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リード管理で営業力を強化!顧客獲得を最大化するための3つのポイント

リードの定義は、業界や業種、扱う製品やサービスによって異なります。さらに、リード管理は営業プロセスを効率化し、売上を増やすために欠かせません。

この記事では、リード管理のプロセスやその利点、リード管理を実施する際の課題や注意すべき点について解説します。さらに、リード管理に役立つツールも紹介します。

【部署ごとに異なる】リードの概念・種類とは?

リードは「見込み顧客」を指し、自社の製品やサービスをまだ購入していない消費者のことです。これは利用中の既存の顧客とは異なります。適切なアプローチによっては、これらの見込み顧客は信頼関係を築き、最終的には既存顧客になることもあります。

リードには様々な段階が存在し、「問い合わせを行った」、「展示会やセミナーに参加した」、「商談や提案を受けたが発注前」といった状況が含まれます。

リードの定義は一様ではなく、業界や業種、部署、または扱う商材によって異なります。しかし、以下で説明するリードの定義は、業界や職種を問わずに一般的に受け入れられている共通の定義です。ここで、基本的なリードの定義について解説します。

マーケティング部署が獲得したリード(MQL)

MQL(Marketing Qualified Leads)とは、マーケティング部門がフォローするリードを指し、マーケティングの取り組みによって獲得された、将来的に既存顧客へと進展する可能性が高いリードです。これらのリードは、購入意向が高まった段階で営業部門に引き渡され、購入に至るためのクロージング作業が行われます。

MQLを営業部門に引き継ぐ適切なタイミングが重要です。例えば、マーケティング部がインターネット上に広告を投稿した場合、その広告を見たすべての人が製品やサービスを購入するわけではなく、広告バナーをクリックする人や何も反応しない人などに分かれます。マーケティング部は、広告をクリックして閲覧した顧客を選定し、その受注の見込みを評価して、どのリードがMQLとなるかを決定します。

テレアポで獲得したリード(TQL)

TQL(Teleprospecting Qualified Leads)は、テレマーケティングやインサイドセールスの手法によって獲得されるリードを指します。

マーケティング部が見込みが高いと判断した顧客をMQLとして区分した後、インサイドセールスの担当者がテレアポを通じて商談に繋がる顧客をTQLとして認定します。TQLはMQLに比べて、自社の製品やサービスにより関心が高く、成約に至る可能性が高いとされています。

TQLの特徴として、電話だけで成約を達成したり、営業担当者の顧客訪問に繋がりやすい点が挙げられます。

フィールドセールスが獲得したリード(SQL)

SQL(Sales Qualified Leads)は、営業部門によって取得されるリードです。SQLには主に2つのカテゴリがあります。

SAL(Sales Accepted Lead)

これはMQLやTQLから営業担当者に引き継がれたリードで、営業担当者がフォローすることができない場合、再びマーケティング部門やテレマーケティング担当者に戻されることもあります。

SGL(Sales Generated Lead)

これは営業活動を通じて直接獲得されたリードで、MQLやTQLの過程を経ずに生成されます。
これらのSQLは、獲得されるまでのプロセスによって分類されます。

リード管理とは?

リード管理とは、見込み顧客として識別された個々の顧客の基本情報や活動データを整理し、それを関係者間で共有することで、購入や成約に至る過程を効率化する活動のことを言います。適切にリード管理が行われると、購入可能性の高い顧客を特定し、そのような顧客に集中してアプローチすることが可能になり、売上の効率的な増加が期待できます。

さらに、顧客基盤が広がるほど、リード管理の重要性は高まります。リード管理では、顧客の名前や職位、連絡先などの基本情報だけでなく、リードを獲得するに至った過程も分析し、整理する必要があります。

これにより、新規顧客との関係が始まるきっかけから受注に至るまでの一連の流れを明確に把握でき、行っているマーケティングや集客活動の成果を評価するのにも役立ちます。

リード管理を行う3つのメリット

売上を増加させる

リード管理を適用することにより、顧客の状況に合わせた適切なアプローチが可能です。たとえば、成約が期待されるリードには意思決定者に影響を与える情報を提供し、まだ検討中のリードには日常の業務で役立つ情報を供給するなどがあります。このようにリードの状態に応じた対策をとることで、売上の増加を期待できます。また、機会の逸失や資源の無駄遣いといった営業の損失も低減されます。

営業活動の効率を向上させる

リード管理を利用することで、リードの特性や活動履歴に基づき、受注の見込みが高いリードとそうでないリードを区別できるようになります。この情報を活用して、受注可能性が高いリードに重点的にアプローチすることが可能となり、結果として営業の効率が向上します。

顧客の満足度を高める

リード管理を実施することにより、リードに関連する商談の履歴、メールのやり取り、ウェブサイト訪問の記録など、多様な情報が集まります。これらの情報から顧客の要望や関心事を深く把握し、それに適した方法でアプローチを行うことで、顧客の満足度を高めることができると期待されます。

リード管理のプロセス

リード情報と関係性をデータベースで管理し、それを関連する部署や担当者と共有しながらリードを育成し、最終的に既存顧客として確立するまでのプロセスは3つあります。リード管理の手順を詳しく見ていきましょう。

リードジェネレーション(リードの獲得)

リードジェネレーションは、リードを獲得する初期段階の活動を指します。このプロセスでは、まだ自社との接触がない潜在顧客を見込み顧客に転換し、最終的には既存の顧客に昇格させることを目指しています。

リードジェネレーションには2つの形態が存在します。

インバウンド型

インバウンド型は、顧客自身が自発的に自社の商品やサービスに興味を持ち接近するマーケティング戦略です。たとえば、SNSで積極的に情報を配信し、その結果顧客が自然と接触してくるような施策がこれに該当します。

インバウンド型のリードジェネレーションは、定期的な情報の発信によって徐々に認知度が高まり、その効果が顕著になる手法です。長期的にリードを育成したい場合に適していますが、速効性を期待する場面では不適切かもしれません。

例えば、SNSの広告を見たユーザーが自社の製品紹介ページやサイトを訪れる際、コンテンツの閲覧や資料請求、ホワイトペーパーのダウンロードを通じてフォームに情報を入力してもらい、リードを獲得する方法がインバウンド型で効果的です。入手した顧客情報を基に、後日メールや電話で連絡を取り、資料やホワイトペーパーの詳細について話を進めます。

アウトバウンド型

アウトバウンド型は、企業が主導で展示会やセミナーを開催する、広告やダイレクトメールなどを用いてリードに積極的にアプローチする手法です。このタイプの施策は、一般にインバウンド型に比べて即効性があります。

インターネットやSNSの普及により、利用者数が急増しており、リード自身が自ら興味のある商品やサービスに関する情報を積極的に求める傾向が強まっています。このため、最近ではインバウンド型のリードジェネレーションが注目を集めています。

たとえば、自社のウェブサイトやメールマガジンで展示会やセミナーの開催情報を告知し、興味を持ったユーザーが参加を希望すればフォームに入力して参加を申し込むことで、購買意欲のあるユーザーからリードを獲得することができます。実際にイベントが開催される際には、自社製品に関心を持つユーザーと直接コミュニケーションを取ることが可能です。

リードナーチャリング(リードの育成)

リードナーチャリングは、リードを育てるというプロセスを指します。リードジェネレーションで獲得した見込み顧客に対し、繰り返し情報を提供しアプローチすることで、リードの興味を具体的なニーズへと発展させる活動です。

例えば、自社製品に関心を示しているリードや、競合他社のサービスや商品を比較しているリードに対して適切な情報を提供しアプローチすることにより、自社商品に対する囲い込みをより確実に行うことができます。

リードオリフィケーション(リードの選別・評価)

リードクオリフィケーションはリードの選定を意味します。リードナーチャリングを行ったとしても、個々のリードは興味や関心の程度、行動パターン、購入意欲が高まる速度に違いがあります。効率的な成約率の向上を目指すためには、リードナーチャリングのプロセスの後でリードクオリフィケーションを通じて、購入意欲の高い顧客を選び出すことが重要です。

リード管理における4つの課題・注意点

リード情報が社内で十分に共有されていない

リード管理においては、顧客情報をいかに正確かつ詳細にデータ化できるかが極めて重要です。このため、リード情報を各部署で共有し、定期的に情報を更新することが必要です。

たとえば、コールセンターやインサイドセールスで収集される顧客の希望や要求、問い合わせ内容、営業が行う商談の詳細や担当者の特徴、アプローチの回数など、様々な情報を正確に記録し、リード管理を効果的に行うことが大切です。

リードの定義が曖昧でフォローが不十分

リードの定義があいまいな場合、それがリードを効果的に活用できない原因となることがあります。リードは単に自社の商品やサービスに接触した人に限られるわけではありません。名前のわからない問い合わせメールやウェブサイト訪問者など、情報が不明瞭な人々も将来の顧客となる可能性を持っています。

もし見込みが高いと思われるリードだけに注力すると、より多くの顧客層を獲得するチャンスを逃すことがあります。自社が定義したリードに限定しないで、潜在的に顧客になりうる人々が存在することを認識し、必要に応じてその定義を再検討することが重要です。

新規顧客獲得への意欲が欠けている

すでに人気のある商品やサービスの関連商品を扱っている場合や、有名ブランドの商品を販売している場合、広告やリード管理を行わなくても一定の売上や成約が期待できます。

この状況が続くと、新規顧客を獲得することの重要性や熱意が薄れ、リードの発見や育成がおろそかになることがあります。商品やサービスが売れる状況が永遠に続くわけではありません。潜在的な新規顧客を見つけ出し、顧客として育成する業務の重要性を忘れないことが重要です。

計画的なリード育成を意識する

リード管理の主な目的は見込み顧客を実際の顧客に育成することですが、無計画なアプローチは効果が期待できません。リードを育成するための計画を策定し、適切なタイミングで適切な方法でアプローチすることが重要です。

リード管理をより効率化させる方法

カスタマージャーニーに基づいて、各フェーズに適した施策を実施する

リードの管理を効率化するためには、カスタマージャーニーの策定が効果的です。カスタマージャーニーとは、リードが製品やサービスに気づき、購入に至るまでのプロセスを予測し、視覚化する作業を指します。
顧客が商品を購入するまでのプロセスは、認知、関心、情報収集、比較、購入といった複数のステップに分かれています。カスタマージャーニーの中で、これら各段階でのリードの考え方や課題を詳細に想定し、それを視覚化します。カスタマージャーニーを構築することで、リードジェネレーションからナーチャリング、クオリフィケーションに至るまで、どのようにリードに情報を提供し、アプローチすべきかの戦略が明確になります。

MAツールを活用して、リード管理を効率化する

マーケティングオートメーション(MA)ツールをリード管理に活用すると、運用が効率化されるとともに、社内のリソース節約にも貢献します。MAツールの使用により、どのウェブサイトへのアクセスが多いか、閲覧が多い時間帯、メールマガジンの開封率などのデータが迅速に分析できます。また、多くのMAツールにはスコアリング機能が備わっており、リードの選定作業(クオリフィケーション)にも有効なツールとなります。

SFAの導入により、社内での情報共有を促進する

SFAの導入により、社内の情報共有が促進されます。SFA、すなわちSales Force Automationは、営業支援システムとしても知られており、顧客管理、商談管理、営業日報、名刺管理など営業職が行う業務を支援する多くの機能が含まれています。

SFAを用いることで、顧客の検討状況を社内で正確に共有することが可能となり、効率的なリード管理を行うことができます。

リード管理を行えるツールとは?

スプレッドシート・エクセル

リード管理を始める最も簡単な方法の一つが、エクセルやGoogleスプレッドシートを使用する方法です。

エクセルやスプレッドシートを使用してリード管理を行う主な利点は2つです。

  • 追加のコストがかからない
  • トレーニングコストが不要

既に社内でエクセルやスプレッドシートを利用している場合、追加でコストが発生することはありません。コストを抑えてリード管理を開始したい企業にとって、これは大きな利点です。さらに、エクセルやスプレッドシートは顧客管理以外にも日常業務で広く使用されているため、新たなトレーニングコストなしにリード管理を社内に広めることが可能です。

一方で、デメリットとして以下の点が挙げられます。

  • データ量が多くなるほど処理が遅くなる
  • マーケティングのデータを活用するのが困難
  • モバイルでの使用が不便

エクセルやスプレッドシートはリード管理専用のツールではないため、多くのデメリットも存在します。これらを考慮に入れて、導入するかどうかを慎重に検討することを推奨します。

MAツール

MA(マーケティングオートメーション)ツールをリード管理に活用することで、運用の効率が向上し、社内での作業時間の削減にも繋がります。また、MAツールを使用すると、どのWebサイトに訪問者が多いかや、よく閲覧される時間帯、メールマガジンの開封率などのデータを迅速に分析できます。さらに、多くのMAツールにはスコアリング機能が備わっており、リードの質を評価するのにも有効です。

SFAツール

SFAはSales Force Automationの略称で、営業支援システムとしても知られています。このシステムには顧客管理、商談管理、営業日報、名刺管理など、営業担当者の業務を支援する多くの機能が含まれています。

SFAを利用することにより、顧客の現在の検討状況を社内で正確に共有することが可能となり、効率的なリード管理を実現できます。

リード管理ツールに必須の機能とは?

リードのステータスを管理する機能

ステータス管理機能は、リードの各ステータスに応じて顧客を管理する機能です。未対応、対応中などのステータスが担当者にすぐに分かるように設計されているため、社内の全メンバーがリードを容易に把握し管理できるので便利です。

行動履歴や基本情報を管理する機能

リード管理には、基本情報と行動履歴を蓄積する機能が必要です。行動履歴を把握することで、顧客の検討状況やニーズを分析するのに役立つ洞察が得られるでしょう。

リードを分析する機能

リードの分析機能を備えていると、リードの基本情報や行動履歴を管理するだけではなく、それらを分析しスコアリングすることが可能です。この機能は、リードに優先順位を設定し、より効果的なアプローチを行うために重要です。

MA/CRMツールによるリード管理で営業活動を効率化させよう!

リード管理を実行する際には、精確な情報の収集、関連部署との情報共有、そしてデータの分析が必要です。収集したリードの情報を基に、マーケティングオートメーションツールやオウンドメディア、セミナー、ホワイトペーパーを使ったアプローチで顧客に育て上げましょう。

ただし、リード管理をゼロから導入し、成果を得るまでには時間と労力が必要です。社内でのリード管理が困難な場合は、外部への委託も選択肢の一つです。

 

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