多くの企業がマーケティングツールを導入し、マーケティングオートメーション(MA)という言葉を聞くことも珍しくなくなりました。
それと同時に「シナリオ」という単語を聞く回数も増えてきています。
今回はMAのシナリオについて、基礎的な知識から、重要性、シナリオ設計の例、そして効果を出すシナリオ設計のポイントについてご紹介します。
1. MAのシナリオとは
2. MA運用におけるシナリオの重要性
3. シナリオの例
4. MA運用におけるシナリオ設計の方法
4-1. セグメンテーション、ターゲットの決定
4-2. アプローチタイミングの決定
4-3. 提供コンテンツの決定
4-4. チャンネルの決定
5. 効果を出すシナリオ設計をするためのポイント
5-1. ペルソナとカスタマージャーニーの設定
5-2. ツールの連携
5-3. コストパフォーマンスを確認する
5-4. ターゲティングの軸にするものを考える
5-5. 最適化する
6. まとめ
1. MAのシナリオとは

シナリオは、役者などが使う時とは大きく異なり、マーケティングにおいては「顧客とのコミュニケーションのシナリオ(筋書)」という意味で使われます。
具体的には、顧客に対してどのようなアプローチをしていくのかを定めたもの、などになります。
シナリオは、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」の4つの要素で成り立っており、これをMAに設定することで様々なマーケティング業務の自動化が可能となります。
例としては、メールを送信し、開封、メール内に添付したURLのクリックがあれば、資料ダウンロードフォームのURLを添付したメールの送信を行うといったことがこれにあたります。
シナリオの設定はMAを利用し、マーケティングの自動化を行うには欠かせないため、シナリオに対する知識は必要不可欠なものになっています。
2. MA運用におけるシナリオの重要性
ここまで解説してきた通り、MAにおいてのシナリオは顧客とのコミュニケーションにおいての筋書という意味で使われ、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」の4つの要素で成り立っています。
MAにとっては、このシナリオの設定ができなければ業務の自動化ができなくなってしまいます。
また、シンプルなシナリオ設計であれば、簡単に作成ができますが、適切ではないシナリオを作成してしまうと、マーケティング施策の効果がなくなってしまう可能性もあります。
どのセグメンテーションにどんな内容のメールを送信するのか?
送信相手が添付したURLをクリックした場合、次にどのように行動を取るのか?また、スコアリングはどうするのか?
Webサイトの資料をダウンロードした場合、どこのセグメンテーションに割り振るのか?
など、多くのことを正確に設定する必要があります。
スコアリングやセグメンテーションを誤った設定にしてしまった場合、リードに合わせた効果的なアプローチが難しくなるため、シナリオ設計が非常に重要となるのです。
3. シナリオの例
ここでは簡単なシナリオ設計の例を1つ挙げたいと思います。

ウェビナー開催のメールを送信すると仮定して作成してみました。
このシナリオにより、メールの送信を行うだけで、メールの開封やURLをクリックしランディングページへ訪問があったリードに対してはタグの付与を行い、フォーム登録まで行ってくれたリードへはサンクスメールとフォーム登録完了のメールの送信を自動化してくれます。
今回紹介したシナリオ例は単純なものであり、細かな部分に関しての設定は一切されていません。
このレベルのシナリオ設計であれば、特に何の知識がなくても簡単に行うことができます。
しかし、今回は具体的に想定していませんが、実際にはどのセグメントをターゲットとして、どんなメールの内容をいつ送るのか、というところまで想定しなければならないため、最低限のマーケティングの知識が必要となります。
また、当然ではありますが、企業や商材によって適切なシナリオは大きく変わります。
そのため、シナリオ設計を行う際には、様々な情報を用いてベストな形を考えなければなりません。
4. MA運用におけるシナリオ設計の方法

ここまでの解説で、シナリオに対するイメージがある程度固まったと思うので、ここからは実際にシナリオ設計をする方法をご紹介します。
「3.シナリオの例」の項目の最後で解説しましたが、企業や商材によって適切なシナリオは大きく変わります。
しかし、シナリオ設計は「誰に」「いつ」「何を」「どのように」の4つが重要であるということは変わりません。
そのため、ここを押さえておくことで適切なシナリオ設計ができます。
4-1. セグメンテーション、ターゲットの決定
まずは、どのセグメントをターゲットとするかの「誰に」の部分を決定します。
マーケティング戦略の決定の際にも基本的な部分となるターゲティングは、シナリオ設計の際にも基本的な部分となります。
そのためにも、まずはペルソナとカスタマージャーニーの設定、そしてセグメンテーションをしっかりと行う必要があります。
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4-2. アプローチタイミングの決定
次に、どのタイミングでアプローチをするか決める「いつ」を決定します。
この「いつ」の考え方の軸は多くあり、「どの時間にメールを送信すれば開封されやすいか」や「フォーム入力があった時」など様々です。
しかし、このアプローチのタイミングは非常に重要であり、単純に早ければ早いほど、多ければ多いほど良いわけではない、ということは簡単に分かります。
リードの立場から考えると、適切でないタイミング、量のアプローチは悪印象を与えます。
そのため、ここでもペルソナとカスタマージャーニーの設定がしっかりとされていなければ、具体的なタイミングの決定が困難になってしまいます。
4-3. 提供コンテンツの決定
「誰に」「いつ」が決定できたら、「何を」の部分を決定していきます。
「何を」とはアプローチする相手に対して、どのような情報、コンテンツの提供を行うか決定することを指します。
この部分は基本的に、「誰に」の部分がしっかりと決定できていれば簡単に決定できます。
しかし、適切でないコンテンツの提供や、強引な売り込みのような情報の提供は相手に悪い印象を与えてしまいます。
そのため、「誰に」の部分が決まっていても、慎重に決定するようにしましょう。
4-4. チャネルの決定
最後に「どのように」の部分である、チャネルの決定をします。
メールやSNSの利用、営業でのアプローチなど様々な方法があります。
チャネルを決定する時は、コストと顧客へ与える印象などを踏まえて決定します。
5. 効果を出すシナリオ設計をするためのポイント

シナリオ設計の方法が分かったところで、ここからは、効果的なシナリオ設計をするためのポイントについて解説していきます。
5-1. ペルソナとカスタマージャーニーの設定
何度もでてきていますが、ペルソナとカスタマージャーニーが適切に設定されていなければ、シナリオ設計はできません。
それ以前に、何かしらのマーケティング戦略を考える際には必要不可欠なものであるため、どこの企業でもこの2つを設定しなければいけません。
ペルソナに対するカスタマージャーニーを作成し、それに対してシナリオを回す必要があります。
これを理解した上で、行動ベースで見せ方が違うことや、インサイドセールスメンバーの行動が変わってきます。
5-2. ツールの連携
適切なシナリオ設計のためには、リードの様々な情報が必要となります。
MAやCRMが連携できていないと、リードの情報を管理することができず、ミスの誘発や適切でないセグメンテーションなどを行ってしまいいます。
また、MAのシナリオ設計は適切なタイミングでのアプローチをするためだけではなく、業務の効率化も目的としています。
それにも関わらず、ツールの連携ができていなければ、リードの情報を共有するために二度手間なことをしなくてはならなくなり、結局非効率的な操作が必要となります。
こういったデメリットをなくすためにも、ツールの連携はしっかりとしておきましょう。
5-3. コストパフォーマンスを確認する
シナリオ設計は、セグメントによっては複雑にしなければならないこともありますが、全てに複雑なシナリオ設計が必要なわけではありません。
場合によってはシナリオ設計が全く必要ないほど簡単な施策を行う場合もあり、そういった場合にはシナリオ設計をする方がかえって工数がかかってしまうこともあります。
そのため、本当にそのシナリオ設計が必要なのか、そして、どの程度複雑なシナリオが必要なのかを確認し、シナリオ設計へ着手するようにしましょう。
5-4. ターゲティングの軸にするものを考える
ターゲティングの軸となるものは、リードが取った行動を軸とする「行動ベース」、性別や年齢などリードそのものが持つ情報を軸とする「属性ベース」、顧客と企業の関係をライフサイクルで分けたものを軸とする「ライフサイクルベース」3つです。
これらの中から適切なものを軸として選びださなければなりません。
、業種や取り扱う商品などによっても変わりますが、基本的には行動ベースを軸として考えることが一般的です。
それは、行動軸はリードの興味が直接的に分かりやすい上、アプローチする方法を決めやすいためです。
他のものを軸として選ぶ場合は、しっかりとした根拠を持つようにしましょう。
5-5. 最適化する
シナリオは一度作ると、一切のアップデートが必要ないわけでありません。
リードの求めているものが時代によって変わるため、その都度アップデートが必要となります。
また、初めから最適なシナリオ設計ができないことも多いため、一度設定したらうまく機能しているのか確認しなければなりません。
そのため、まずはデータを取るためにも一度シナリオ設計してみることをおすすめします。
6.まとめ
今回はMAのシナリオ設計について解説しました。
MAの自動化という大きなメリットを享受するためには、適切なシナリオ設計がなければなりません。
今回ご紹介したポイントをしっかりと押さえて、シナリオの設計行い、PDCAサイクルを回して最適なものを作り出せるようになりましょう。