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トークスクリプトで営業力を強化|業務効率を上げる方法と作成手順を解説

目次

トークスクリプトとは、営業活動において「どのような内容で話すか」を事前に決めたマニュアルのことです。「トーク(会話)」と「スクリプト(台本)」を組み合わせた言葉であり、その質が営業成果に大きく影響を与える重要なツールと言えます。

ビジネスで使われる「スクリプト」という用語には、エンジニアが使用するIT言語も含まれますが、この記事では営業活動で使用される「トークスクリプト」に焦点を当てて説明します。

トークスクリプトの概要や作成方法、活用方法、さらに便利なテンプレートについてわかりやすく解説します。「営業で使えるフレーズを知りたい」という方にも役立つ内容となっていますので、ぜひご覧ください。

営業トークの基本「さしすせそ」とは?

営業トークとは、商品やサービスを提案・販売する際に活用される、効果的な話し方やコミュニケーションの手法を指します。

営業トークをさらに効果的にする方法として、**「さしすせそ」**を用いたフレーズを活用することが推奨されています。

**「さしすせそ」**とは、営業トークで役立つフレーズの頭文字を取ったものです。

以下に、営業トークの「さしすせそ」を一覧でまとめます。

頭文字 フレーズ 役割
さすがですね、最高ですね 相手の能力や行動を認めて称賛する
知らなかったです、信じられないです 相手の知識や情報に驚きや関心を示す
すごい、素晴らしいです、素敵です 相手の行動や考えを高く評価する
センスがありますね 相手の選択やスタイルを称賛する
そうなんですか、そうなんですね、そのとおりです 相手の意見や言葉に興味を示す

この「さしすせそ」は、営業で使える相手を立てるための効果的な相づちです。顧客との関係を良好にし、契約締結へとつなげる狙いがあります。

営業トークの「さしすせそ」を使うときのポイント

気持ちを込める

営業トークの「さしすせそ」を使う際は、心を込めて発言しましょう。
顧客は言葉だけでなく、声のトーンや話し方からも感情を感じ取ります。

機械的な対応ではなく、感情のこもった話し方をすることで、顧客に安心感を与え、長期的な関係構築につながります。

乱用しない

「さしすせそ」は効果的ですが、使いすぎると逆効果になる可能性があります。

過剰に褒め言葉を使うと、相手に「お世辞を言っているだけでは?」や「バカにしているのか?」と感じさせてしまう場合もあります。
また、不自然なほど誇張したり繰り返したりすると、わざとらしく感じられ、顧客に不快感を与えることもあります。
適切な頻度で使用するよう注意しましょう。

第三者の視点を活用する

自分の意見を直接述べるのではなく、第三者の視点や事例を取り入れることで、信頼性を高められます。

第三者の成功事例や体験談を引用することで、話に客観性が加わり、顧客の心理的な抵抗を和らげる効果があります。
たとえば、「他のお客様もこの方法で成果を上げられました」というような話し方を心掛けるとよいでしょう。

営業で使うトークスクリプトとは?

営業におけるトークスクリプトとは、商談で話す内容や話の流れ、順序を事前に整理した台本のことです。これを基にして、営業電話をかけたり、対面での商談を進めたりします。

主に電話営業で活用されますが、トークスクリプトを作成しておけば、対面営業でもスムーズな進行が可能です。

また、営業トークスクリプトは、クロージングまでの流れを直感的に理解できるため、新人にとっては頼れるマニュアルとなります。

トークスクリプトを作るメリットとは?

トークスクリプトには、主に以下の4つのメリットがあります。それぞれについて詳しく解説します。

会社の営業トークの標準が確立される

トークスクリプトがない場合、電話営業では担当者が個人の感覚で話を進めてしまい、アピールポイントがズレたり、的確な判断ができなくなったりする可能性があります。

トークスクリプトを導入することで、商品やサービスに関する知識を統一でき、複数のアポインターや営業担当者がいても一貫性を保ちながら営業活動を進めることが可能です。

さらに、成果につながるキーワードやアプローチ方法の分析・改善が容易になり、チーム全体の営業成績向上につながります。

自信を持って話ができるようになる

新人にとって、台本なしでテレアポや営業を行うのは非常に不安です。自信のない声や態度は、顧客に「頼りない」と思わせてしまう可能性があります。

トークスクリプトには話の大まかな流れが記載されているため、不慣れな新人でも自信を持って話を進められます。
具体的には、以下の点がスムーズなセールストークをサポートします:

  • 話す内容や順番が事前に決まっている
  • 会話の展開が予測できる
  • よくある質問への回答が用意されている

営業の実践と教育がしやすくなる

初めてのアポイントや訪問では、緊張のあまり何を話すべきか分からなくなることもあります。
しかし、トークスクリプトがあれば、緊張していても重要なポイントを確実に伝えることができます。

さらに、新人教育の教科書としても活用できるため、指導内容を統一することが可能です。
新人教育を効率的に進めるためにも、トークスクリプトを上手に活用しましょう。

インサイドセールスとフィールドセールスの両方に効果的

インサイドセールスは、メールやWebサイトで獲得したリードを見込み客として育成し、契約まで一貫してフォローアップを行います。一方、フィールドセールスは、主に対面での営業活動を通じて契約からクロージングまでを担当します。

両者は役割が異なりますが、それぞれに適したトークスクリプトを準備することで、自信を持って商談を次のフェーズへ進めることができます。
役割や営業の段階に応じたトークスクリプトを用意するようにしましょう。

トークスクリプトの作成ステップ

営業トークスクリプトとは、架電や商談の際に使用する、お客さまとの会話の流れを整理した台本のことです。

本記事では、「トークスクリプトの作り方がわからない」「効果的なトークスクリプトを作りたい」とお悩みの担当者向けに、テレアポや商談で活用できるトークスクリプトの作り方を例文を交えて詳しくご紹介します。

目標を設定する

まず、トークのゴールを明確に設定しましょう。
例えば:

  • テレアポの場合:商談アポイントの獲得、セミナーへの誘導、資料送付など。
  • 商談の場合:受注、次回のアポイント獲得など。

ゴールを設定せずにトークスクリプトを作成すると、会話がブレる可能性があるため、最初に具体的な目標を設定することが重要です。

対象者を明確にする

「誰に向けてトークをするのか?」を明確にしましょう。
ターゲット設定のポイント:

  • 自社がよく対応する顧客属性を基にリアルなシナリオを作成する。
  • 抽象的な設定を避け、具体的な顧客像を描く。

ヒアリング項目を定める

ゴール達成のために、必要な情報を引き出すためのヒアリング項目を設定します。
例えば、以下のような情報を整理しておきます:

  • 顧客の課題やニーズ
  • 予算や導入のタイミング

スクリプトを形成する

トークスクリプトの形式には以下の2種類があります:

  1. フローチャート形式
    手順や分岐が視覚的にわかりやすく、全体像やゴールが瞬時に把握できます。
  2. 台本形式
    詳細な会話内容を記載できるため、リアルな場面を再現するのに適しています。

トークスクリプトの基本フォーマット

以下では、営業活動の基本である「テレアポ」におけるトークスクリプトの例を7つのステップで解説します。自社の状況に合わせてカスタマイズして活用してください。

STEP1:挨拶

「お世話になっております。」
「お忙しいところ、失礼いたします。」

最初に丁寧な挨拶をすることで、相手に好印象を与えます。

STEP2:自己紹介

「私、〇〇会社の△△△△と申します。」
「弊社では××××などのサービスをご提供しており、御社の新規開拓のお手伝いをさせていただければと思い、ご連絡いたしました。」

会社名や提供するサービスを簡潔に伝え、自社の信頼性をアピールします。

STEP3:相手の気持ちを惹きつける

「これまでに300社以上のお客様にこのサービスを提供させていただきましたが、その結果、売上アップにつながったとご好評をいただいております。」
「弊社の場合、同じサービスに加え、さらに〇〇の機能も充実しており、よりリーズナブルにお使いいただくことが可能です。」

実績やサービスの強みを具体的な数値や事例を交えて伝え、相手の興味を引きます。

STEP4:他の角度から攻めてみる

「すでに他社様のサービスをお使いでいらっしゃるとのことですが、現在、何かお困りのこと、もしくは新たに導入したいサービスなどはございませんか?」

現在の状況や課題を聞き出すことで、相手のニーズを深掘りします。

STEP5:質問への対応

回答できる場合

「ご質問の〇〇機能につきましては、これまでにトラブルなどは発生しておりません。また、万が一お困りのことが発生した際には、至急担当者が訪問させていただくことも可能です。」

回答できない場合

「大変申し訳ございません。私ではお答えできかねる内容でございますので、少々お時間をいただけないでしょうか。のちほど担当の者からお電話させていただきます。」

質問には誠実に対応し、不明点がある場合は迅速なフォローを約束します。

STEP6:日程決め

「お忙しいところ大変恐れ入りますが、弊社の〇〇がさらに詳しい説明をさせていただきますので、明日、もしくはあさってのご都合のよろしいお時間をお教えいただけないでしょうか。」

次のアクションにつながるよう、具体的な日程調整を提案します。

STEP7:クロージング

「お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。」

最後に感謝の気持ちを伝え、丁寧に締めくくります。

上記のスクリプトは、一般的でシンプルな例です。自社のサービス内容やターゲットに合わせて、具体的かつ効果的なトークスクリプトにカスタマイズすることが重要です。これにより、営業活動の成果がさらに向上します。

トークスクリプト作成時の重要ポイント

成果を挙げている営業担当者が作成する

トークスクリプトの作成は、営業経験が豊富な社員が担当するのが理想的です。

経験豊富な社員は、自社のお客さまや営業現場を熟知しており、以下の点で有利です:

  • お客さまの発言や典型的な会話を具体的に思い描き、リアルなスクリプトを作成できる。
  • 成功例と失敗例のパターンを把握しているため、実用性の高い内容に仕上げられる。

トークの目的やポイントを記載する

トークスクリプトには、会話文だけでなく、トークの目的や押さえるべきポイントを必ず記載しましょう。

会話文だけでは、以下の課題が発生します:

  • 「このトークは何を目的としているのか」「何を意識すべきか」が分かりづらくなる。
  • 結果として、再現性の低いスクリプトになり、効果を発揮しづらくなる。

営業担当者がトークを現場で活用する際は、スクリプトの意図を理解し、自分の言葉でアレンジできることが重要です。そのため、目的とポイントの記載を徹底しましょう。

トークの分岐をわかりやすくする

トークスクリプトの分岐は、対応パターンを絞り込み、簡潔で分かりやすいものにしましょう。

分岐が多すぎる場合:

  • 回答を選ぶのに時間がかかり、現場での判断が難しくなる。
  • スムーズな会話の妨げとなり、顧客の印象を損ねる可能性がある。

トークスクリプトには、あらゆる回答に対応できる基本的な反応パターンを用意し、誰でも使いやすい内容に仕上げることが大切です。

 運用しながら改善する

トークスクリプトは、最初から完璧を目指す必要はありません。

以下のプロセスを繰り返すことで、より実用的なスクリプトが完成します:

  • 作成したスクリプトを試しに運用し、実際の商談や架電で活用する。
  • 「このトークは効果的だった」「この内容は響かなかった」などのフィードバックを収集
  • チーム内で共有し、改善点を反映してブラッシュアップする。

トークスクリプトは、実際の運用を通じて少しずつ完成度を高めていくことがポイントです。

トークスクリプト活用時の注意点

どんなに優れたトークスクリプトであっても、話し手の工夫や対応力によって結果は大きく変わります。
相手に「もっと話を聞きたい」「直接会って話してみたい」と思わせるために、以下のポイントを意識して活用しましょう。

台本を読むような話し方を避ける

棒読みで話すと、相手に「面倒な営業電話」と思われ、すぐに切られる可能性があります。
最初のつかみが重要です。トークスクリプトをそのまま読むのではなく、電話越しの相手に直接語りかける意識で話しましょう。

権限のある重要人物へアプローチをかける

アポイント獲得や顧客育成を成功させるためには、できるだけ権限を持ったキーマンにアプローチすることが重要です。
そのためには自己紹介や伝え方を工夫し、キーマンに取り次いでもらえるよう意識しましょう。

会話は相手とのやり取りであると心掛ける

一方的に話し続けるだけでは、相手との会話は成立しません。
以下の2点を意識しましょう:

  • 相手が興味を持ちそうな話題を織り交ぜる。
  • 相手の反応を見ながら、話の進め方を調整する。

予期せぬ反応があっても冷静に対処する

トークスクリプト通りに進めても、相手の反応や質問が予想と異なることは珍しくありません。
想定外の質問やクレームが来た場合でも、慌てず冷静に切り返す対応力が求められます。普段からさまざまなケースを想定し、柔軟に対応できるスキルを身につけておきましょう。

おすすめのトークスクリプト作成サービスとは?

NetReal株式会社|電話営業代行サービス

ネット完結型の電話営業代行サービスを提供している会社です。
プロのコールスタッフが営業電話を代行するだけでなく、トークスクリプトのフォーマットを公開しており、サンプルや説明付きで活用できます。

Visio|作図ツール

簡単に図を作成できるツールで、テンプレートやカスタマイズ可能な図形、スターター図面が充実しています。
フローチャート機能を活用することで、分かりやすいトークスクリプトを効率的に作成することが可能です。

おすすめCTIツール

CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とパソコンを連携させるシステムで、営業活動における電話の効率化に役立ちます。
CTIツールを使えば、トークスクリプトを確認しながらの通話やFAQ機能の活用が可能です。

pickupon(ピクポン)|CTIツール

  • 特徴
    通話内容を自動でテキスト化し、AIが重要な箇所を抽出。これにより、通話中のメモやデータ入力が不要になり、会話に集中できます。
    通話データを分析して成功パターンを特定し、トークスクリプトの改善が可能です。
  • 連携
    Mazrica SalesなどのSFA/CRMツールと連携可能。
  • 料金
    月額6,000円/1ID+電話料金
  • URL
    pickupon公式サイト

MiiTel(ミーテル)|CTIツール

  • 特徴
    AIが通話内容を話速、抑揚、会話の被せ率などで定量評価し、成果につながる会話の改善ポイントを導出。
    会話内容を文字起こしし、効果的な「キラーワード」を自動抽出します。
  • 料金
    月額5,980円/ID~
  • URL
    MiiTel公式サイト

CallConnect(コールコネクト)|CTIツール

  • 特徴
    通話内容の録音・テキスト化で成功パターンを特定。通話時間や応答率などのデータも可視化され、個別の分析が可能です。
    1アカウントで複数の電話番号を取得可能。
  • 料金
    月額2,400円/ID~(別途電話番号代・通話料)
  • URL
    CallConnect公式サイト

おすすめオンライン商談ツール

オンライン商談では、従来の訪問型商談とは異なる成功パターンが求められます。
オンライン商談ツールには録音・録画機能やトークスクリプト表示機能が搭載されており、効率的な商談をサポートします。

ACES Meet(エーシーズミート)|オンライン商談ツール

  • 特徴
    AIが商談内容を文字起こし・解析し、議事録作成や内容の共有を効率化。
    話速や表情の分析も可能で、商談の改善に役立ちます。
  • 料金
    お問い合わせ
  • URL
    ACES Meet公式サイト

ailead(エーアイリード)オンライン商談ツール

  • 特徴
    AIが商談データを自動収集・解析し、可視化。議事録作成や商談記録の共有を自動化します。
    SFAやWeb会議ツールと連携し、顧客対応に専念できる環境を提供。
  • 料金
    お問い合わせ
  • URL
    ailead公式サイト

おすすめSFA/CRMツール

SFA/CRMツールは、案件管理や顧客情報の一元化に加え、商談データの分析で成功パターンを発見するのに有効です。

Mazrica Sales|SFA/CRM

  • 特徴
    AI機能「Mazrica AI」が、受注・失注リスクを予測し、成約率を高めるためのアクションを提案します。過去のデータから成約につながりやすい商談プロセスを導き出し、トークスクリプトの精度向上に寄与します。
  • 詳細情報
    Mazrica Sales公式サイト

トークスクリプトをチームに定着させるためには

せっかく質の高いトークスクリプトを作成しても、チーム全体に定着させなければ効果を最大限に引き出すことはできません。
ここでは、トークスクリプトを定着させるための具体的な方法を解説します。

ロープレを活用する

トークスクリプトを定着させる方法の1つ目は、ロールプレイング(ロープレ)を実施することです。

ロープレの利点:

  • 実際のお客さまと話す前に、スクリプトを基にした練習ができる。
  • 営業担当者がトーク内容に対するフィードバックを受け、改善ポイントを把握できる。

また、ロープレを通じて「自社のトークの型が適切に活用できているか」を確認し、実践力を高めることが可能です。

SFAツールで応対記録や案件を管理する

SFAツールを活用すると、トークスクリプトの定着を効率的に進めることができます。

SFAツールの活用メリット:

  • 電話や商談での応対記録や案件の進捗状況を一元管理できる。
  • 営業マネージャーが直接同行しなくても、「ヒアリングが漏れていないか」「正しい手順でトークを進めているか」を確認できる。

これにより、トークスクリプトの運用状況を可視化し、適切なフィードバックを行うことが可能です。

トークスクリプトで営業スキルをアップしよう

今こそ、新しい営業手法やスタイルに対応するために、トークスクリプトを見直し、時代に適した形へとブラッシュアップしていきましょう。

デジタルツールを活用すれば、効率よく改善を進めることができ、人力では難しい分析も可能になります。

進化したトークスクリプトを活用して営業組織を変革し、営業力をさらに強化していきましょう!

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