目次
- 1 CRM・MA・SFAなどのツールが
必要とされた背景とは? - 1.1 One to Oneマーケティングが求められている
- 1.2 リードの獲得から顧客のフォローまで対応することがどんどん困難になっている
- 1.3 まとめ
- 2 CRM・MA・SFA それぞれのツールの特徴と得意な分野
- 2.1 ・CRMの特徴と得意な分野
- 2.2 ・MAの特徴と得意な分野
- 2.3 ・SFAの特徴と得意な分野
- 3 CRM・MA・SFAそれぞれのツールが解決してくれること
- 3.1 ・CRMが解決してくれる課題
- 3.2 ・MAが解決してくれる課題
- 3.3 ・SFAが解決してくれる課題
- 4 CRM・MA・SFAの導入前に確認するべきこと
- 4.1 自社の課題や達成したい目標などを確認し、導入の目的を明確に
- 4.2 ベンダー(ツールのメーカー)を選定する
- 4.3 実際に導入、運用してみる
- 5 まとめ
ひと昔前には耳にすることも少なかった「CRM」「MA」「SFA」という言葉。現在では導入している企業が増えてきたこともあり、企業のマーケティング活動を支援するツールであるということは認知されてきています。
では、3つのツールがそれぞれ違う特徴や、得意とする分野があるということはご存じでしょうか?
今回は、
・「CRM・MA・SFA」は、なぜ必要とされているのか
・「CRM・MA・SFA」それぞれの特徴・得意とする分野
・「CRM・MA・SFA」それぞれのツールが解決してくれる課題
・マーケティングツールを導入する前に考えるべきこと
の4点についてご紹介したいと思います。
CRM・MA・SFAなどのツールが
必要とされた背景とは?
これらのツールが必要とされた背景には、顧客一人ひとりに対し、それぞれに合った対応(One to Oneマーケティング)が求められていることと、見込み顧客(リード)獲得から顧客のフォローまでを対応することがどんどん困難になってきていること、の2点が挙げられます。
One to Oneマーケティングが求められている
インターネット社会となったことで、私たちはいつでもどこでも情報が得られるようになり、様々な方面で多様化が進んでいます。
そのため、一人ひとりに合わせたマーケティングができなければ、目に留めてもらえずマーケティングの効果が弱くなってしまいます。
効果的なマーケティングを行うためには、メール配信などの施策を個人に合わせて(パーソナライズ化して)いかなければならず、施策をパーソナライズするためには現在の顧客の動向や過去の顧客の傾向など、多くの情報が必要であり、さらにこれらの情報を正確に分析することも求められます。
この「パーソナライズされたマーケティング」を人の手だけで行うことは非常に難しく、仮に行おうとすれば、とてつもない数の人手が必要となります。
CRM・MA・SFAは、どれも情報の管理を得意とし、ツールによってはその分析まで行うことができるため、マーケティング活動をパーソナライズすることを支援してくれます。
リードの獲得から顧客のフォローまで対応することがどんどん困難になっている
情報化社会の現在では、BtoB商品の購入までのプロセスが長期化してきています。
そのため、リードナーチャリングという「顧客を育てる」というマーケティング手法が効果的になってきています。
※リードナーチャリングについて詳しく知りたい方はこちらをクリック!
このプロセスは非常に複雑であり、リードや成約に至った顧客の数が増えれば増えるほど、リードナーチャリングを行うことが難しくなり、リード獲得や成約機会の損失に繋がります。
そして、最悪の場合は顧客満足度の低下を招き、解約率が高まる可能性まであります。
商品購入までのプロセスの例を挙げると、
まず、リード獲得のために展示会やWeb広告の出稿など、オンライン・オフラインの両方でマーケティング施策を行います。
獲得したリードの情報を整理し、業種やリードの見込み度合いなどからそれぞれに合ったマーケティング施策を考えます。
商品に対する知識が薄いリードへは、基本的な情報提供を、商品に対する知識をすでに持ち合わせている場合は、より具体的な商品スペックの情報提供をするなど、「One to Oneマーケティング」を行っていきます。
そして、具体的なニーズが出たタイミングで過去の接触履歴など顧客情報と合わせて営業にパスし、営業が商談を行います。
リードとの商談履歴や次回アクション日をもとにクロージング活動を行い、受注後は顧客ごとの売上高や取引履歴を管理する必要があります。
このようにリードの獲得から顧客のフォローまで、様々な部門が絡みながら複雑なプロセスをたどるため、それぞれのプロセスで適切な対応が困難になってきています。
CRM・MA・SFAは、こういった複雑なプロセスについてもデータ化して管理できるようになるため、業務の効率化に繋がります。
まとめ
情報の管理や整理、さらには分析まですることができ、正しく利用することで効率的に上記2つの課題を解決することができるため、CRM・MA・SFAなどのマーケティングツールの必要性が高まってきているのです。
それぞれのツールが必要とされた背景が分かったところで、CRM・MA・SFAについて詳しく見ていきましょう。
CRM・MA・SFA それぞれのツールの特徴と得意な分野
※CRM、MA、SFAを簡単に得意分野ごとに分けた図
CRM・MA・SFA、これらのツールは、技術の進化とオールラウンドなツールが求められていることも手伝って、それぞれの境目がわからなくなるほど機能が増えてきています。
しかし、これらのツールが目的としていることはそれぞれ違うため、特徴と得意な分野は少し異なります。
・CRMの特徴と得意な分野
CRM(Customer Relationship Management)の特徴は、顧客関係管理に特化したツールであるということです。
顧客情報の中でも、
・氏名
・会社名
・業種
・会社規模
・担当部署
・連絡先
など、顧客に紐付いたデータを一元的に管理できるようにします。
CRMはこれらのデータを分析することで、顧客のニーズにあったアプローチを行い、業務の効率化、顧客満足度の向上、購買額の最大化などを図るツールです。
ここまで説明した通り、CRMは顧客関係を管理するツールになります。
そのため、上の表の中では左側の「顧客の収集」「顧客の育成」「顧客の選別」の部分を得意とします。
CRMで顧客情報をデータとして一元管理することで、どういった顧客層に自社の商品やサービスが購入されているのか、またはどのような顧客層が離れていっているのかを知ることができるため、それぞれの顧客層に向けて適切な施策を打つこと可能にします。
・MAの特徴と得意な分野
MA(Marketing Automation)の特徴は、マーケティング活動の一部自動化と、顧客個人のWeb上での行動の可視化を可能にするツールである、というところです。
顧客が、いつ、自社サイトのどのページを閲覧したのかや、資料ダウンロードなどの状況を可視化すること、さらにそれらの情報をもとに、顧客の見込み度合いを採点するスコアリング機能があります。
また、顧客の行動に合わせたメールの自動配信の設定が可能など、できることの幅が非常に広くなっています。
そんなMAの特徴をなんとか一文で表すと、それぞれの見込み顧客に合わせた最適なアプローチを行うことを補助、または一部自動化することで、見込み顧客の管理とナーチャリング(見込み顧客の育成)の効率化を図ることができる万能なツール、となります。
MAの機能は今も増え続けており、それに伴って得意な分野もどんどん広がってきています。
基本的にはリードを集めるところから、育成、そして選別の部分を主に得意な分野としていますが、現在のMAは上の図の全体をカバーできるだけの機能を有しています。
しかし、MAはその分複雑なツールでもあるため、使いこなすこともどんどん難しくなってきています。
・SFAの特徴と得意な分野
SFA(Sales Force Automation)の特徴は、営業活動をデータ化することで、担当者変更時の円滑な引き継ぎや、ノウハウの蓄積ができるというところです。
リードに対し、これまでにどのような営業活動をしたのか、その際のリードの反応や、次にどのようなアクションを取ることを考えているのかなどを、一元的に管理し、データベース化することで「営業ノウハウの属人化」を防ぎ、顧客に対してどのようなアプローチやセールスが有効なのかを蓄積していくことが可能になります。
上記の通り、SFAは商談における情報管理を得意とするツールのため、上の表の中でも営業活動から受注の部分の情報管理を得意としています。
またこれらを社内に共有することで、新人教育の際にも効率化が図れるようになります。
CRM・MA・SFAそれぞれのツールが解決してくれること
CRM・MA・SFAそれぞれのマーケティングツールの特徴がわかったところで、それぞれのツールが具体的にどのような課題を解決してくれるのかを、ご紹介したいと思います。
「それぞれの特徴と得意な分野」のところでも書きましたが、これら3つのツールの機能はどんどん増えてきている、ということを念頭に置いた上でご覧いただければと思います。
・CRMが解決してくれる課題
CRMは顧客関係の管理をしてくれるツールになります。
そのため、ツールを導入することで顧客との関係を強化でき、売り上げの拡大を目指すことができます。
具体的には、情報化社会によりリードのニーズが多様化し「One to Oneマーケティング」が求められていますが、顧客の情報を細かく管理できるようになるため、それぞれに合った施策が打てるようになります。
また、それをデータとして蓄積していくことで、より精度の高い分析ができるようになり、顧客自身がニーズに気付く前に、自社でそのニーズを見つけることもできるようになります。
さらに、CRMをマーケティング部門と営業部門が共用していれば、マーケティング部門が育成したリードを営業部門にパスする作業が効率化される上、パスしたリードが本当に案件化につながったかどうかの確認も簡単にできるようになります。
・MAが解決してくれる課題
MAは、他の2つのツールと比べても機能が多く、その機能の多さから様々な課題の解決を助けてくれます。
そのため、今回ご紹介できるのはそのほんの一部ではありますが、多くの企業が課題として挙げている2点をご紹介したいと思います。
一つ目にMAが解決してくれる課題としてよく挙がるのは、リードの母数そのものが少ないといった、マーケティング段階の課題です。
MAを利用することで、送信したメールが開封されたか、自社のウェブページにどのぐらい滞在したかなど、リードの行動を可視化できるため、それを分析することでコンテンツのクオリティの向上を計れます。
また、企業名・個人名に紐づいてリードの行動を表示・蓄積することができます。
そのため、見込み顧客に合ったウェブ広告の表示内容を変えたり、定期的なメールマガジン配信の設定ができるようになります。
すると新規顧客との効果的な接点を増やすことができるようになり、リード獲得への一助となります。
二つ目は、商談化率が低いといった課題を解決できるというものです。
一つ目でも言いましたが、MAを導入することで、メールの開封履歴、自社のウェブページの閲覧履歴が確認できるようになるため、顧客の行動からMAのスコアリング機能で採点し、見込み度を計ることができます。
この見込み度をもとに、それぞれのリードに応じたリードナーチャリングを行うことも可能となるため、無理に商談化させることなく、適切なタイミングが来るまでじっくりとリードの育成を行うことが可能となります。
このように適切なタイミングとなったリードのみを商談化へ誘導できるようになり、結果的に商談化率の向上が見込めるのです。
スコアリング以外にも、どのような職種や企業規模、リードの役職などが商談化率が高く、売り上げにどの程度貢献しているのかを、過去のデータから分析し、適切なリードごとに優先順位を付けることも可能となります。
営業すべきリードの優先順位が分かれば、これまで手探りで行っていた営業の効率化ができ、質の高いリードに対して力を注ぐことができるようになります。
こういった面でも商談化率の向上が見込めるため、MAを導入することが商談化率改善に役立つツールであると考えられているのです。
MAにはこれら以外も様々な業務の効率化が図れるため、マーケティング活動と営業活動の両面で、多くの課題を解決することができるツールであると言えるでしょう。
・SFAが解決してくれる課題
商談ノウハウの属人化を防ぐことや、商談状況の共有などを効率化することをSFAは得意とします。
そのため、「営業が個人のノウハウのみで行われている」といった課題を、SFAは解決してくれます。
営業一人ひとりの実績や進捗をチームとして共有することで、全員が取引先情報や案件情報、抱えている商談の数などを確認することができるようになります。
これにより、営業部門がひとつのチームとしてタスクを配分できるようになるため、業務の効率化に繋がります。
さらに、蓄積されるデータの中にはリードの所属企業や役職などの情報に加えて、過去に受注した製品やプラン、金額なども含まれます。
SFAはこれらのデータから、売り上げ予想を立てる機能が備わっているものもあり、「営業のコストパフォーマンス」まで可視化してくれるのです。
また、商談の成約率の低さそのものに課題を感じている場合にも、SFAは効果を発揮します。
正確な情報共有を行うことで、顧客に対するアプローチが成約にどのような影響を及ぼしたのか、データとして蓄積していくことができます。
このデータを分析し、営業部門全体で共有することで、顧客に対する効率的なアプローチが可能となります。
CRM・MA・SFAの導入前に確認するべきこと
ここまで解説してきた通り、CRM・MA・SFAにはそれぞれの特徴と得意な分野があるため、目的に合ったツール選定が重要となります。
そのため、CRM・MA・SFAなどのマーケティングツールを選定する基準として、自社の解決すべき課題や、具体的な目標など、利用目的が明確でなければなりません。
そこで最後に、CRM・MA・SFAの導入を考え始めたとき、どのようなことを確認するべきなのか、順番に紹介したいと思います。
自社の課題や達成したい目標などを確認し、導入の目的を明確に
このページの上でも述べた通り、CRM・MA・SFAなどのマーケティングツールは、導入すれば課題を解決してくれる魔法のツール、というわけではありません。
まずは自社の解決したい課題や、達成したい目標などを確認し、ツールを導入することでその課題が解決できるのか、もしくは目標の達成を助けてくれるのか、といった部分を考えてみましょう。
そのためにも、それぞれのツールの特徴や機能など、基礎的な知識を理解しておく必要があります。
ベンダー(ツールのメーカー)を選定する
導入の目的が明確になったら、その目的を達成するのに適したベンダーを選びましょう。
一口にCRMやMA、SFAなどと言っても、ベンダーによって特徴は異なります。場合によっては機能が違うこともあるので、このベンダーの選定には細心の注意が必要となります。
まずは、ベンダーの選定をしやすくするために、ツールに求める条件に優先順位をつけましょう。
どのようなデータの管理をしたいのか、対応可能なマーケティング施策は何か、ツールの連携は可能か、サポートはあるのかなどの、求める条件に優先順位をつけていきます。
この基準を先に作っておくことで、自分たちの達成したいことにツールを利用する、という意識からぶれることなくツールの選定を行うことができるようになります。
実際に導入、運用してみる
何事にも言えることですが、やってみなければ本当のことは分かりません。
マーケティングツールも同じようにカタログスペックだけで全てのことを理解することはできません。
CRM・MA・SFAなどのマーケティングツールも、現在では無料や低価格で一部機能が使えるツールが多くあるため、実際に導入してみる、ということが行いやすい環境になっています。
そのため、まずは実際にツールを導入、運用してみて、その使用感を知ることをおすすめします。
まとめ
CRM、MA、SFAはそれぞれマーケティングや営業活動を効率化してくれるツールに間違いはありません。
しかし、それぞれのツールが持つ特徴や得意な分野は違うため、適切な場面で適切なツールを使用しなければ、導入の効果は得られません。
また、利用の目的がはっきりしていないと、十分な効果が得られず、投資の無駄になってしまいかねません。
さらに、「導入前に考えるべきこと」のところでも解説しましたが、ツールはベンダーによっても機能が変わります。
そのため、それぞれのマーケティングツール・ベンダーが持つ特徴をしっかりと調べ、自社にとって一番適切なツールはどれなのか探してみてください。