目次
- 1 メールマーケティングとは?
- 2 今メールマーケティングが注目されている理由とは?
- 2.1 メールマーケティング市場の大幅な成長
- 2.2 顧客と継続的にコミュニケーションを図れる
- 3 メールマーケティングを行う3つのメリット
- 3.1 紙のダイレクトメールに比べ、低コストで始められる
- 3.2 ユーザー属性に応じて、メール内容や配信頻度を調整できる
- 3.3 効果検証が容易
- 4 メールマーケティングを行う主な6つの方法
- 4.1 メールマガジン
- 4.2 ターゲティングメール(セグメントメール)
- 4.3 ステップメール
- 4.4 リターゲティングメール
- 4.5 メール広告
- 4.6 リターゲティングメール
- 5 メールマーケティングを実施する具体的な手順
- 5.1 目標設定
- 5.2 メールアドレス獲得と配信リストの作成
- 5.3 メール作成
- 5.4 メール配信
- 6 メールマーケティングを効果的に行う秘訣とは?
- 6.1 Webサイトへの誘導を意識する
- 6.2 確実な効果測定を行う
- 7 メールマーケティングで発生する費用の種類
- 7.1 メール配信コスト
- 7.2 リスト生成コスト
- 7.3 メール運用コスト
- 8 メールマーケティングを実施する際に確認したい5つのkpi
- 8.1 開封率
- 8.2 不達率
- 8.3 クリック率
- 8.4 反応率
- 8.5 購読解除率
- 9 メールマーケティングでありがちな失敗例
- 9.1 失敗例1:目標設定をせずに、ただメールマーケティングを始める
- 9.2 失敗例2:開封率を最終目標にする
- 10 メールマーケティングの基礎的な戦略とは?
- 10.1 単発ではなく中長期のシナリオを計画する
- 10.2 目的に適したユーザーに絞って配信する
- 10.3 ユーザー属性に合った内容のメールを送る
- 10.4 目的に合わせたタイミングで配信する
- 10.5 A/Bテストを活用し、効果を改善する
- 11 メールマーケティングを行うために必須の配信ツールとは?
- 11.1 メール配信ツール
- 11.2 MAツール
- 12 メールマーケティングを行うために必要な機能
- 12.1 HTMLメールエディター機能
- 12.2 グルーピング機能
- 12.3 分析機能
- 13 メールマーケティングツール導入前に確認したい2つの性能
- 13.1 メールの到達率の高さ
- 13.2 配信スピード
- 14 メールマーケティングで覚えておくべき用語
- 14.1 HTMLメール
- 14.2 テキストメール
- 14.3 レスポンシブメール
- 14.4 ホワイトペーパー
- 14.5 コンバージョン(CV)・コンバージョン率(CVR)
- 14.6 ペルソナ・カスタマージャーニー
- 14.7 リードナーチャリング
- 14.8 オプトイン・オプトアウト
- 15 最後に
メールマーケティングとは、メールを使って顧客とコミュニケーションを取り、集客やコンバージョンを促進するマーケティング手法の一つです。LINEやFacebook Messengerといったプラットフォームの普及に伴い、ユーザーの行動や利用するチャネルが変化しつつあるため、メールマーケティングが古い手法だと指摘されることもあります。しかし、メールマーケティングは依然として重要な施策であり、他のチャネルと組み合わせて活用されています。ここでは、メールマーケティングの基礎知識や代表的な手法、さらにその効果的な活用方法について詳しく解説します。
メールマーケティングとは?
メールマーケティングとは、事前に作成した配信リストに向けてメールを送信し、集客やブランドファンの育成、サービス購入などの目標を達成するための手法です。もともとメールは1対1のコミュニケーションツールでしたが、企業のメール配信では1(企業)対n(配信リスト)という形式になりました。近年では、このメール配信を個々の受信者のタイミングや好みに合わせて最適化する動きが進んでいます。
今メールマーケティングが注目されている理由とは?
2023年6月に総務省が発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、近年ではSNSが主なコミュニケーション手段になりつつある一方で、30代以上の働き世代においては、平日のメールとSNSの利用量がほぼ同じであり、40代以上ではSNSよりもメールの利用率が高いことが示されています。
実際、ビジネスの場では、社内コミュニケーションにおいて社内チャットツールが広がっているものの、社外とのやり取りでは依然としてメールが主流です。つまり、働く世代にとって、メールは依然として最も身近なコミュニケーション手段であると言えます。
これが、メールマーケティングが重要とされる大きな理由の一つです。ターゲットにとって身近なメディアであるメールを活用することで、より多くの見込み顧客にコンテンツを届けられるため、効果的なマーケティング手法となります。
さらに、施策を実施する側にとっても、メールは日常的に使用しているツールであるため、慣れていないツールを使用する他の施策に比べて実行のハードルが低いと言えます。
メールマーケティングが現在も必要とされる理由は他にもあります。以下にいくつか挙げてご紹介します。
メールマーケティング市場の大幅な成長
メールマーケティングは、世界的にも非常に効果的なマーケティング手法とされています。株式会社グローバルインフォメーション社の市場調査によると、2028年までにメールマーケティングソフトウェアの世界市場規模は22億米ドルに達すると予測されています。
この成長の背景には、AIを活用したメール配信ツールの登場があります。これにより、メールの作成や分析・評価が迅速に行えるようになり、細かい顧客セグメントごとに複数のターゲティングメールを短時間で大量に配信できるようになりました。
さらに、メールマーケティングは他の広告手法とは異なり、低コストで実施できるため、費用対効果の高さが注目されています。メールは今なお多くの人々にとって身近なツールであり、SNSが普及しても依然として有効なマーケティング手段として投資価値があると考えられています。こうしたことから、メールマーケティングは売り上げや利益に大きな影響をもたらす、現代でも欠かせない手法です。
顧客と継続的にコミュニケーションを図れる
メールマーケティングの重要な理由の一つに、「顧客と継続的なコミュニケーションを取れる」という利点があります。
顧客が商品やサービスを検討するプロセスには複数のフェーズが存在するため、定期的なコミュニケーションを通して顧客の検討状況を把握し、適切な情報を提供することが大切です。
メールを活用することで顧客との接点を保ち、最適なタイミングで関連するコンテンツを送ることで、顧客の次の検討段階への後押しが可能です。その結果、検討が中断されたり、他の競合に移行されたりするリスクも低くなるでしょう。
メールマーケティングを行う3つのメリット
メールマーケティングのメリット
続いて、メールマーケティングを実施することで得られるメリットについて確認していきましょう。
紙のダイレクトメールに比べ、低コストで始められる
メールマーケティングに必要な費用は、配信システムや効果を検証するツールにかかるコストです。数千円から利用可能なものもあり、印刷費などが必要な紙のダイレクトメールに比べて、非常に低コストで導入できます。そのため、中小企業や個人事業主の方でも導入しやすいでしょう。コストを抑えつつ、1回の配信で数万から数十万のユーザーにメッセージを送信することが可能です。
ユーザー属性に応じて、メール内容や配信頻度を調整できる
ユーザーの属性に合わせてメールの内容や配信タイミング、頻度を調整できるのもメールマーケティングの強みです。紙のダイレクトメールよりも低コストで柔軟な対応が可能です。また、「商品ページを閲覧したユーザーにクーポンを送付する」といったように、インターネットとの親和性が高いマーケティング手法でもあります。メールには、企業やブランドのSNSや公式サイト、サービスページへのリンクを記載できるため、他のメディアとの相乗効果も期待できます。
効果検証が容易
メール送信後の成果を確認しやすい点も、メールマーケティングのメリットの一つです。効果検証ツールを導入することで、メールの到達率や開封率、クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)、配信停止率といったデータをすぐに把握できます。このデータを活用してPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回すことで、施策の精度を効率的に向上させることが可能です。
メールマーケティングを行う主な6つの方法
メールマーケティングには、メールマガジン以外にもターゲティングメール、ステップメール、リターゲティングメールなどの手法が存在します。目的に合わせた適切な手法を選択するためにも、それぞれの特長や配信対象、最適なメール内容の違いを理解しておきましょう。
メールマガジン
メールマーケティングで代表的な手法がメールマガジンであり、全顧客を対象にキャンペーンや新商品の案内などを一斉配信する方法です。会員登録をしているユーザーに対し、メールで情報をまとめて送信します。
ターゲティングメール(セグメントメール)
ターゲティングメールは、誕生日のお祝いクーポンや店舗限定のクーポンなど、条件に合ったユーザーに対して送信するメールです。取得したユーザー情報を基に属性を分類し、特定の条件に合致したユーザーに向けて配信するため、アクション率向上が期待できます。配信対象の絞り込みには、メール配信システムやメールマーケティングツールが役立ちます。
ステップメール
ステップメールは、「資料請求者」や「商品購入者」など、特定の条件に該当するユーザーに対し、配信タイミングをあらかじめ設定した複数のメールを段階的に送信する手法です。例えば、資料請求者には追加の情報提供、商品購入者にはサンキューメールやアンケート送信など、ユーザーの状態に合わせた内容を適切なタイミングで配信することで、成約やリピートにつなげます。
リターゲティングメール
リターゲティングメールは、特定の条件に該当するユーザーに適切な内容を届ける手法です。例えば、「商品ページを閲覧したユーザーにクーポンを送る」「カートから離れたユーザーにリマインドを送信する」などが該当します。このメールをきっかけに、ユーザーが再びサイトや商品ページを訪れるよう促すことが期待できます。
メール広告
メール広告は、電子メールで配信される広告で、メールマガジンの一部(ヘッダーやフッターなど)に広告を挿入するタイプと、メール全体が広告として送られるタイプの二種類に分けられます。
それぞれ、テキスト形式のみの広告とHTML形式の広告が存在します。
ターゲット層に合わせた送信先に直接アプローチでき、入稿から配信までの期間が短いという利点がありますが、スパムメールと認識されて閲覧されないリスクがあるほか、受信側の環境によってはHTML形式の画像や動画が正しく表示されない可能性もあります。
リターゲティングメール
リターゲティングメールは、特定の条件に合致するユーザーに対し、その条件に応じた内容のメールを送る手法です。例えば、「商品ページを閲覧したユーザーにクーポンを提供する」や「カートを放置したユーザーにリマインドを送る」といった施策が該当します。これらのリターゲティングメールを通じて、ユーザーが再度サイトや商品ページを訪れることを促す効果が期待できます。
メールマーケティングを実施する具体的な手順
これまでご紹介したように、メールマーケティングには様々なアプローチ手法があり、それぞれでフローや必要なツールが異なる場合があります。しかし、ユーザーとメールマーケティングを通じてコミュニケーションを図る際の基本的な手順は共通です。ここでは、基本的なメールマーケティングの流れを確認していきましょう。
目標設定
まず、メールマーケティングを行う目的や解決したい課題をもとに、具体的な目標を設定します。このとき、最終目標であるKGI(重要目標達成指標)と、その目標を達成するためのKPI(重要業績評価指標)を設定すると、目標が明確になります。たとえば、「メール経由での資料請求を月◯件に増やす」とKGIを設定し、それに応じたKPIとしてメール到達率、開封率、CTR、CVRなどの指標を設定していきます。
メールアドレス獲得と配信リストの作成
次に、メールの配信先となるユーザーのリストを作成します。リストを増やすには、名刺交換やアンケート、資料のダウンロード、メルマガ登録促進などが効果的です。取得するユーザー情報が多いほど、ユーザー属性を細かく分けることができ、より精度の高いマーケティングが可能になります。
メール作成
ターゲットとするユーザーを意識し、配信するメールを作成します。本格的にメールマーケティングを行う場合、ペルソナとカスタマージャーニーを設定した上で、この作業を行うと効果的です。ユーザーが必要とする情報やコンテンツをメールで届けることで、ユーザーを育成する理想的なメールマーケティングが実現します。
メール配信
準備が整ったら、実際にメールを配信します。大量のメールを配信し管理するメールマーケティングでは、メール配信ツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が推奨されます。自社のマーケティングの目標や課題に合わせて、最適なツールを選択しましょう。
効果測定および検証・改善
メール配信後は、メール配信ツールやMAツールの分析機能を使用して効果測定を行います。設定した目標をもとに、メール到達率、開封率、CTR、CVRなどの達成状況を確認します。また、受信拒否による配信数の減少などのデータも分析します。分析結果から改善点を見つけ出し、たとえば、開封率が目標を下回っている場合は「件名をより興味を引くものに変更する」「開封しやすい曜日や時間帯に配信する」などの改善案を検討します。改善した後、再度目標設定に戻り、これを繰り返しながら自社に最適なメールマーケティングの流れや戦略を構築していきます。
メールマーケティングを効果的に行う秘訣とは?
Webサイトへの誘導を意識する
メールだけで購買を促したり行動を引き出したりするのは難しいため、メールをクリックしてもらうことが非常に重要です。クリックを促すメルマガを目指し、クリック後のページを改善して売上向上につなげると良いでしょう。
確実な効果測定を行う
メルマガなどのメールマーケティングで送信したメールは、開封率・クリック率・コンバージョン率といった重要なデータを必ず測定し、分析・改善を重ねましょう。
分析の際には単に数字の良し悪しを見るだけでなく、以下のポイントも確認しましょう。
- メールの内容自体はどうだったか
- 件名の書き方は適切だったか
- 送信するタイミングや時間帯はどうだったか
特に、内容が良くても件名に課題があり、内容の良さが伝わっていない場合があります。開封率が低いからといって「メルマガ自体が悪い」と決めつけるのではなく、どの要素に課題があるかを詳しく分析することが大切です。
メールマーケティングで発生する費用の種類
メールマーケティングの費用は、主に3つのカテゴリに分けられます。
メール配信コスト
メールマーケティングを行うには、様々な機能や効果検証が必要です。そのため、メール配信システムなど専用のツールを導入する必要があります。特に、メールが届かない問題や配信遅延が発生することがあるため、大量のメールを迅速かつ確実に送るためにはシステムの導入が不可欠です。
- メール配信システムの場合、月額約5,000円~
- MAツールの場合、月額約10万円~
リスト生成コスト
メルマガ登録を促進するための費用です。登録フォームへ誘導する広告やイベント実施などが含まれます。ECサイトなどでは、購入や問い合わせ時にメルマガ登録を案内することでコストを抑えることも可能です。
メール運用コスト
メール配信のためのコンテンツ作成や人件費です。コンテンツを外部に委託するか、自社で作成するかによって運用コストが変わります。どこでコストを削減できるかを見極め、単にコスト削減を目指すのではなく、効果が見込めるポイントを把握して精査することが大切です。
メールマーケティングを実施する際に確認したい5つのkpi
メールマーケティングで良い成果を出すためによく使われる、5つのKPIをご紹介します。
開封率
開封率は、配信したメールがどのくらいの割合で開封されているかを示す指標です。計算は「メールが開封された数÷配信に成功したメールの総数(×100)」で行います。開封率が低い場合、「メールが読まれていない」ことを意味し、クリック率なども下がってしまうため、開封率を向上させる工夫が重要です。
不達率
不達率は、メールが配信先に届かなかった割合を指します。たとえば、1,000件のメールアドレスに配信し、そのうち950件にしか届かなかった場合、不達率は5%です。原因としては、一時的なサーバーの問題やメールアドレスの誤りなどがあります。不達率が上がると迷惑メールと誤認されるリスクもあるため、リストの整理などの対策が必要です。
クリック率
クリック率は、メール内のURLやコンテンツ(画像や動画など)がクリックされた割合を示す指標です。計算方法は「クリック数÷配信に成功したメールの総数(×100)」です。クリック率が高ければ、お問い合わせ数の増加にもつながりやすくなります。
反応率
反応率は、開封されたメールの数に対してURLがどの程度クリックされたかを示す指標です。クリック率が「全ての配信成功メールに対するクリック割合」であるのに対し、反応率は「開封されたメール数に対するクリック割合」という違いがあります。
購読解除率
購読解除率は、一度配信登録をしたものの、配信を解除したユーザーの割合を示します。たとえば1,000件の登録があり、そのうち30件が解除された場合、購読解除率は3%です。購読解除率が高い場合、メール内容に興味を持てないユーザーが多いと考えられるため、配信内容の改善が求められます。
メールマーケティングでありがちな失敗例
メールマーケティングについての理解が深まったところで、よくある失敗例についても確認しておきましょう。同じミスを繰り返さないよう、しっかりとチェックしておくことが大切です。
失敗例1:目標設定をせずに、ただメールマーケティングを始める
単にメールを送るだけでは、商談の創出や売上向上は難しいため、まずは目的や目標を明確にし、顧客にどのような行動を取ってもらいたいかを決めた上でメール施策を進めることが重要です。
失敗例2:開封率を最終目標にする
開封率や到達率はメールマーケティングで重要な指標ですが、あくまで目標を達成するための中間的な指標です。メールマーケティングの目的は、メールを読んでもらうこと自体ではなく、その先で自社やサービスを知ってもらい、顧客に特定の行動を促すことです。最終的な目標を意識し、それに向けて指標を追うようにしましょう。
メールマーケティングの基礎的な戦略とは?
メールマーケティングで成果を上げるためには、基本的な戦略をしっかりと理解することが重要です。次に、メールマーケティングを実施する際に意識すべき5つのポイントをご紹介します。
単発ではなく中長期のシナリオを計画する
メールマーケティングは、1回の配信で完了するものではなく、継続的に実施する中長期的な施策です。定期的なメール配信を行うことで、ユーザーの購買意欲を高めることができます。成功している企業の多くは、定期的なメールマガジンやステップメールを活用しています。ユーザーも複数回のメール配信を受けることで、購買意欲が徐々に向上していきます。
目的に適したユーザーに絞って配信する
多くのユーザーに配信する方が効果的と思われるかもしれませんが、興味のない情報にはユーザーがアクションを起こさないため、目的や内容に応じて配信先を絞ることが必要です。リスト数にとらわれず、内容や目的に合った対象ユーザーを選ぶことが大切です。
ユーザー属性に合った内容のメールを送る
メールマーケティングでは、ユーザーが一度でも「興味がない」や「関連性がない」と感じると、配信拒否につながるリスクがあります。そのため、件名やコンテンツに工夫を加え、リストを細かく分けることで「自分に役立つ」「自分向けだ」と思ってもらえるメールを配信することが重要です。
目的に合わせたタイミングで配信する
メールの開封率を高めるには、配信タイミングが重要です。ユーザーの属性に応じて、最も開封されやすい曜日や時間帯を検証し、配信タイミングの精度を高めるようにしましょう。
A/Bテストを活用し、効果を改善する
メールマーケティングの効果検証では、件名やURL、画像の配置、差出人、配信タイミングなど、さまざまな仮説が考えられます。その仮説を検証するために、異なる2つのパターンで効果を比較するA/Bテストが有効です。メールの効果分析で得られた仮説をA/Bテストで確認し、改善につなげましょう。
メールマーケティングを行うために必須の配信ツールとは?
メールマーケティングを行う際、配信先が極端に少ない場合を除き、手動では効率が上がりません。配信スケジュール通りにメールを送信し、配信後に到達率や開封率などの効果を測定して大量の送信先の結果を迅速かつ正確に集計するためには、メールマーケティング専用の機能を備えたツールが役立ちます。
メール配信ツール
リードや顧客に一斉にメールを配信できる「メール配信ツール」を使用すれば、登録したメール内容で設定した日時に自動的に送信が可能です。
このツールには、配信リスト管理、HTMLメールの作成、宛先名の差し込み機能などがあります。また、「ステップメール」をシナリオに沿って自動で配信する機能を持つものもあります。ただし、一部のツールでは配信ができても、配信後の効果測定が行えない場合もあるため、慎重な選定が必要です。
MAツール
「MAツール」にはメール配信機能が含まれており、これを活用してメールマーケティングが実施できます。
HTMLメールの作成、ステップメールの配信のほか、条件に応じた異なる内容の「セグメントメール」配信や、最新のリード情報を参照してリードのステータスごとにメールを送信することも可能です。
MAツールを活用すると、Webサイトの閲覧ログなどとも連携できるため、リード一人ひとりの動向を可視化できます。これにより、リードがどの方向に興味を持っているか、その度合いも把握しやすくなります。
メールマーケティングを行うために必要な機能
メールマーケティングの種類や手法について述べてきましたが、実施するためには配信に伴う機能や管理ツールが必要です。ここでは、メール配信システムをはじめとする配信ツールの代表的な機能について紹介します。
HTMLメールエディター機能
装飾や画像を組み込んだ、デザイン性の高いHTMLメールは、通常HTMLコードの知識が必要で作成に時間がかかります。しかし、HTMLメールエディターを使用すれば、専門知識がなくても直感的にHTMLメールを作成でき、コードを書くよりも時間を短縮できます。
グルーピング機能
性別や年齢といったセグメント(属性)ごとに分けたり、特定の属性に該当するグループにメールを送る際に必要な機能です。また、and条件やor条件が使用できるかも重要です。たとえば、「30代かつ男性」のように抽出するのがand条件、「東京在住、もしくは神奈川在住」のように抽出するのがor条件です。
1to1の細やかなマーケティングが求められる時代において、セグメントの精度によってメールマーケティングの効果が大きく左右されます。
分析機能
配信したメールの開封率やクリック率を測定する機能です。シナリオメールを送信する際には、開封やクリックに応じて配信内容を変更するため、開封率やクリック率などを分析する機能が必要です。メールに対するユーザーの反応を把握し、マーケティングデータとして蓄積できるのが大きな利点です。
メールマーケティングツール導入前に確認したい2つの性能
メールマーケティングを成功させるためには、迅速かつ確実にメールを届けることが重要です。以下の2つの性能を確認しましょう。
メールの到達率の高さ
メールの到達率は、配信システムに大きく依存します。到達率が高いと、開封数やクリック数が増加し、メールマーケティングの効果にもつながります。
到達率がツールやシステムで異なる理由
メールは本来1対1のコミュニケーションツールで、大量のメール送信がスパムと見なされ、受信者側でブロックされる可能性があります。しかし、メルマガなどでは大量配信が必要なため、スパムと誤認されない対策が求められます。
また、システム選定の際には、到達率は相手のアドレス状況などシステム以外にも影響されるため、数値で公表していない企業も多いです。そのため、導入実績などを確認すると良いでしょう。
配信リストのクリーニング機能も重要
エラーアドレスをリストから定期的に除外するクリーニング機能があるかも確認しましょう。メールはIPレピュテーション(送信元の信頼性評価)によって評価され、エラーアドレスへの大量送信で信頼性が低下すると、本来届くはずの相手にも届かない可能性があります。
配信スピード
大量のメールは、交通渋滞のように配信の遅延を招くことがあります。キャンペーンやイベント情報はタイムリーに顧客へ届くことが重要で、配信が遅れると顧客体験が低下し、クレームにつながるリスクもありますので、配信性能を確認しましょう。
また、配信前にアドレスのアップロードやリストの読み込みが早いツールを選ぶことで、業務の負担を軽減できます。
メールマーケティングで覚えておくべき用語
最後に、メールマーケティングを実施する際に知っておくと役立つ用語をご紹介します。
HTMLメール
HTMLメールとは、HTML形式で作成されたメールです。フォントの色やサイズを指定したり、画像などを配置できるため、テキストメールに比べてデザインの自由度が高く、訴求力を高めやすいのが特徴です。テキストメールでは開封率を取得できないため、開封率の確認をしたい場合はHTMLメールで配信しましょう。
テキストメール
テキストメールは、装飾を使わずテキストのみで作成したメールのことです。どんな環境でも表示しやすいため、HTML形式に対応していないユーザーへの配信に適しています。ただし、情報を文字だけで伝える必要があるため、効果的なメールにするには工夫が必要です。
レスポンシブメール
レスポンシブメールは、スマートフォン、パソコン、タブレットなど、どの端末からでも見やすいレイアウトに自動で最適化されるメールです。HTMLコード内で、端末ごとに表示内容を切り替えるように設定します。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、企業の抱える課題やその原因を分析し、課題解決のためのソリューションを紹介する文書です。特にBtoBのリード獲得を目的に作成されることが多いです。
コンバージョン(CV)・コンバージョン率(CVR)
コンバージョン(CV)とは、メールを読んだユーザーが企業の期待する行動(商品の購入、問い合わせ、新規会員登録など)を実行することです。CVR(コンバージョン率)は、メールが届いたユーザー全体に対してコンバージョンに至った割合を示す指標で、メールの効果を判断する際に役立ちます。
ペルソナ・カスタマージャーニー
ペルソナは、自社の商品やサービスを購入するユーザー像を具体化した架空の人物で、年齢、性別、職業、趣味などの詳細なプロフィールを設定することで、マーケティングの方針を明確にできます。
カスタマージャーニーは、見込み客が商品と出会い、認知し、関心を高めて最終的にコンバージョンに至るプロセスを示します。購買フェーズごとに効果的なメールを送信することで成約率を上げるのに役立ちます。
リードナーチャリング
リードナーチャリングは、見込み客との関係を構築し、購買意欲を高めるためのマーケティング施策を指します。
オプトイン・オプトアウト
オプトインは、事前にメール受信を承諾したユーザーにのみメールを配信することを指します。オプトイン方式では許可を得ていないユーザーにメールを送ると違法となり、処罰の対象になる可能性があります。
オプトアウトは、メール受信者が配信停止を依頼して受信を拒否することを指します。
最後に
メールは古くて新しいコミュニケーションツールです。MAツールなどを活用して効果測定を行えば、メールマーケティングが高い効果を発揮していることを実感できるでしょう。
前述の通り、メールマーケティングで成果を上げるためには中長期的な運用が不可欠です。担当者を配置し、腰を据えてじっくりと取り組んでみてください。