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本記事では、Zoho CRMのプラン選びに悩んでいる方に向けて、Zoho認定パートナーである当社の視点から解説を行います。「どのプランを選ぶべきか?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。ただし、各プランにはこの記事では触れきれない細かな違いがある点にご注意ください。本記事はあくまでもプラン選定の目安を提供するものであり、実際に導入する際は、詳細な機能比較を行うことをお勧めします。
Zoho CRM導入時の3つのスタイルと7つの選択肢
Zoho CRMを導入する際には、検討すべき選択肢として以下の7つのプランがあります。具体的には、4つの基本プラン(Zoho CRM単体プラン)に加え、複数のアプリがバンドルされたZoho CRM Plus、さらに包括的なアプリスイートであるZoho One(全社員利用プランまたは一部社員利用プラン)です。これらの中から最適なプランを選ぶことが求められます。なお、購入後にアップグレードやダウングレードが可能な点も柔軟性の一つです。
各プランの料金ページ
プラン名 | 月額費用(1アカウントあたり) | 3つのスタイル |
---|---|---|
スタンダード | ¥1,680 | Zoho CRM単体プラン |
プロフェッショナル | ¥2,760 | Zoho CRM単体プラン |
エンタープライズ | ¥4,800 | Zoho CRM単体プラン |
アルティメット | ¥6,240 | Zoho CRM単体プラン |
Zoho CRM Plus | ¥6,840 | Zoho CRM含む複数アプリバンドル |
Zoho One(全社員利用) | ¥4,440 | Zoho One(全社員向け) |
Zoho One(限定利用) | ¥10,800 | Zoho One(限られたメンバー向け) |
プランを選ぶ際、まず単体契約か、CRM Plusか、Zoho Oneかの3つの選択肢に分けて考える必要があります。それぞれの違いについて簡単に以下にまとめました。
プラン名 | 含まれるアプリ | CRMの機能 |
---|---|---|
Zoho CRM | 1アプリのみ:Zoho CRM(顧客管理・営業支援ツール) | 選択するプランによる(スタンダード、プロフェッショナル、エンタープライズ、アルティメット) |
Zoho CRM Plus | 8つのアプリがバンドル: – Zoho CRM(顧客管理・営業支援ツール) – Zoho Campaigns(メルマガ配信ツール) – Zoho SalesIQ(Web接客・トラッキングツール) – Zoho Desk(問い合わせ管理ツール) – Zoho Analytics(BI・レポート作成ツール) – Zoho Survey(アンケート作成・集計ツール) – Zoho Projects(プロジェクト管理ツール) – Zoho Social(SNS投稿管理) | アルティメットプランに相当 |
Zoho One | 45+のアプリがバンドル: – Zoho CRM Plusに含まれるアプリすべて – 会計、人事管理アプリなど全45以上のZohoアプリが利用可能 | エンタープライズプランに相当 |
Zoho CRMを単体利用する場合の選択すべきプランは?
スタンダードプラン
スタンダードプランは、ほとんどCRMをカスタマイズしない場合に適したプランです。見積書や請求書といった帳票関連の機能が含まれておらず、基本的な営業プロセス管理や見込み客データの蓄積が主な用途となります。ただし、業務に合わせたカスタマイズは難しいため、CRMを単純なデータ管理ツールとして利用したい場合におすすめです。
プロフェッショナルプラン
プロフェッショナルプランは、スタンダードプランに帳票関連機能が追加され、カスタマイズ性も若干向上しています。また、データ容量も増加しており、より広範な業務データの管理が可能です。ただし、このプランでは「カスタムタブ」の利用ができないため、自社特有のデータ構造を追加したい場合には不向きです。
エンタープライズプラン
エンタープライズプランは、Zoho CRMの中で最も多く選ばれるプランといえます。その理由は、プロフェッショナルプランにはない「カスタムタブ」が利用できることです。これにより、自社特有のデータ項目(例:車両情報や商品詳細など)を追加し、業界や業種に応じた高度なデータ管理が可能になります。また、承認プロセスやコマンドセンターといった高度な業務プロセス管理機能、分析レポートの多様性など、CRMを包括的に活用できる環境が整っています。ほぼフル機能が利用できるため、カスタマイズを通じて業務全体を効率化したい企業に最適です。
アルティメットプラン
アルティメットプランは、エンタープライズプランの容量強化版にあたります。CRMの機能自体に大きな違いはありませんが、レコード数やデータ容量が大幅に拡張されています。そのため、すでに大量のデータを持つ企業や他のCRMから移行を検討している企業に向いています。初期導入時にはエンタープライズプランを選択し、必要に応じてアルティメットプランにアップグレードするのが一般的です。
Zoho CRM Plusを選択するメリット
Zoho CRM Plusは、Zoho CRMに加えて8つのアプリがバンドルされたプランです。これにより、顧客管理だけでなく、マーケティングオートメーションやカスタマーサポート、プロジェクト管理、SNS管理など、さまざまな部門の業務を統合的にサポートできます。
特に、以下のマーケティングツールはデジタルマーケティングを実施するために重要な役割を果たします。
- Zoho Campaigns: メルマガ配信、ステップメール、SNS連携など
- Zoho SalesIQ: Web接客、オンラインチャット、顧客スコアリング
- Zoho Analytics: データ分析、レポート作成、ダッシュボード化
- Zoho Survey: アンケート作成、集計、分析
- Zoho Social: SNS一括投稿、投稿効果の分析
また、問い合わせ管理ツール(Zoho Desk)やプロジェクト管理ツール(Zoho Projects)も含まれており、営業部門やマーケティング部門だけでなく、カスタマーサポートやチームコラボレーションも効率化できます。
CRM Plusは、アルティメットプラン相当の機能を持ちながら、これらのアプリを月額6,840円で利用できるため、マーケティング部門やカスタマーサポート部門がある企業にとって非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
Zoho Oneを選択するメリット
Zoho Oneは、Zohoが提供する45以上のアプリを利用できる包括的なプランです。全社員で利用する場合は月額4,440円という破格の価格設定であり、個別にアプリを契約するよりも圧倒的にコストパフォーマンスが高くなります。特に、Zoho CRMエンタープライズプランの価格を下回るため、全社員でCRMを活用する企業には最適です。
このプランには、CRM Plusに含まれるアプリに加えて、人事管理(Zoho People)、請求書発行(Zoho Invoice)、電子契約(Zoho Sign)、グループウェア(Zoho Connect)など、部門横断的に利用できるツールが含まれます。これにより、既存の国産SaaSツールと遜色ない機能を提供しつつ、CRMとの連携で業務効率をさらに向上させることが可能です。
初めからすべてのアプリを利用する必要はなく、まずはCRMを中心にいくつかのアプリを活用し、その後徐々に活用範囲を広げていくのが効果的です。また、全社員利用以外にも、限定利用プラン(月額10,800円)という選択肢もあり、部門やチーム単位での活用にも適しています。
Zoho Oneは、コスト削減や既存のSaaSツールの統合を目指す企業にとって非常に有力な選択肢です。
他のCRMツールとの料金を比較
Zoho CRMとSalesforceの比較
- Salesforceは、アメリカに本社を持つCRMのトップブランドで、ツールの連携性やカスタマイズ性、多様な機能を備えています。ただし、その分、料金が高額になる傾向があります。
- Zoho CRMは、安価なプランでも基本機能を完備しており、連携やカスタマイズの柔軟性も高いです。
- ポイント: Salesforceは大規模な企業向けで、予算に余裕がある場合に適しています。一方、Zoho CRMはコストパフォーマンスを重視し、基本機能を安価に利用したい企業に最適です。
Zoho CRMとKintoneの比較
- Kintoneは、日本のサイボウズ社が提供するCRMで、日本語ベースの直感的な操作性が特徴です。料金面では、Zoho CRMと同じスタンダードプラン(約1,500円前後)で提供されています。
- Zoho CRMは、基本機能に加え、連携性やカスタマイズの幅広さで優れています。また、選べるプランの多様性も魅力です。
- ポイント: 日本語対応や国内サポートを重視する場合はKintoneが有利ですが、より多機能で柔軟な連携やカスタマイズを求めるならZoho CRMが適しています。
Zoho CRMとちきゅうの比較
- ちきゅうは、日本の株式会社ジーニーが提供するCRMで、シンプルな使いやすさに定評があります。ライトプランはZoho CRMと同様に約1,500円前後で利用可能ですが、最低10ユーザーからの契約が必要です。
- さらに他ツールとの連携やカスタマイズを行う場合は、上位プラン(スタンダードプラン:2,980円)の契約が必要です。
- Zoho CRMは、スタンダードプランでも多様なツールとの連携や拡張性を提供しており、柔軟性の面で優れています。
- ポイント: 小規模事業所にはZoho CRMが向いており、ちきゅうはある程度の規模の企業に適しています。また、カスタマイズ性ではZoho CRMがリードしています。
比較まとめ
比較項目 | Zoho CRM | Salesforce | Kintone | ちきゅう |
---|---|---|---|---|
料金(スタンダード) | 約1,680円/月 | 高額(数万円~) | 約1,500円/月 | 約1,500円/月(最低10ユーザー) |
カスタマイズ性 | 高い | 非常に高い | 中程度 | 上位プランで対応 |
連携性 | 豊富 | 非常に豊富 | 豊富 | 上位プランで対応 |
対応企業規模 | 小規模~大規模 | 中規模~大規模 | 小規模~中規模 | 中規模以上 |
サポート | 多言語対応、国際的 | 世界規模のサポート | 日本語対応に強み | 日本語対応 |
さいごに
CRMを選定する際には、初期の要件を明確にし、カスタマイズの必要性によってプランを決めることが重要です。カスタマイズの必要性が高い場合にはエンタープライズプランを選択し、必要性が低い場合にはプロフェッショナルプラン以下を検討するのが良いでしょう。
また、エンタープライズプランを選択した上で、マーケティング関連のアプリも含めてZohoで業務を完結させたい場合にはCRM Plus、さらにマーケティング以外のツールも利用したい場合にはZoho Oneが選択肢になります。特に全社員でZohoを統一的に活用することが可能であれば、Zoho Oneは非常に強力な選択肢となります。
ただし、細かい機能の比較や詳細な検討が必要なケースもあるため、選定に迷った際には、当社のような認定パートナーにご相談いただくことも有効な方法です。