私△△までお申し付けください。

また、今回、〇〇様にご商談の機会をいただき、細かな心遣いに大変感謝をしております。今後とも何卒、末長く宜しくお願い申し上げます。
感謝の気持ちを込めて、お手紙にてお礼のご挨拶とさせていただきます。

敬具

異動や退職の挨拶

異動や退職の挨拶で送る手紙の例文を紹介します。担当者が変更となっても顧客と自社が良好な関係であり続けるために、いつから誰に担当者が引き継がれるのか、今後のスケジュールを記載して先方に明確に伝えましょう。また、例え顧客と気軽な関係になっていたとしても、異動や退職の挨拶はきっちりとした丁寧な文面で書くことで誠実さが伝わります。

拝啓

貴社におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、私事で恐縮ですが、一身上の都合により、◯月◯日をもちまして退職させていただく運びとなりました。

◯◯様にいつも温かいお言葉を頂戴いたしましたこと、深く感謝しております。特に、弊社サービス「◇◇」を導入させていただく際には、大変お世話になりました。次の職場でも貴社とお仕事をさせていただいた◯年間の経験を糧に、精進して参ります。

今後は同じ課の△△が、貴社の担当を努めさせていただきます。近日中に△△からも挨拶のご連絡を差し上げます。

略儀ながら、書面をもちましてご挨拶申し上げます。
末筆になりましたが、◯◯様のご健康、ご多幸を心からお祈り申し上げます。

敬具

さいごに

本記事では、手紙営業が効果的な理由から、手紙営業のポイント、実際に使えるテンプレートをいくつか紹介しました。メールやSNSなどのデジタルツールが普及している今、丁寧な手書きの手紙を送ることで、競合企業との印象の差別化の点において有利になります。

手紙営業を活用して、特に良い関係を築いていきたい企業にアプローチしてみるのはいかがでしょうか?